75話 憧れですが脈ありでしょうか?
水が、バッシャンと激しく音と飛沫を立てる。
私は、勢いに身を任せ、頭まで水風呂にしっかり浸かった。
火照っていた体をキュと引き締まるような冷たさが心地いい。
水風呂に5秒程潜った後、顔を水から出して一息ついた。
すると、手前のサウナの扉が開く。
そこから、蒸気の白い煙とと共に向日葵が出てきた。
楓ちゃんが、こっちに近づいて向日葵の手首を持ち上げた。
「勝者、向日葵」
「やりました」
向日葵は、ニコッと笑う。
あっ、そういえばこれって勝負だった。
すっかり、さっきの会話で忘れていた。
「という訳で、罰ゲームどうぞ」
ゴクリと喉が鳴る。
さっきの話の続きを聞かれるんじゃないかとビクビクしていた。
というか、間違いなくそれだと思う。
私は、覚悟を決めて向日葵の言葉を待つ。
「先程の話を詳しく聞こう……と思いましたが、やっぱり最初に考えていた物にしようと思います」
あれ?
違うんだ。
ほっと一息つく。
でも、最初から考えてたのって何だろう?
……なんか嫌な予感がするなぁ。
「という訳で紫陽花さん!」
「は、はい?」
「胸を触っても良いですか?」
「へ?」
私は、予想外の罰ゲームに驚きを隠せなかった。
「え、胸って海の時触ってたじゃん!」
「あの時の感動が、忘れられなくて、もう一回だけお願いします」
「ふ〜ん、面白そうじゃない、いつもセクハラされてるんだしいいでしょう」
「そんな、楓ちゃんまで!」
「それに、罰ゲームなんだから貴方の反論は、意味ないわよ」
「なんて日だ!」
私は、渋々水風呂から上がり、壁の近くの露天風呂に3人で浸かった。
「ど、どうぞ」
「では、早速!」
向日葵の綺麗な指が、胸に触れる。
向日葵が、さっきまでサウナに入っていた事もあり、かなり暖かくて気持ちいい。
胸触られて気持ちいいってなんか如何わしいんだけど!
べ、別にそんなんじゃないよ!
本当だよ!
はぁ、一体誰に向かって私は言ってるんだろう。
向日葵の指が、私の肌をなぞるように動く。
「あっ……ちょっと……くすぐったいからやめて」
すると、その直後冷たい指の感触が私の肌に伝わってきた。
「初めて触ったけど、凄いわね」
「なんで、楓ちゃんまで触ってるのさ!」
「私が、許可しました」
「なんで!」
「残念ね、今あなたの胸は、あなたの物じゃなく向日葵ちゃんの物よ」
「そんなぁ!」
「それに、セクハラ歴なら私の方がやられているし、文句ないでしょう?」
「ぐぬぬぬぬ」
確かに、それを言われるとぐうの音も出ない。
それから私の抵抗も虚しく、2人に私の胸を弄られ続けた。
「も、もう……いいでしょ?」
「すっごく柔らかいわね、羨ましいわ」
「そうですよね、憧れの大きさと柔らかさです!」
「私の話を聞いてよぉ!」
オレンジ色に染まる夕暮れに、私の叫びが寂しく響いた。