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062.十五層への挑戦・終

「十兵衛ちゃん大丈夫? 〈解毒ポイズンキュア

「あぁ、ありがとう。やっぱりちょっと毒が残ってたな。大丈夫だと思って飛び込んだんだがブラックヴァイパーの毒はやはり強力だったようだ。これまでにレベルアップしなければ死んでたな」

「本当だよ! 十兵衛ちゃんが毒霧に飛び込んだ時生きた心地しなかったんだからね! あんな無茶はもうやめてよね! ほら、十兵衛ちゃんもちゃんと休む」

「やれやれ、梨沙には敵わないな」

「十兵衛ちゃんが無茶するからだよっ。怒ってるんだからね」


 十兵衛は梨沙に言われて解毒ポーションを飲み、〈解毒〉の魔法を受けた。少し怠かったのだがそれが解消され、やはり毒の影響を受けていた事を知る。ただし致命的なほどではない。強力な風邪を引いたくらいの辛さだ。三十九度の熱が出たくらいと言うべきだろうか。常人には辛いだろうが、鍛えている十兵衛に取ってそれは戦える範疇だ。


「十兵衛くんが強力な一撃を入れてくれなければ私たちでは歯が立たなかったわ。十兵衛くんがいなければ私は撤退を全員に提案していたわ。危険度が高すぎるんですもの」

「そうだな、俺も逃げ帰っていたな。仮令今日十五層をクリアできなくても迂回していたな」

「でもそれだと他のパーティが餌食になっちゃうよ。だから十兵衛ちゃんは戦ったんだよ」

「それはわかってるけど領分を踏み越えた探索者は、死ぬか更に強くなれるかの二択だ。ギャンブルなんだよ。実際多分一つじゃたらないくらいレベルあがった感触があるからな」


 最澄が梨沙を諭す。十兵衛も、他三人もブラックヴァイパーを倒した事で大幅にレベルアップを果たした。十兵衛も体に力が漲っていて、今なら琢磨も倒せるのではないかと錯覚するほどだ。

 だがレベルアップに頼っていてはいけない。もちろんレベルアップは重要なことではあるが、それだけでは琢磨や静、真には勝てない。根本的な技術だけでも負けているのだ。風魔小太郎への道はまだ遠い。どれだけ先にあるのか見えないほどだ。


「十兵衛くんは大金星ね。ギルドから表彰されるんじゃないかしら」

「表彰とかあるのか? 茜」

「あるわよ。危険なイレギュラーを討伐したパーティは表彰されるの。当然MVPは十兵衛くんな訳だから、報奨金もがっぽり出る筈よ。それに素材を売ればかなりの金額になるわ。それこそ何年でも遊んで暮らせるほどにね」

「遊んでいる暇はないな」

「そうね、先に進み、下層探索者になりましょう」


 茜ははっきりと下層に行くと断言した。最澄も梨沙も頷いている。十兵衛が求めるのは下層、そして深層へ行く事だ。それに彼女たちはついて来てくれるつもりなのだ。嬉しく思った。

 十兵衛の事情で自身たちの実力を超える層へ連れて行くつもりはなかったが、本人たちがやる気ならば今のパーティは心地よいのだ。解散などしたくなかった。


 十兵衛は心のどこかで誰かがどこかで脱落すると思っていた。だが三人の瞳はそんなことはしないと雄弁に語っていた。

 実際十兵衛がブラックヴァイパーと戦うと決めた時も従ってくれていた。自分たちが死ぬかも知れない。その状況にも怯まずについて来てくれたのだ。それが純粋にうれしかった。


「みんなありがとう」

「どうしたんだ、いきなり」

「そうよ、今更よ」

「あたしが十兵衛ちゃんの横にいるのは当たり前の事なんだよ? 死ぬ時は一緒だよ」


 梨沙の愛が重い。だが嬉しいと十兵衛は感じた。そしてそれだけの信頼をパーティメンバーから受けている事を嬉しく思った。その期待にはこれからも答え続けなければならない。

 毒も抜けた十兵衛はしっかりと立って、ダッシュしたり飛び上がったりした。垂直跳びで五m。常人では有り得ない高さだが問題なく飛び上がれ、着地もしっかりしている。


「うん、もう大丈夫だ。皆も休めたか? 続きを行こう。もうあんなイレギュラーはないだろ。もちろん油断は禁物だがな」


 そう十兵衛が言うと自信満々で三人が立ち上がった。十五層を必ずクリアする。その思いが身体中から溢れ出していた。



 ◇ ◇



 :十五層突破しちゃったな。

 :あぁ、あっさりに見えたけどやっぱり苦戦した場面もあったよな。

 :三ヶ月で十五層とかマジペース早い。でもそれだけの実力を備えているんだよな。

 :これで十代だろ? 伸びしろしかないよな。チーム・暁がどこまで行くのか。日本最強チームになっても俺は驚かないね。

 :そうだな、今日本最強チームって自衛隊除くとどこだ。

 :その論争は戦争になるからやめろ。

 :とりあえずチーム・暁の十五層攻略に乾杯。

 :いや、めでたい。

 :酒が美味いぜ。

 :十兵衛くんたちが二十歳になったら俺、一緒に酒飲むんだ byゴブリンキング一緒に討伐した中層探索者。

 :そういえばレオさんのチーム主催で打ち上げしたんだったな。羨ましい。

 :レオさんも二十層ボスに挑戦するんだろ。攻略すれば下層探索者だよな。

 :まだ二十だろ。十兵衛くん並とは言わないけど、同年代の中では頭二つくらい飛び抜けているよな。

 :そしてレオさんと十兵衛くんたちは仲が良いんだよな。

 :アレクシオンと暁の合同攻略とか見てみたいな。

 :何その夢のタッグ。

 :見たい。


「おかえりなさい。チーム・暁の皆さん。ブラックヴァイパーと戦うなんて自殺行為ですよ。ハラハラしてドキドキして心配しすぎて倒れるかと思いました」

「ただいま、如月さん」


 十五層を見事に攻略し、帰ってきた十兵衛たちを迎えたのは専属受付嬢、如月美香だった。美香は本当に心配していたようで、特に毒を受けた十兵衛にはギルドの治癒士の診察を受けろと厳命を受けた。

 十兵衛の感覚では毒は完全に抜けている。だが専属受付嬢の忠告には従わなければならない。ちゃんと医務室に行くことを約束した……と、言うか約束させられた。


「これで十兵衛くん以外、最澄くん。茜さん。梨沙さんもB級探索者の仲間入りです。ライセンスをください。更新手続きをします」

「えっ、もうですか。十六層以降をある程度探索しないとB級には上がれないんじゃ」

「何言っているんですか。十五層までをあれだけ問題なく攻略でき、更にブラックヴァイパーを倒したんですよ。B級に昇格するのは決定事項です。ついでに言うと十五層で未帰還のパーティが幾つか居たんですがその元凶がブラックヴァイパーです。下層探索者に依頼して倒して貰うつもりだったんですが、チーム・暁が倒してくれたのでその必要はなくなりました。下層探索者を三チーム雇うつもりだったんですがその分の予算が浮いたので報奨金に上乗せしておきますね」

「あ、ありがとうございます」


 報奨金が増えると聞いてみんなは喜んだ。十兵衛に取っては金はあくまで金だ。山程あったからと言って使い切れない金額は余裕としては持てるが、手に余る。

 ただ最澄が盾と鎧にブラックヴァイパーの鱗を組み込んで改修する。茜も胸当てなどに鱗を使うと言っていた。その作業料にはかなりの金額が掛かるだろう。報奨金の半額はパーティ口座に振り込まれるので、そこから出すことにする。其の為にパーティ口座を作ったのだ。


「改めて、チーム・暁の皆様。お疲れ様でした。今後の活躍も協会は大いに期待しておりますので、頑張ってください。でもまずは数日休んでくださいね。明日協会に来たら追い返しますから、覚悟しておいてくださいね」

「「「はいっ」」」


 美香の迫力は凄く、十兵衛たちは頷く事しかできなかった。




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