酔っぱらい襲来
[今からご飯ですか、私も食べてこようかな~]
「今はお前に頼るようなこともないし、言ってきたら?」
[良いんですか、ではお言葉に甘えて~]
ブツッ……。半分ぐらいは冗談だったんだが、いいか。
気が付けば、ギルドの前に着いていた。
あー、確かにいい匂いがする。腹が減ってきた。
中へ入り、ゆっくり座れそうな場所を探すと知ってる顔を発見した。
あれは……
「お前は……バンデだっけか?」
「ん?……そういうお前は英雄の坊主じゃあねぇか」
「英雄?」
「しらばくれんなよ。お前が昨日、攻め込んできた極術師を返り討ちにした
って話は広まってるぜ」
「その話か…あんまり言わないでくれ。思い出したくないこともあるから頼む」
その話を聞くと全身が焼かれる、自分の左腕が焼け焦げてるを思い出す。
あんなのを思い出す以上はあんまり言ってほしくはない。
しかも、勝ってないし。
「そう言うのなら気を付けよう。それでお前がここに何の用だ。あの二人か?」
「そうなんだが、今はそれよりも飯が食いたくてさ。ここで食えるって
聞いたんだが、おすすめは何かあるか」
「おすすめかぁ……肉料理がおすすめだな。担当が肉にうるさくてな
うるさいだけあって絶品だぞ」
「肉料理か……」
前に肉を大量に食ったが、また食べるのもいいだろう。
あの時は嫌なこと思い出して、無理に腹に詰め込んだ形になったから
今回こそはおいしくいただきたい。
「それらにするかな」
「それらってなんだよ。複数食う気か?」
「そのつもりだ、腹が減ってるからな。お前も何か食うか?」
「もしかして奢ってくれるってのか?」
「そのつもりで言ったんだが、いらなかったか?」
金が大量にあるからな、どうせ持っていても使わないし。
ガンガン使って、経済回した方がいいに決まってる。
「いやいやいるいるいるって!いやー今日はついてるぜ!じゃあ、こいつを頼む」
と言いながら近くのメニュー表で数字の数が多く並んでいる物を指さす。
こいつ、遠慮ってものがないのかよ……別にいいんだけど。
それを含めて頼んだ後に適当なところに座る。
「いやーー!!はっはっは、ありがとな坊主」
バンデは笑いながらバシバシと背中を叩いてくる。
「叩くな叩くな」
ドアが開く音、そちらに目を向けるとラオージュがいた。
出て行ってから少しばかし心配してたんだが………。
片手に瓶を持って、ふらふらしてるんだが酔ってないかあいつ?
疑問を持ちながら、眺めているとバンデに顔を掴まれ強制的に
反対の方向に向けられた。
「今のあいつに気づかれないようにしろ」
「やっぱりあいつ酔ってるのか」
「あぁ、あいつは酔うと面倒なんだ。だから、帰るまで静かに……」
人の気配を隣から感じる。そして、バンデがすごく嫌そうな顔をしている。
「よぉ…おめーらのんでっかー」
やっぱりバレたか……。
酔ったラオージュはふらふらと歩きながら対面のところに座る。
「おめーらものめ、ほれ」
「いや、俺これから仕事あるからよ……」
「俺は酒飲めないからあきらめてくれ」
「なんだよーのりわるいなーーー!!」
絡み酒か……勘弁してくれよ、一番めんどくさいやつじゃねーか。
ここは奢ったんだ、等価交換としてバンデに生贄になって貰おう。
「バンデ、奢ったんだ。酔っぱらいの対応任せる」
そう言って席を立ち、別の席へと移動しようとする。
「は…?ふざけんな、嫌に決まってるだろ!」
しかし、服を掴まれて闘争を阻まれる。おのれ、共倒れさせる気か!!
服を掴む腕を掴み、軽くひねる。
「いででででで!!実力行使は卑怯だろ!」
「卑怯もらっきょうもねぇんだよ。じゃあな」
腕を離したのですぐさま別の席へと逃走する。よし、これで押し付けた。
別の席に座ると、頼んだ料理が運ばれてきた。
フライドチキンのような肉料理が二つ。匂いをかぐとスパイスが効いてそうな
刺激が強めの良い匂いがする。この匂いに腹の虫も音量を上げてきた。
早速いただこう。
「いただきま……」
「うまそーだな、こぞー。ひとくちくれよ」
匂いにつられたのか、ラオージュがこちらに来た。
バンデはこちらを向いて「ざまぁww」と言わんばかりの顔を向けてくる。
まさか、こんな事になろうとは……。
「くーーれーーよーーーー!!ぜんぶでいいからさーーー!」
「全部はダメだ。一口ならいいぞ」
「せんきゅーーー!」
と言うと、チキンを一つ鷲掴みし、バリバリ食べ始めた。
ぐ……まぁ、1個残ってるんだ。1つが生贄になってる隙にいただこう。
さっさと掴んで、口へ運びかぶりつく。
表面の衣が割れて熱い肉汁が口の中へと流れてくる。
その肉汁の熱さに逃げたくなるが、負けじとそのまま一気に噛みちぎる。
口の中に広がる、肉のうまさ、スパイスの風味、弾力のある肉
うまいぃぃぃ。こういう肉は俺が生まれた世界ではチェーン店のぐらいしか
食った事なかったが…こんなに旨くはなかったぞ。
これはいくらでもいける、そのままの勢いでかぶりついていく。
一つを食べきると、続いての料理が来る。
おーー、今度は唐揚げみたいなやつか。いや、竜田揚げかな?
「いいなーー、くれよ」
「……1個だけな」
「さんきゅーー!!」
と言いながら今度は皿ごと持っていきやがった。まてぃ!!
「取りすぎだろ!1個だって言っただろ」
「いっこしかとってないじゃねーか!」
「1皿だとは言ってねーよ。返せ」
取り上げると不満そうに机をバシバシと叩き始める。
酔っぱらいめんどくせーー。




