限定迷宮 22
『マイの死亡を確認しました。死因はスライムの集中攻撃です』
『ピオンの死亡を確認しました。死因は切腹です』
マイ、そしてピオンも女神像の前に現れる。2人とも現れるなり座り込む。さすがに2人ともあの場は乗り切れなかったか。ん、けど、なんか不穏な言葉が聞こえたような? 切腹?
「ピオン、切腹って何?」
三角座りで息を荒らしながらマイが言う。
「なんとかダガーを手に入れたけど、囲まれたから自刃した。忍者のプライドだ」
おいおい、ドヤる事じゃないだろ。ギリギリまで戦えよと思ったけど、1人でダガー片手に大量のスライムに囲まれたら時間の問題じゃあるだろう。けど、切腹は僕には無理だ。めっちゃ痛そうだ。相変わらずのサイコパスっぷりだな。
「あーあ。初めて死んだわ。これは二度と体験したく無いわね」
マイの顔が青白い。そりゃそうだよな。
「私は昔一度実際にご主人様に殺されかけた事ありますから。そこまでは」
そうそう、昔ドラゴンのアンの額をカチ割った事あったな。まだ根に持ってるのか?
「私も、ザップと出会った時に自分で首刎ねたから。けど、首より腹の方が痛い」
そうか、腹の方が痛いのか。どうでもいい情報だ。ピオンもそう言えばファーストコンタクトで瀕死になってたな。
「そうね、私はトロールにバッキバキにやられたわね」
マイは冒険者パーティーの荷物持ちで、仲間を全員やられたんだったな。それで僕と出会い運良く生き残った。
「ねぇ、じゃ、みんなザップと出会った時瀕死だったって事ね。感謝しないとね」
「そっかー。ご主人様はそうやって死にかけた人を助けてハーレムメンバーを増やして行ったんですね」
「おい、ドラドラゴン。人聞きが悪いな。困ってる人、死にかけた人が居たら助ける。そりゃ当たり前だろ」
それに何がハーレムだ。確かに僕の回りは女の子ばっかだけど、誰一人手を出してない。ハーレムもどきだ。
「まあ、ザップのハーレムなんかどうでもいいから。どうする、また行くか?」
切腹忍者はメンタルが強いな。もう行く気なのか?
「そうね。なんか気分が悪いけど、行かないとね」
マイは立ち上がる。
「気分悪いなら、しばらく休まないか?」
「んーん、いいわ。歩いてたら回復すると思うわ。あたしは初めてだけど、ザップ達、3回目でしょ。あたしも少しは慣れないと」
んー、死ぬのに慣れるって良いことじゃ無いな。死んでもいいって思って戦うと絶対に死ぬ。けど、ここをクリアするためには死に続ける事だろう。
「じゃ、行くぞ」
努めて明るい声で、僕はダンジョンへの螺旋階段に向かう。
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