73話 無敵ですが脈ありでしょうか?
その後、夕方まで遊んだ俺達は、旅館に戻って温泉に入ることにした。
部屋に用意された着替えの浴衣とバスタオルを持って、一階の大浴場に向かう。
「多分、俺達の方が風呂上がるの早いだろうし、部屋の鍵持って行くぞ」
「りょーかい」
「覗かないでよ?」
「いやいや、流石の桔梗君もこんな所では覗かないよ」
「なんで俺だ、どちらかと言えばお前だろ、林間学校集団覗き事件の首謀者め」
「あれは、酷い事件だった」
「そんな事があったんですか?」
「まぁね、若気の至りってやつよ」
「17歳が何言ってんだ、ほら行くぞ」
「へいへーい」
大浴場に着いたのでそのまま暖簾をくぐり入って行く。
脱衣所で竹の籠に服を脱ぎ入れ、大浴場に入った。
大浴場は、右側にはずらっと体を洗う所が並べられており、左側には大理石で四角く囲まれた湯船があった。
俺達は、左側の湯船に浸かりほっと一息ついた。
「はぁ〜最高」
「生き返るなぁ」
「今日は、何度も殺されかけたしより生き返る気がする」
「目を潰されたり、顔を潰されたりな、的確に人体の弱点を狙ってて殺意が感じられる」
「本当それな、俺をサンドバッグと勘違いしてるんじゃないかあいつ」
「大丈夫、お前は丈夫だしいけるいける」
「いや、いけたとしてもいやだわ」
「つーか、言われておもったけど、林間学校懐かしくないか?」
「言うても去年だろ?」
「いやなんというか、今年の出来事が色々ありすぎてね」
「確かに、言われてみればそうかもな、あの時は、お前のせいで男子全員説教されたからな」
「あの第一次侵攻の時は、原と仁鉄の鉄壁要塞を崩す事が出来なかったからな、次こそ攻略してやる!」
「おい、まずやるな」
俺は、蓮華の頭を強めに叩いた。
「痛っ!ちょ桔梗君痛い!」
「ったく、懲りねぇやつだな」
「諦めたらそこで試合終了って言うやん?」
「バレたら人生終了ってことも考慮に入れてくれ、お願いだから」
「よし、もうそろそろ露天風呂に行こうぜ」
「ちょっと待て、覗く気か?」
「いや、流石にやらないって」
「本当か?」
「うん、覗きはしないよ」
俺は、蓮華の含みのある言い方に少し引っ掛かったが、そのまま露天風呂に向かった。
露天風呂は、檜風呂や歩行浴、サウナや水風呂等が取り揃えてられていた。
その周囲を5〜6mぐらいの竹造りの壁で囲ってある。
丁度その壁の向こうから湯気が見える壁に一番近い檜風呂に浸かった。
「で、何する気なんだ?」
「まぁまぁ、もうしばらくしたら多分聞こえてくるはずだよ」
蓮華は、目を閉じてそっと耳に手を添えた。
俺は、首を傾げた。
一体、こいつ何を企んでやがる?
しばらくすると、壁の向こうから声が聞こえてきた。
「あっ……ちょ……やめて」
「……凄いわね……」
「……ですよね……」
「も、もう……いい……」
「……柔らかいわ……」
所々しか聞こえないが、意味深な会話が聞こえてきた。
これは、壁の向こうで一体何をしてるんだ?
俺は、ふと蓮華の方を向くと、笑顔で親指を立てていた。
「予想通り」
……こいつ、無敵かよ。




