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目的地に居座るモノ


「後はこのまままっすぐだ」

「ん、了解」


あれから走り続けて、もうすぐそばまで来ていた。

大体体感1時間と15分立ったぐらいか。


「しかし、この速度を維持しながらこれほどの時間よく走れるものだ。

これも、その拳法?とか言うやつの力か?」

「半分ぐらいはそうだな。残り半分は俺の力そのものって感じかな」

「せ、精製出来る魔力と魔術の術式の関係と同じですね。け、拳法と言うもの

に興味がわいてきました」

「ん、今度教えてやろうか?ただ、やるからにはビシバシ行くから覚悟しろよ」

「え、遠慮しておきます。ぼ、僕は運動苦手ですから」


あら、残念。聞く限りこの世界には拳法どころか武術とかの体術全般存在しない

みたいだから、せっかくだし広めたかったんだが…。

ただ、禁忌の拳法って話だったが、別世界だしいいだろ。

そんな話をしているうちに麓の森に着いた。

木が生い茂っており、ここから先は馬車では行けないな。


「予定ならば夜にここに着く予定だったんだけどなぁ」

「早く着いてよかっただろ。さっさと行こうぜ」

「待て、この森は迷いやすいんだ。慎重に……」


とシャルの言葉を遮るかのように地響きが起こる。

何の音だ?

音がする方向は森の先…山からのようだ。

言ってたモンスターか?など思っていると音を起こしながら巨大な蛇が現れた。

山にいるというのにここからでも姿が確認出来るほどの巨体、ありゃ怪獣だぞ。


「あ、あれはソル―レピトセル。こ、こんなところにいるなんて」

「知ってるのか、シェシュル」

「は、はい。そ、その巨体故に体を動かすだけで山を削り、川を埋める。

特大級の危険モンスターです。ほ、本来ならもっと山奥にのみいるはず

なんですが…。そ、それにしてもあれを狩るなんてアーシェ王子か

ラオージュさんの力を狩りないと不可能ですよ」

「確かに自分で言うのもなんだが、私も魔術の腕には自信があるがあれ相手には

流石にどうしようもない。確かに蛇のモンスターと聞いてはいたが…」


俺も流石にあれをどうかするのは骨が折れる。物理的な意味でも折れる。

3人も流石にあれは…という具合だ。俺もそうだがあんな巨体なのが出てくるのは

流石に予想していなかった。だが、あんな大口開いた以上デカすぎて倒せないから

帰ってきました、なんて口を裂けても言えん。

こうなったら、体壊す覚悟で仕留めるしか……。

蛇の方は頭を上げた後に辺りを見渡す。まるで何かを探しているかのようだ。


「あ、あれ?」

「どうした、何かおかしな点でもあったか」

「た、確か、ソル―レピトセルはあのように警戒をするような生物ではなかった

はずです。も、もっと堂々と君臨する存在だったはずです」

「たまたま、今回のがそういう個体だって可能性もあるが…ふむ」

「引き帰してもいいが、隊長から頼まれたんだ。なんとかしたいものだが…」

「いやいや、ここは引き帰そうよ」


意見も諦めて引き帰すという方とまだ諦めずになんとかしようとするという二つで

別れる。どちらも間違ってないからな。どちらを選ぶべきか…。

悩んでいるうちに蛇は再び頭を下ろして見えなくなる。


「俺は別に手を出さずともあいつが潜む場所を正確に知りたいから森に入ろうと

思うんだが、お前らはどうする?」

「私は同感だ。勝てずとも次に繋げようとする方を選ぶ」


シャルは賛同すると。


「ぼ、僕もついて行きます。あ、あんなにお金を貰ったんです。帰るわけには

いきません」


以外にもシェシュルもか。ビビッて断ると思ってたんだが義理堅いんだな。


「く…仕方ない。あたしも行くわ。けど、もしもの時は頼むわよ」


全員突入だな。よし、さっさと行くか。

戦闘を来たことのあるシャル真ん中にシェシュルとアシェル、最後を俺の順で行く。

一番前でも良かったのだが、未経験者より経験者の方が幾分かマシだろうという事

でこうなった。だが、最後列を任された以上はしっかり守らないとな。

特にモンスターの出現などのトラブル無くどんどん奥へ向かっていく。


「と、特に何も出てきませんね」

「それがいい。トラブルなど百害あって一利なしだ」

「俺もそれには賛成だ。下手な事あってあの蛇がこっちに襲い掛かってきたら

たまったもんじゃあないからな。何もないのが一番なんだよ」

「あ、嵐の前触れじゃなきゃいいんですけど…」


やめろ、そういう事はフラグだから言うもんじゃあない。


「シャル、今どこまで進んだんだ?」

「今、半分を超えたぐらいだ。後少しで抜け…」


ドズゥゥゥン!


巨大なものが落ちたような音がし、バキバキと言う音が迫ってくる。

これは…まさか…!!

すぐさま、三人を抱え、音が鳴らすものから逃れるべく走り出す。

そして、音を鳴らすもの…巨大な尾はさっきまで俺達がいた場所を薙ぎ払う。

バキバキと言う音は木が尾でへし折れ、掘り返される音だった。


「あっぶな…」

「す、すまない。すぐに察せなかったばかりに」

「気にすんな。あの状態なら誰が気付いてもこうしなきゃ薙ぎ払われたろうよ」


自らの気づきに感謝しつつ、惨状を目にする。

こんなの喰らってたら、俺はまだしも3人は肉塊になっただろう。

山へ目を向けると、蛇はまたもや頭を上げてキョロキョロと辺りを見渡していた。

相当警戒しているようだな。だが、何を警戒しているんだ。

あれほどの巨体ならば天敵なぞそうはいないだろうに。


「お、おかしい…。ソル―レピトセルは意味もなく破壊活動はしない

モンスターなはずです。となると…」

「何か理由があってしている事になるな」

「です。ま、まるで何かを…。あっ!」

「どうした、シェシュル。何かわかったか」

「お、おそらくですよ。おそらくですけど、何かを守っているのでは

ないでしょうか。自分自身に天敵がおらずとも守っているもの、

例えば卵だったりならば敵はいるはずですし」


なるほど、どの動物も子供がいる期間ってのは神経質になり狂暴性が増すと聞く。

十分ありえる話だな。


「確かにありえる話だ。となればそれが真実かどうかを確かめる必要がある。

もし、真実ならば一旦隊長に報告し、判断をゆだねた方が良いだろう」

「それがいいな。だが、問題はどうやって真実かどうか知るか、だ」

「そ、そうですよね。へ、下手に近づいて刺激でもしたら襲い掛かってきますよ」


俺一人ならば、別に特攻してもいいんだが、今回は俺以外もいる。

ここは慎重に行くべきだ。が、問題はどうやって真実かどうか知るかだ。

単純に抱えているだけならいいが、もし、埋めてあったりしたら掘り返したり

でもしない限り確認できない。どうするか…。ん…?


「なぁ、何か寒くないか?」

「そうね、確かに言われてみればさっきよりかは涼しいけ「グルル…」…!?」


アシェルの言葉を遮るかのように獣の唸り声が聞こえた。

その声と共にどんどん唸り声は数を増していく。これは……。


「狼の群れか?」

「いや、違う!これは氷狼の群れだ」


氷狼だと…氷と聞いて王子に氷漬けにされたことを思い出し、身震いする。

もうあんな事になるのだけはごめんだ。


「か、完全に囲まれてます。ま、まずいです」


確かに気が付けば、四方から唸り声が聞こえる。これは逃げれそうにない。

逃げられないのならば、無理やり突破するのみだ。


「お前ら、やれるか?」

「私は大丈夫だが、お前達可能か?」

「あたしは大丈夫だけど…」

「ぼ、僕も大丈夫です!」

「なら、安心した。さて……やるか」


一息つき、体をリラックスさせ、心を落ち着かせる。

いつ来ても対処できるように。

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