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お墓参り 亡き極術師

「騎士らしいやつはいないな…」

「じゃあ、今のうちに行きましょう」


二人でそそくさと目的地である向こうへ向かう。

騎士隊に見つかったら、終わりだと思いつつ移動する。

今のところそれらしき人は見当たらない。


「今のところ見当たらないから楽だな」

「そうですね、バレたら怒られちゃいますので。用事を済ませて

早く帰らないと」

「……俺はバレたら絶対やばい」


多分というか恐らく良くて死罪だろう。

バレない事だけを願っておこう。


「あ、すいません。お花買ってきます」

「ん、わかった」


そう言って、近くの花屋に駆け寄っていくソラ。

王女に花…絵になるな。

チラッと行く手に目を向けるといてはいけない人物が見えた。

げ……シャルじゃん。

まずい、バレたらゲームオーバーだ。

ソラは花選びに夢中だし、話しかけてそっちに気をそらさないようにしないと。


「よう、昨日ぶりだな」

「あぁ。ケンよ、聞いているか?今日は隊長は不在なんだ」

「らしいな、ラルックドッシュだったかに行ってるんだろ?」

「あぁ、そうだ。だからこそ今日は気合いをより入れねばならん。

場合次第ではお前の力を借りる時が来る可能性があるが、その時は是非頼むぞ」

「あぁ、伝言でも言われてるしな。やれる限りはやるよ」

「期待しているぞ。では、私は行くが…」


ふぅ、気づかれなかったな。危なかった。


「ソラを頼んだぞ」


気づいてる……だと……。


「気づかないと思ったか。ソラ!お前何故外にいる」

「ふぇ!?……え、シャルちゃん!!どうしてここに……!?」

「お前と同じ目的だ…。騎士としては本来なら連れ戻さねばならんが、

今日だけは特別だ。早く戻って来いよ」


そう言ってシャルはスタスタと歩いて行った。

終わったと覚悟してただけにびっくりだ。見逃すだなんて思ってもみなかった。


「そっか、シャルちゃんも行きますよね」

「シャルも行くところか……。聞いてなかったけど、どこへ行くんだ?」

「お墓です。今日は大事な人の命日なので」


大事な人の命日か……知っている大事な人の墓参りなんて体験しなかったな。

墓参りは親父の祖父さんとか写真でしか見た事のない人だった。

知っている人だとやっぱり思うところがあるだろうな。


「命日………だから行きたかったのか」

「そうです。兄にとっても大事な人で兄も本来なら行きたかったと思います。

なので、兄の分も参りたいと思ってます」


兄の分も参りたいか、本当にいい子だな。

3人にとって大事な人か…。先代騎士隊隊長とかかもしれない。

先に墓地らしき場所が見えてきた。西洋の墓地のような感じに見えるな。

そして、一つの墓地に2名ほど何かしてるように見える。

掃除か何かでもしているのだろうか。


「もうやってるんですね、早いなぁ」

「もう?何をやってるんだ」

「お墓の掃除ですね。よく掃除をしてらっしゃるとの事なので…」


墓の掃除か、さぞかし亡くなった人が大事だったんだろうな。

どんどん墓地へ近づいていく。

その二人には見覚えがあった。名前は知らんが……。


「ん…?お嬢!?なんでここに…」

「隣にいるのは……貴様、やはり…」

「なんだよ、俺がソラを誘拐でもしてるってか。お前らそうやって

早とちりに行動するのやめろよ」


こいつらの事は忘れもしない、ラオージュの部下というかあいつ曰く弟分。

こいつらのせいであいつと殺し合いする羽目になったんだ。

だが、こいつらのおかげで王子らと会ってスカウトされたんだよな。

そこだけは感謝してる。


「お二人とも違いますよ、ケンさんには連れて来てもらったんです」

「……本当か?」

「本当ですって!」


こいつら知り合いか?いや…ラオージュが仲良かったし、そこ経由かもしれんな。


「ソラとお前らってどういう関係なんだ?」

「彼らは私の先輩なんです」

「で、先輩の俺らの先輩が兄貴や王子兄貴。そういう関係だ」

「ちなみにシャルちゃんは私と同じです」

「取り合えず王子兄貴ってなんだそれ…」


絶対にもっといいあだ名あったろ……。

それよりもこんな繋がりの人達が墓参りに来るって…恩師か何かか?


「あんまり聞くもんじゃあないかもしれないが、ここには誰が眠っているんだ?」

「兄と同じ世代の女性で、この国の極術師の一人だった人……フランさんです」

「フラン姉貴は炎を操る極術師で兄貴達と並ぶ程で…俺達の憧れだったんだ」


あいつらと同格って……それはやばいな、災害級の魔術を使うって事じゃあないか。

そんなやつが亡くなってるって事は…病気か何かだろう。


「そうか、そんな人物がここに眠っているのか」

「あぁ、そうだ。そして、あんな事が無いように、あんな気持ちにならないために

俺達は怪しい奴がいないか、勝手だけど警備してたんだ」

「じゃあ、お前らがちょっかいかけてきたのは俺が怪しい奴に見えたからか」

「あぁ、あんなところ普通は旅人がいるような場所じゃあない。その上魔力を

感じないなんて怪しさ満点だろ?」


そんな普通じゃあない奴が一目のつかないような場所にポツンといるなんて

怪しすぎるな…。そりゃあ聞きたくもなる。

が、そうなるとゆうき出して声かけたはいいが返り討ちに合った事になるな。

その上、すぐにラオージュに助けを求めたと…………だっさ……。


「だけど、今は疑い晴れたんだ。そんな警戒するなよ」

「この国の王女を連れまわしているんだぞ。警戒するだろうが」

「私が連れ回しているんです。ケンさんは悪くないです。それに前で喧嘩されては

フランさんも困りますよ」

「む……そう言われると……。お嬢と姉貴に感謝しろよ」

「何が感謝だよ………。それよりも俺も拝ませてくれ。この人の事は知らないが

別にいいだろ?」

「はい、大丈夫です。きっとフランさんも喜んでます」


手を合わせて、拝む。

ここに眠るフランって人がどういう人なのかは話に聞いた情報以外はわからない。

それでも、彼女の事を思って拝む。

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