83話 こちらも宿題ですが脈ありでしょうか?
今回から、セリフ前の名前は、見づらいとよく言われるので無くしてみました。
「どうか宿題を俺に見せてくれませんか!」
俺の家の玄関先で、出会って5秒で桔梗に土下座をされた。俺は、その綺麗な土下座に感動を覚えつつも、彼の肩を優しく叩きこう返事をした。
「嫌だ」
「お願いだぁ!神様!仏様!蓮華様!」
桔梗は、だだをこねながら俺の腕にしがみつく。めっちゃくちゃ力だけは強いので、俺の腕にが折れそう、つーか痛い!
「俺の腕を離せぇぇ!!俺の腕にしがみついていいのは、女の子だけだぁ!」
「お前が、宿題を見せるまでぜってぇ離さんぞ!この桔梗、容赦せんぞ!」
「って言うか、お前は神奈月さんがいるだろうが!神奈月さんに見せて貰えよ!」
「蓮華よ、楓に勉強を教わるというのは、俺にとってシに最も近い行動なんだよ」
「俺が知るか!シんでこい!」
「なんだと!それが、親友にかける言葉か!」
それから玄関で、10分程の討論の末に今日の昼飯を奢る事ともう一つある条件を飲む事で宿題を見せた。二階の俺の部屋に連れて行き、そこで桔梗が、宿題の写しを始めた。
「ようやく、宿題を掴み取ったぞ……」
「はぁ〜疲れた、つーかバレない様にしろよ」
「おう、任せとけって、適度に間違えておくぜ」
「というか、なんで神奈月さんのとこ行かないのさ、付き合ったんだろ?」
「まぁ、そうなんだが」
「ん?」
「次は、何を代償に払わされるかと思うと、怖くてな」
桔梗は、ガタガタと肩を震わせていた。
顔は、青白くなっている。
「君達は、一体どういう関係なんだよ」
「一応、恋人だと信じてぇ」
「特殊だなぁ」
「つーか、お前には言われたくないつーの」
「え?俺ほど普通で健全な男子高校生いないぞ?」
「はいダウト」
少々食い気味に、否定された。
「なにを!」
「好きな子のパンツの色聞いてる奴が、普通で健全な訳ねぇじゃん」
「お前!どこでそれを!」
「楓からな、まぁだから俺達も手伝ってやるから、はよくっつけ」
「う〜ん、好きになるってどういう事なんだろうな?」
「なにそれ?哲学?」
「いやな、正直に言えば紫陽花の事が好きだ」
「いきなり素直になったな」
「でもな、向日葵の事も好きなんだよ」
「ほうほう」
「俺は、2人とも好きだし、2人の為なら命がけで守ってやりたいとも思う」
「それで?」
「なんか、この頃余計に自分の気持ちが分からないというか、なんと言うかな、自分でもそこら辺ちゃんとしないといけないとは思うんだけど」
「なるほどなるほど」
「どうしたらいいかな?」
「知らね」
「酷っ、なんかアドバイスとかくれないのか?」
「ん〜だって側から見たら、リア充めシネとしか言えん」
「おい、現役リア充が何言ってんだ」
「だって、お前はやってる事はただの引き伸ばしだぜ?紫陽花だって、文月さんだって、お前に歩み寄ってくれてるのに、それを無視してるも同然じゃねぇか」
「……そうなのか」
「で、結局お前は、どっちが好きなんだ?」
「……」
今まで、そう言う話題を考えない様にしていたと思う。こうして、改めて考えてみると俺はどうしたいのかどんどん分からなくなっていく。
そりゃ紫陽花と付き合いたいって気持ちもある。
同時に向日葵と付き合いたいって気持ちもある。
紫陽花は、俺の事好きかどうかも分からないし、確実なのは向日葵か。いや、そんな考えで付き合うのは、向日葵に失礼だろ!でもでも、こうやってウジウジ考えてたら時間だけが過ぎて、手遅れになるかもしれないし……。
「お〜い、蓮華く〜ん、生きてるか〜」
「お、おう、だ、大丈夫だ」
「まぁ、考え過ぎも良くないけど、少しは考えないと次に進めないぜ」
「……なるべく、頑張るよ」
「おう、精々頑張れ」
「なんか、桔梗の癖にムカつくなぁ」
「ははっ!俺は俺で頑張ったからな!」
「桔梗」
「なんだよ?」
「神奈月さんに告白した時、どんな気持ちで言ったんだ?」
「……どんな気持ちかぁ」
「参考に聞きたくてな」
「……これからも、楓の側に居たかったそんな大した事ない、カッコ悪い気持ちだぜ」
そう言って、恥ずかしそうに苦笑いをする桔梗。多分、これが恋をしている人の表情なんだろうな。
夏休みが終われば、高校生活も後半分しか無い。俺も自分の気持ちを整理しなきゃいけない、そうじゃなきゃ、俺を好きで居てくれてる向日葵に失礼だ。
「桔梗、聞かせてくれてありがとう、参考になった」
「それなら良かったぜ、つーか俺達がこうゆう話するのって初めてじゃね?」
「確かにな、今まではくっだらない小学生みたいな話してたのにな」
桔梗と雑談をしていると、ポケットに入れた携帯が鳴った。俺は、ポケットから携帯を出して通知を確認する。
「誰から?」
「紫陽花から、えーっと」
紫陽花からLINEで、『明日、6時位に一緒に登校しない?』と書かれていた。俺は、その内容を見てゆっくりと深呼吸をする。
「嫌な予感が凄いするんだけど」
「頑張るんだろ?」
桔梗が、薄ら笑いながらこちらを見ている。
こいつ、腹立つ顔してるなぁ。俺は、片手に持った携帯で即座に桔梗の顔を撮って、神奈月さんに送信した。
「え!ちょ、それはないって!」
「お互い頑張ろうね、桔梗君!」
「……あんまりだぁ」
俺は、ニヤけ顔から絶望の顔に変貌した彼の肩を、優しく叩いてあげた。




