46話 シューティングですが脈ありでしょうか?
私達は、紫陽花達と分かれてゲームコーナーに着いた。射的や昔のアーケードゲームが沢山置いてある。なんというかザ田舎の遊園地感があって、非常に居心地がいい。拷問から解放されて、ようやく遊園地を楽しめそう。
「で何する?」
「風鈴君決めていいよ」
「はっ……はい、なににしようかな?あのレーザーシューティングしたいです!」
風鈴君が指差す方向には、レーザーシューティングと英語で書かれたカラフルな看板があった。
近くに行くと、カッコいい銃とノートパソコンがセットでいくつか置いてあった。
奥には、的がセットの正面に同じ数あった。
「なつかしいなぁ」
「やった事あるの?」
「まぁな、割と得意だぜ」
「早速やってみましょう!」
中に入り、1人ずつセットの前に案内される。
銃を手に取り、構える。
そして、狙いをつけて引き金を引く。
あれ?引き金が硬くて手応えを感じない。
「あれ?打てない?」
「銃に三角のレバーがあるだろ?それを一発ずつ上げないと打てないぞ」
「そうなんだ、ありがと」
「お、おう」
再び狙いをつけて引き金引く。
独特な機械音が出る。
その後、係の人がノートパソコンをいじって得点が表示される。
まず的にすら当たっていなかった。
え?ちゃんと狙ったんだけど。
「おっと楓ちゃん、大丈夫か?」
桔梗が、ニヤニヤとこちらを見てくる。
「別にまだ準備運動だし」
絶対ど真ん中いってやる。
吠え面かかせてやる。
それから、何度も打ったが全然当たらない。
的にたまに当たるぐらい。
一体私の何がだめなの。
落ち込んでいると、桔梗が近づいてくるのが見えた。また弄られるの、いつも勉強でいじってるし自業自得ね。悲しいけど。
「ちゃんと台座と銃の凹みを使ってるか?」
「銃の凹み?」
「こういうのは、実際やったが分かりやすいか、銃を構えてみろ」
私は、桔梗に言われた通り銃を構える。
すると、後ろから私を覆いかぶさるように桔梗が銃を握る。体がピクッとした。え?何してんの?
桔梗のゴツゴツとした体が全身に触れる。
全然集中できない。
「ちゃんと銃身を台座に置いて、銃の凹みを片目で覗き込むんだ」
「はっ、はい」
「凹みの赤いマークを、的の中心に持ってきて引くんだ」
独特な機械音が響く。
どこか疲れが見える係の人が、ノートパソコンをいじる。係の人は、突然笑顔に変わって私に拍手をした。
「おめでとうございます、ど真ん中ですよ!」
「よかったな」
「……ありがと」
爽やかに笑う彼を見て、私はそれどころじゃなかった。
その後、ゲームコーナーに移動してしばらく楽しんだ。UFOキャッチャーに三千円も奪われ、お財布が大分軽くなってしまった。
結局、目当てのくまのぬいぐるみを取れなかったな。
ゲームコーナーから出ると、桔梗の携帯電話がなる。
「おっと、ちょっと待ってな」
桔梗が、電話に出る。
受け答えからして、おそらく蓮華君かと思う。
2分程話して、通話を終え携帯電話をしまう。
「蓮華の方も一通り回ったらから、合流しようって」
「分かりました」
「あーあと次はお化け屋敷行くって」
その瞬間、私は硬直した。
とうとう、この時が来てしまった。
私は、覚悟を決めて歩き出す。