アレルギー
キャリーバックに囚われて、お姉ちゃんとハナの乗った車に乗せられたわ。
ああ"あ"あ"ぁ"
どうしても諦めきれずに、情けない声が漏れ出ちゃう。
まっすぐ病院に行くのかと思っていたら、途中で学生服を着たアオが乗りこんできたわ。
ハナとアオは後ろの席、お姉ちゃんが運転で、わたしはお姉ちゃんの隣り、キャリーバックごとシートベルトをされているわ。
事故が起こった時に飛んで行かないようにですって。
わたし、りっぱなレディだけれど、羽は生えてないの。もちろん、翼もないわ。
お姉ちゃんはわたしがどうやって飛んで行くと思っているのかしらね?
教えてもらいたいわ。
きっと、わたしにできそうなことだから、シートベルトで頑丈に固定されているのよね?
わたしも小鳥のように空を自由に飛んでみたい……。
……あぁ、現実逃避している間に病院に着いてしまったわ。
相変わらず、入る前からヤな感じ……。
病院に入るとさらにヤな感じ……。
今日は仔犬が多い日ね。
小さな犬だらけだわ。
どうして、犬はキャリーバックに囚われていないのかしら?
リードっていう紐で繋がれて、鳴きながらあっちウロウロ、こっちウロウロしている仔ばっかり。
ほら! あそこで#一匹__ひとり__#マーキングしちゃってるわ。
ホントに勘弁してほしいわぁ。
……ごめんなさい。動転し過ぎているのか、つい、レディにあるまじき言葉使いになってしまったわ。
失礼。
わたしが動転してる間にお姉ちゃんが受付で
「ポンすけさんは週ニでお願いします!」
と、看護師さんにちょっとキツめに声をかけられているわ……。
わたしは何にも聞こえてない……ナニも聞こえなぁい!
「はい。」
看護師さんに短く返事だけしたお姉ちゃんがわたしの側に戻って来たわ。
「動物病院はずいぶん、賑やかだね。……ポンは大人しいね。」
あたしはりっぱなレディですもの。
暴れたりしないのよ。
キャリーバックから出してもらえたら、すぐにでも走って逃げる気でいるけどね!
準備はいつだって万端よ!!
いつだっていいのよ!
さぁ! ドアを開けて!!!
わたしの心の叫びが聞こえない、聞こうともしないアオが戻ってきたお姉ちゃんに声をかけたわ。
「お母さん、鼻がムズムズするから、外に出てていい?」
「良いよ。
マスクしててもアレルギーはダメなんだね。」
お姉ちゃんがちょっと心配そうにアオを見送っているわ。
お兄ちゃんよりはアレルギーの軽いアオでも動物病院はムリだったみたいね。
ハナを見ると……この子は平気そう。
「ハナ、貴女は平気そうね!」
「?」
ハナは首を傾げて、なんのことなのか分からないみたいだけど、お姉ちゃんはハナを見つめて嬉しそうに微笑んでる。
お兄ちゃん風に言うと
「お姉ちゃんの血の勝利!」
と、言うことね!!




