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番外編:アルドロンとリリアの『はじめて』の異世界愛情表現(セラフィナ視点)


佐倉家でのホームステイは勇者たちに楽しんでもらったようで本当によかった。


でも、日本で色んなこと見て、色んなこと知っちゃったから、私たちの世界も、なんかちょっとずつ変わってきてるんだ。


特にね、アルドロンさん!


本当にすごいんだから!


日本から帰ってきてから、毎日何かの研究に没頭してるんだけど、今回はちょっと様子がおかしいの。


いつもは魔法陣とか論文とかばっかり見てるのに、最近はなんか、例の薄い本とか、よくわかんない動画とか見てるんだよね。


彼の書斎からは、いつもの薬草の匂いや、インクの匂いではなく、妙に甘い香水のような匂いが漂ってくることもあって、ちょっとドキッとしちゃう。


カスパール君が「アルドロン、何を研究しているんだ」って聞いたら、「人間の感情伝達における非言語的表現の多様性についてだ」とかって、すっごく真面目な顔で答えてたけど…絶対あれ、なんか違うでしょ?


彼の瞳の奥には、いつもの探求心とは違う、どこかギラギラとした光が宿っていた気がする。




私が「ルシアン様、アルドロンさん、最近変ですよ?」ってコソコソ聞いたら、ルシアン様がちょっと苦笑いしながら、「ああ…どうやら、日本で見た様々なものが彼にとって新たな研究テーマになったらしい」って。


もしかして、日本で手に入れたグラビアアイドルの雑誌や、薄い本に影響されちゃった!?ルシアン様が苦笑いするってことは、相当な事態ってことだよね……。




でもね、アルドロンさん、なんか「唯一の既婚者である私が、この未開の分野を率先して開拓せねばなるまい!」とかって、すごく使命感に燃えてるっぽいの。


彼の顔は真剣そのもので、まるで世界を救う秘薬の研究でもしているかのようだった。そういうとこ、なんかアルドロンさんらしいっていうか、ちょっと面白いんだけどね。



でも、その対象が「愛情表現」っていうのが、なんともアルドロンさんらしいというか、ぶっ飛んでるというか……。



で、ある日の夜。私がルシアン様と一緒に魔法学校の制服のデザインについて話してた時(絶対可愛い制服にしたいの!スカートはひらひらで、リボンはピンク!生徒たちが毎日着ててウキウキするような、そんな制服にしたいなあってね!)


アルドロンさんがリリアさんの部屋に向かっていくのが見えたの。

彼の足音は、いつもよりわずかに、しかし確実にソワソワしているように聞こえた。


城の奥、子供部屋の方からは何の物音もせず、静まり返っていたから、リルはもう寝たみたい。


リリアさんの部屋の扉の隙間から、優しい明かりが漏れている。



しばらくして、リリアさんの部屋から、微かに、そして楽しそうな声が聞こえてきたの。


「ふふ…アルドロンったら。そう、そのような表現もあるのね」その声は、くすぐったそうに、そして心から楽しんでいるようだった。


そして、その後すぐに、扉が少し開いていたことに気づいたのか、カチャリと静かに閉まる音がして、あたしとルシアン様、思わず顔を見合わせちゃった。




(え?なに?なんかあったの?!もしかして、アルドロンさん、リリアさんに何か試してる?!まさか、日本で仕入れてきた『奥の手』を、あのリリアさんに……?!)


ルシアン様は「…どうやら、研究の進捗があったようだな」って、真面目な顔してるけど、あたしにはわかるよ、ルシアン様もちょっと気になってるでしょ?


彼の口元が、わずかに緩んでいるのが見えた。




その翌日から、もう一つ、明らかに今までと違うことがあったの。


アルドロンさんとリリアさんの私室って、今までずっと別々だったんだ。アルドロンさんは研究に集中したいからって、専用の寝室を設けてたし、リリアさんもそれに合わせてたんだけど…。


朝、リリアさんの部屋の方から、アルドロンさんがブツブツと呟く研究中の声が聞こえてきたの。そして、その日の夜から、彼らの私室の、いつも開いていた扉が閉じられるようになったんだ。

ひんやりとした金属のドアノブが、二人だけの空間を隠している。



ちなみに、城のメイドさんたちが、リリアさんの部屋の方に、アルドロンさんの私物が運び込まれているのを見かけたって、コソコソ噂してるのを聞いたんだ。メイドさんたちのひそひそ話からも、二人の関係の変化が伝わってくる。



「…ふむ。この『愛情表現』という分野は、まだまだ奥が深い。データ収集を継続する必要があるな」って、アルドロンさんがブツブツ言ってるのを聞いちゃったんだけど、絶対あれ、研究のためだけじゃないよね!


だって、その翌日、リリアさん、なんか頬がほんのり赤くて、いつもより幸せそうな笑顔だったんだもん!


その頬は、まるで熟れた桃のように柔らかく色づき、瞳は初恋の少女のように輝いていた。


アルドロンさんも、なんかちょっとだけ口角が上がってるような…?


いつもはぴしっと締まっている彼の口元が、わずかに緩んでいるのが、私には分かった。




まさか、あのアルドロンさんが、私たちより先に、その…“ディープな”愛情表現を実践してたなんて!


しかも、魔界から帰ってきたときの私とルシアン様の頬へのキスが、彼に「研究」のきっかけを与えちゃったんだとしたら、なんかちょっと責任感じるっていうか、でもちょっと嬉しいっていうか…。


私の頬まで、なぜか熱くなっちゃうんだから。



(うわ〜、もう!アルドロンさんとリリアさんが、あんなに仲良しになるなんて、なんだか胸があったかくなっちゃう。彼らの間から漂う、温かい夫婦の空気が、城全体を包んでいるみたい。私たちもこれから結婚式だし、ルシアン様と二人で、これからもっと色んなことを、ゆっくりと知っていけたら嬉しいなぁ。結婚式が待ち遠しいよ〜!)


私は、新たな「研究テーマ」を見つけたアルドロンさんとリリアさんの様子を微笑ましく見ている。


そして、ルシアン様の腕にそっと自分の腕を絡ませ、自分たちの結婚式に向けて、未来への期待に胸を膨らませていた。


ルシアン様の腕から伝わる温い体温が、私の心をじんわりと満たしていく。



ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!


『日本ホームステイ編』、いかがでしたでしょうか? ルシアン様たち五光の勇者と佐倉家の人々が織りなす、ささやかながらも温かい日常、そして異世界と日本が繋がる奇跡の瞬間が、少しでも皆様の心に響いたなら幸いです。


次章、いよいよ物語は第四部「完結編」へと突入します! これまでお付き合いくださった皆様には、感謝の言葉もございません。ルシアン様とセラフィナの運命がどうなるのか、そして世界の未来はどこへ向かうのか、もしよろしければ、どうか最後まで見守っていただけると嬉しいです。


そして、完結編のタイトルは……

『転生したら推しが魔王様になってた件~三度の結婚式は大パニック!~』

となります!

引き続き、ルシアン様とセラフィナの壮大な愛の物語を、どうぞよろしくお願いいたします。

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