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49話 本番ですが脈ありでしょうか?


 お化け屋敷に到着した。

 同時に紫陽花達とも合流し、お化け屋敷の前まで来た。

 お化け屋敷は、廃学校みたいな見た目をしている。建物は、壁の色が灰色で所々に崩壊した後わざとらしく作ってある。わざとと分かっててもこわいよね。鼓動が速くなるのを感じる。

 外装からいかに、練習していたデパートのものとレベルが違うのがはっきり分かる。

 今からここに入るの?

 私は死んじゃわない?

 軽い走馬灯が、見えてきたわ。

 中学の頃……いいやそんなの思い出さなくていい。今は、今なんだから。


「じゃあ、一緒に行くペアを決めようか」

「え?」

「みんなで一緒に行くんじゃないんですか?」

「そうだね、そうしたいのは山々なんだけど、ここ1度に2人しか入れないんだ」


 なんて事。

 そんな、練習でも3人で行ってたのに。

 こんなレベルが違うやばい所に2人で行かないと行けないの?やばない?

 とりあえず、紫陽花には悪いけど事情を知ってる蓮華君か向日葵ちゃんと行かないと。

 話し合いで、決めれればいいけど……。


「……じゃあペア決めしょうか、どうやって決める?」

「普通にジャンケンでいいじゃない?勝った人が一緒に行ける人を選ぶって感じで」

「異議なし」

「いいんじゃね」

「じゃあそれで行こっか」


 みんなで輪になって、それぞれ拳を出す。

 勝たなければ、一番怖いのは紫陽花と一緒になって馬鹿にされる事。次点で桔梗ね、まだそういうのは、早い気がするし。


「いくよ!最初はぐー、じゃんけんほい!」


 終わった。

 紫陽花は、笑顔とチョキを見せつけてくる。

 一方私は、開いた掌をぷるぷると震わせていた。

 くそっ!紫陽花が、私を選ぶ可能性は非常に高い。紫陽花の前で無様に醜態を晒すなんて。

 どうしよう、どうしよう。


「やった!2人勝ったから、これで決まったね」


 2人?

 私は、ふと周りを見渡すと風鈴君も勝っていた。

 ちょっと嬉しそうな表情が可愛い。


「風鈴、先に選んでいいよ」

「ありがと、じゃあ向日葵さんと一緒に行きたいです」

「分かりました、一緒に行きましょう!」


 向日葵ちゃんは、風鈴の側に移動した。

 向日葵ちゃんの顔から、すごい自信が満ち溢れてる。特訓の時も、私を追い抜いて成長してたし、ここでも大丈夫そう。


「次は、私ね」


 紫陽花が、こちらを見ている。

 もう、私は諦めた。

 笑われる覚悟は決まった。

 幾らでも笑うがいいさ、後で覚えとけ。


「じゃ、蓮華またよろしく」


 あれ?私じゃなかった。

 紫陽花は、私がお化け屋敷が苦手な事を知らないにしても、どんな反応するか見にくると思ってたんだけど。っていうか紫陽花が、蓮華君と行くって事は......


「てことは、俺は神奈月とか、よろしく」

「……そうね、よろしく」


 まずい事になったわね。

 冷や汗をかく私に、紫陽花が近づいて囁いた。


(さっきのお返し、楓ちゃんもいい加減前に進まないとね)


 やられた。

 私は、静かに覚悟を決めるしかなかった。


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