72話 柔らかい肉厚ですが脈ありでしょうか?
「……ほんと、ごめん」
「……」
私達は、海の足がギリギリつかないぐらいの所で正面から抱き合っています。
私は、紫陽花さんの胸に顔を埋めた状態でいます。
そして、一番重要なのは、私が現在上半身裸だと言うことです。
絶対紫陽花さんのせいです!
あんなに胸を触られて、おそらくビキニの紐が緩くなってしまったんだと思います。
Tシャツも濡れてたけど着てたのに!
恥ずかしくて恥ずかしくて仕方ありません!
その上、凄く絶望感もあります。
今、私の顔は紫陽花さんの胸に包まれた状態です。
こう、なんというか、はしたないかも知れませんが、非常に柔らかくていい香りなんです。
この現在の恥ずかしい気持ちの羞恥心を紫陽花さんの抱擁力による鍔迫り合いしていて、感情がイマイチ混乱しています。
本人は、無自覚でこれですからね。
ライバルとして、勝てるかどうか。
私の魅力で、彼女に勝る所があるのか。
そんな喪失感や絶望感もあって、なんというか、なんというか、言葉にできません。
はぁ……なんか私だけ不幸で、腹が立ちます。
そうですわ!
こんな事されたんですから、少しくらい仕返ししてもいいですよね?
私は、海の中でゆっくりと手を構えて、紫陽花さんの胸をそっと触れた。
「あっ、って何するの!」
「……し、仕返しです」
「なんだって!」
「私だってやられてばかりじゃ無いんですよ!」
次は、もっと力を入れて掴みました。
柔らかい肉厚の肌が指をふわっと包み込んでいきます。
え?これが胸なんですか?
私の胸もそこそこあるとは思っていました。
でもこれは、次元が違う。
私のとは比べ物にならないほどの、柔らかさと抱擁力を兼ね備えています。
いいですね、私もこれくらい大きくなりたいです。
「ちょ……ごめんってばぁ」
「はい?」
ふと紫陽花の声で、正面に見ると目にうるうると涙を浮かべ、はぁはぁと息を切らしている。
「すみません!」
急いで私は、胸から手を離した。
夢中で胸を揉んでしまっていました。
「もう……ずっと言ってるのに」
「すみません、……全然聞こえていませんでした」
「まぁ、自業自得だから……いいけど」
「おーい、水着持ってきたぞー」
紫陽花さんの後ろから、クロールで蓮華様がこちらに近づいてきました。
紫陽花さんは、首だけ振り向いて蓮華様の方向を向きました。
「あっ……ありがと」
「ちょっと待て!そんな顔して、どうした!何かあったのか!」
「いや、その」
「誰かにやられたのか!」
蓮華様が紫陽花さんに、さらに近づく。
その時、私は確実に蓮華様と目があった。
絶対見られました。
私は、反射的に右腕を振りかぶっていました。
「きゃぁぁぁ!!!」
「ふごっ!」
やっぱり、仕返しなんてやるものではなかったです。




