解説 馬での移動について
作中では、馬を利用した移動シーンがよく出てきます。そこで解説ページを作りました。
≪馬車について≫
一口に馬車といっても、さまざまな形態があります。
ぱっと見で分かる違いといえば、
・有蓋か無蓋か(つまり箱型かオープンか)
・四輪か二輪か
・車内の座席は対面式の四人掛けか、前方を向いた二人掛けか
・何頭の馬で牽いているか等
座席が対面式の四人掛けは、王族や大貴族が乗る豪華なタイプ。これよりランクを下げると二人掛けになります。
第55話(カール大公と外出)や第64話(プラハへの道中)は、おおやけの外出ではなかったので、あえてランクを下げて二人掛けを想定しました。
また馬車の前に乗って馬を走らせる人を、御者といいます。
御者を自前で召し抱えるのは、現代のセレブがお抱え運転手を雇うのと、一見すると似ています。
しかし実際には、召使いの中でも御者は最下層の扱いでした。
彼らの仕事は、雨風にさらされるきついもの。「肉体労働は卑しい身分の者がすること」というのが、彼らを雇っていた裕福層の考え方でした。
≪馬について≫
「馬は走るもの」というイメージを持たれる方も、少なからずいるかもしれません。
しかし馬も生き物なので、延々と走り続けることは出来ません。
どれくらいの速さで移動できるかは、次のとおり。
・常歩(ゆっくり歩く):5~6km/h
休憩をはさみながら何日も継続して歩ける
・速歩(馬にとってのジョギング):13~15km/h
同じペースを継続できて約1時間
・駆歩(走る):20~30km/h
継続できて30分
・襲歩(全力疾走):60~70km/h
レース時の競走馬、継続できて5分
人を乗せているか、どれくらいの重さの荷物を運ぶか、道の険しさ等の諸条件により、馬の疲労具合は変わってきます。馬車を牽いていれば、むろん体力も消耗しやすいでしょう。
先を急ぐ旅では、馬が疲れる前に、別の馬と交換していました。
馬車を利用した長距離移動を例に挙げると、次のとおり。
・ママ王妃の輿入れ:ウィーン⇒コンピエーニュ
出発:1770年4月21日 到着:5月14日
・主人公の引っ越し:パリ⇒ウィーン
出発:1795年12月19日 到着:翌年1月9日
現代に比べて、交通網が未発達。
都市を離れると、道らしい道は減る。
急ごうとスピードを上げると、馬車の乗り心地が悪くなる。これが昔の交通事情。
自動車なら一時間かからない距離も、朝に出発して夕方に着く。そうした社会でした。
馬車に関する説明は、参考文献で挙げた『馬車が買いたい!』を元にしました。
また馬の移動速度は、こちらのウェブサイトを参考にしました。
引用元:乗馬用品専門店ジョセス「馬が1日に走れる距離は?どのくらい?時速何キロで走る?」
https://www.jothes.net/contents/column/3261/




