黒き大災害その9
口から熱線を吐いて周りを薙ぎ払うドラゴンへ一直線に向かって行く。
今見れば、熱線を吐く時間が短くなっている気もするが……
そう思っているとドラゴンはこっちに顔を向けて息を吸い始めた。
明らかに俺を狙ってやがる……
進行方向に誰もいないのを確認してからその方向へと進路を変える。
変えてからすぐに俺へ向かって熱線が放たれる。
すぐ後ろを破壊しながら熱線が追いかけてくるがすぐに追いかけるのをやめた。
やっぱり、熱線を吐く時間が短くなってるな。
ギギャァァアアオオォォォォ!!
恨みをこもったかのような咆哮を上げ、俺を睨みつけるように見るドラゴン。
そりゃ逆鱗剥ぎ取ったんだから恨みしか抱いてないか…。
今度は軽く息を吸い込んで蒼い炎を吐いてくる。
熱線よりも遅いため簡単に躱せたが蒼い炎は地面を焼き溶かしていく。
そんな蒼い炎が俺を追ってくるが熱線より遅い以上追いつかれるわけがない。
一気に距離を詰めにかかると今度を熱線を吐くよりも多く息を吸い始める。
強力なものを吐いてくるのは明白なので大きく進路を変える。
その直後にドラゴンの口からレーザーのようなものが発射され
地面にあたるや否や地面の下から大きな爆発が起こり、地面を砕いていく。
キィィィィィィィィィィィン!!!
と疳高い音を鳴らし、地を爆発させながら追いかけてくる。
おいおい、弱体化したんじゃないのかよ!?
だが、炎よりは速い程度で熱線よりは遅いので問題はない。
このままどんどん速度を上げながら駆け抜けていきドラゴンの懐へ入ろうとするが
近づくと熱線を吐くのをやめて踏み下ろしたり、尾を振り回してくる。
これじゃあ、近くであれを撃ち込む事が出来ない。
距離が近くないと破壊出来ない可能性が十分にあり得る以上近くで放つ必要がある。
どうやって隙を作るべきか……。
後ろに跳び退いた俺を見て、腕を振り下ろして潰しにかかるドラゴン。
避けようとしたところで突如横から腕を迎撃するべくキコの親父さんが
突撃して行き、一撃を当てる事で腕の軌道を反らす。
そして、俺のすぐそばに着地する。
「けん、どうした。何故反撃をせん?」
「いや、一発でかいのを当てるための隙を探してたんだ。
決して避けるしか手がなかったわけじゃねえよ」
「ふむ……ならば、その隙を作ってやる。その一撃を見せて貰おうか」
そう言うと親父さんはドラゴンが再度振り下ろして来た腕に対して
腕の筋肉を傍聴させて迎え撃つ。
「山壊岩砕撃!!」
ドラゴンの腕と親父さんの腕がぶつかり合い、衝撃と轟音が辺りに
広がり、鼓膜に大きなダメージを与えてくる。
だが、隙は出来た。この隙に一つ息を吐いて構える。
[ケンさん、本当にやるんですか?]
当たり前だろ、ここまで来てへこたれるかよ。
ドラゴンの攻撃が来る前に右手を握り締め、狙いを定める。
「地を砕き、空を裂き、海を吹き飛ばすこの拳に砕けぬものなし!!」
左足に一瞬の脱力から一気に力を込めて踏み込む。
地が砕ける感覚と共に嫌な感覚も伝わってくるが、無視して拳を振るう。
「滅殺界砕拳!!」
拳はドラゴンに当たるや否や音を置き去りにした衝撃によって怪獣のような大きさの
ドラゴンの巨体が宙に浮き、手には硬いものを砕いた感覚が伝わり
その直後に拳が放った衝撃の余波が辺りに轟音になり響き渡り
暴風となって吹き荒れて見える範囲のものを吹き飛ばす。
―――――――――――
遠く離れた土地で地震のような大きな揺れが起こる。
北東にある畑にて……
「ブボォォォォ……」
「じ、地震か!?」
「じ、爺さん……」
老夫婦は自らの家族の一人である家畜に寄り添い、地震に恐怖する。
北東にある大きな建物の一室にて……
「じ、地震……………兄さん、皆さん…無事に帰ってきて……。
私はもう、間に合わなかった悲しみなんて味わいたくない……ッ!!!!」
北東の国の王女はかつての悔しさを、悲しみを思い出し
全員の無事ではなくとも生存しての帰還を願った。
北東の国から離れたある村にて
「じ、地震かッッ!?」
「村長、これは天変地異の前触れでしょうか!?」
「わ、わからぬ……だが、何か強大な事が起きている事だけはわかる」
村長と村人は何故か起こる異常事態にただただ恐怖する。
―――――――――――
こんな天災のような一撃を人の身でただで撃てるわけもなく反動が牙を剥く。
右半身全身に襲い掛かる負荷、腕からはブチブチと嫌な音が聞こえ、激痛が走る。
見てみれば、反動に耐え切れず折れた骨が皮膚を突き破って外へ飛び出していた。
「ぐ…ぁ……く……」
痛みに耐え切れず、声を漏らして思わず膝をつく。
そして、痛みは熱となって喉を登って来て
「ガハッ…ゴホッゲハッ……!!」
血の塊が口から吐き出される。
血を吐き切って肩で息をしながらドラゴンの方へ目を向けると
衝撃が直撃した部位の甲殻や鱗が砕かれていて、肉がむき出しになっていた。
破壊するという目的は達成できたようだが……
ゲ、ギャッ………ギギャァァ……
ドラゴンは嗚咽が混じったかのような声を上げながらこちらを睨みつけて
大きく息を吸い俺を熱線を焼きつくそうと狙いを定める。
そんな俺を親父さんは拾い上げ、担いで走り出す。
「見事だったぞ、けん。だが、これからどうするつもりだ?」
「あ、後は……あいつらがなんとかしてくれるさ……」
俺はやる事はやった、後はあいつらに任せるしかない。




