ソフトストーカー
「マイ姉様、じれったいですよ。ガバッと襲っちゃえばいいんですよ」
アンちゃんが不穏な事言ってる。何よその襲うって。あたしの名前はマイ。最強の荷物持ちと呼ばれる冒険者ザップ・グッドフェローのパートナーだ。パートナーのはず?
あたしとアンちゃんは今日はお休みで、今リビングでコーヒーを飲んでいる。ちなみにザップとジブルはお仕事だ。
「サキュバスじゃあるまいし、そんな事出来るわけないでしょ」
「けど、あんまりうかうかしてたら、ご主人様、他の誰かにコロッといっちゃうかもしれないですよ」
確かにそう。ザップの周りは女の子ばっかりだ。しかも可愛い。男友達と言ったら、王様のポルトさん、後輩のパムとレリーフくらいしか見た事がない。なんでだろ。
「それならそれでしょうがないんじゃない。ザップに好きな人が出来るのは悪い事じゃないわ」
「何言ってるんですか。ご主人様はマイ姉様の事を好きに決まってます。ご主人様はヘタレですから行動に移せないんですよ。ですから、マイ姉様からいくしかないんです!」
なぜ、あたしがアンちゃんにこんなに攻められてるのかと言うと、昨日、あたしとザップは一日中二人っきりだったのに何もなかった事を話したからだ。昨日は、アンちゃんはジブルと一緒に仕事で遠出してた。
「だから、それはザップ次第って言ってるでしょ。ザップがやな事はあたししたくない」
「何言ってるんですか。やなわけないじゃないですか。しょうがないですね。私には長い時間がありますから、まだ、我慢して見守ってます。次、次こそは頑張ってくださいね」
そう言うとアンちゃんは出ていった。何を頑張れって言ってるのよ。自分だってザップの事好きなくせに。
けど、あんまり正々堂々としてないのはわかるけど、やっぱりあたしからザップに告白するのは無理だわ。多分、ザップに『ごめん、マイの事は友達だと思ってるよ』とか言われたら立ち直れない。多分、人が来ない山とかに籠もって一生出て来ない自信がある。言い方は変だけど、女の子にとって恋は戦い。絶対に負けられない戦い。だから卑怯だけどあたしは待つ。ザップが『好き』って言ってくれるのを。
昔、あたしを育ててくれたお母さんが言ってた。好きな人ができたら、できるだけずっとそばに居なさいって。ずっと好きな人のそばにいたら、周りの人は遠慮して近づいてきにくくなるから、ぜったいにいつかチャンスは回ってくるからって。要は周りから見ると、あたしとザップがつき合ってるように見えたらそうそうザップを口説く人は出てこないはず。それに、あたしたちって一つ屋根の下に暮らしてるんだよ。客観的に見たら恋人同士にしか見えないはずよ。けど、あたしはストーカーじゃないから、ザップが嫌がる事はしないわ。
あたしはずっと待つわ。ザップの事を。まずは、今日も美味しいご飯作らないとね。
一方その頃ザップは、何も考えずゴブリン相手にハンマーを振るっていた。そして、ソフトなストーカーが待ってる家に帰っていく。
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