黒き大災害その10
時間は少し遡り―――――――――
「あぁ……わかった、頼まれたからにはなんとかするさ。気にすんな」
そう言って、通信魔具を切った後に軽く溜息を吐く。
魔術を効くようにするからとどめは任せたとか……あの野郎また無茶でもする気か?
倒せるんなら無茶をするって言う気持ちはわからんでもないが
死んだら、悲しむ人がいるとか考えねーんかね、あいつは……。
そう思いながら、離れた位置で熱線を吐いて暴れまわる化け物を見続ける。
「ど、どんな事を言われたんですか?」
「いやなに、ケンの野郎が化け物に魔術を通るようにするから止めは頼んだだとよ」
「……あやつ、何をする気だ?」
「そりゃ……これで一発ドカンとやる気だろ」
そう言って、拳を作って片手の叩く。
それとほぼ同時に立っている場所が、地面が急に沈んだそんな感覚に陥る。
「「「…ッ!?」」」
は………?何が起きた!?何があった!?なんで地面が急に沈んだんだ!?
そんな疑問が頭を埋め尽くすが、原因は考えるに一つだ。
すぐに化け物の方を見ると化け物がいる場所が完全に陥没していた。
おいおいおいおい、マジか………。
その事に絶句せざるを得ないが、その後に暴風と轟音が襲い掛かって来た。
それを防ぐためにすぐさま魔力壁を貼る。
「……ッ!?」
暴風……いや、衝撃が魔力壁を砕かんと襲い掛かってくる。
あんなに離れてるのにこんな衝撃が襲ってくるとかあいつの体どうなってんだ!?
衝撃によって巻き上がった土煙や瓦礫が収まり、化け物の姿が見えてくる。
甲殻や鱗で覆われたはずの部分が見事に吹き飛んで肉が露になっていた。
おいおいおい……あいつやりやがったぞ……。
あいつが言うぶじゅつとかいうものの可能性を見させられたところで
すかさず腰にある剣を手に取る。
確かにあれならば魔術は通るはずだ。
剣を化け物に向けて、斬風の竜巻を放つ。
竜巻は一直線に露になった肉をそぎ落とさんと向かって行く。
が、化け物はすぐさま翼で竜巻を防ぐ。
「あの野郎……ッ!?……こうも易々防ぐか」
竜巻の勢いを上げて、押し込もうとするが翼は鉄壁のようでビクともしない。
すると翼に竜巻が弾き飛ばされる。
「な……ッ!?」
そして、化け物はこちらに向きながら口を蒼く光らせる。
げ、やば…………!?
すぐに防ぐべく強力な防御壁を貼ろうとするが、その前に溶岩が化け物の
足元から吹き出し、露出した肉を焼き貫こうと襲い掛かる。
ギギャァァァアアアアア!!!
悲鳴みたいな声を上げる化け物だが、化け物は怯みながらも口を光らせて
足元の溶岩を熱線で吹き飛ばし、こちらへ向けて咆哮を上げる。
その姿を見ると焼かれた部分は焼き焦げていた。
魔術が通じている、あれならいけるぞ!!
そう思い、今度は空から巨大な竜巻を呼び起こす魔術を使用する。
千載一遇のチャンスだ、無理してでも押し切る。
いくつもの竜巻が化け物の動きを拘束しようと襲い掛かるが化け物は
蒼い炎を竜巻に吐きつける。蒼い炎は燃え移ると同時に一気に竜巻を燃やしていき
魔術で作り上げた雲まで到達し、あっという間に焼きつくす。
「こうもあっさりと破壊するか……」
自慢の魔術だったんだが……
そう思ってると化け物はそのまま蒼い炎をこっちまで飛ばすように吐きつけてくる。
蒼い炎を防ぐために魔力壁を貼ったり、ヴォンカが溶岩の壁を
形成するが蒼い炎はそれらをいともたやすく焼いていく。
化け物は効いているのがわかったのか蒼い炎を連続で吐き続け
俺達の辺り一帯を焼きつくそうとする。
「ま、不味いですよ!?に、逃げましょう!?」
「いや、ここで逃げても無駄だ。ここで押し切らないと多分負ける!!」
そう思い、自分に活を入れて蒼い炎を振り払おうと魔術を起動しようとした
ところで氷の壁が蒼い炎を受け止めて、焼き尽くされていく。
「…アーシェ、もういいのか?」
「ああ、すまない。さっきまで迷惑をかけた。
蒼い炎に関しては任せて、二人は攻撃に専念してくれ」
「わかった、いいな。ヴォンカ」
「ああ、任せておけ!!」
二人して体に鞭を打って魔術を起動して竜巻を放ち、ヴォンカは炎塊を放つ。
それを見て化け物は炎を吐くのをやめて、大きく息を吸って熱線を吐いて
竜巻と炎塊を吹き飛ばしながらこっちに向かってくる。
その熱線を防ぐために巨大な氷壁が前方に築き上げられて熱線を受け止める。
氷壁は破壊されながらも即座に再構築を繰り返す事で熱線を防ぐ。
この隙にすぐさま剣を化け物へ向けて発射しようとしたが、足から力が抜けて膝をついてしまう。
やべえ……魔力を使いすぎた………。
「ッ!?…ラオージュ!!」
「す、すまん……」
……自分の残存魔力の出来ないとか…極術師の称号を返上しないといけねえかもな。
そんな事を思いながら自分の情けなさに笑いがこぼれる。
すぐに深呼吸をして少しでも魔力が回復する速度が上がるようにする。
速く……少しでも速く………!!
カッッッ!!!
少し離れた位置が光った瞬間、化け物へ光線飛んでいき直撃する。
ギギャァァァアアオオ……!!!!
悲鳴みたいな声を上げ、怯む化け物。
化け物はそっちを見ると大きく息を吸ってそっちに向けて熱線を吐き始める。
「ラオージュ、大丈夫かい?」
「ああ、ちょっと計算ミスっただけだ」
まだ全く回復してないが、そう言って立ち上がる。
しかし、参ったな……。
「突破口が見えたというのにまさか、ここまで苦戦するとはのう……」
「ああ、このままじゃじり貧だ……。
アヤカ君が注意を引いている隙に打開策を考えないと…」
「そうだな……こっちばかり疲弊するだけだからな。
せめて一撃で仕留められる方法がありゃ良いんだが…」
光線系の魔術は使えなくはないが、あれは対人用だから化け物には
効果は薄いだろうからどうしたものか……。
「い、一撃ですか……」
「どうした、何か方法でもあるか?」
「は、はい、研究段階なんですけど………」




