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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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87/103

ep.85

 

 本日も薬草の収穫をする。水は、どうしよう。少しだけ、やっておくか。薬草と果物に水をやる。結実したら、少し水は制限せんと。大きいだけで味がぼんやりしてしまったら元も子もない。まあ、ファンタジーの世界でそういうことがあるかはわからんが。なるべく現実準拠でいこう。


「すまん豊穣神。農家選ばなかったよ。」


 農家にも星くれていたのにな。手を合わせて謝罪を込めた祈りを。そして水をかけ、収穫物として薬草をひとひら。風で流されてしまうだろうが、その時はその時。ここで実った果実をお供えできるのが楽しみだ。


「忘れないうちに、回復薬やるからな。」


「   」


 昨日回復薬を買ってルーにやるのを忘れていた。まあ、今日は戦闘はせんだろう。【再生】の力も存分に使い、MP回復薬をルーにかけてやる。


「本当に効果あんのか?これ。」


「   」


 ルーが嬉しそうだから、まあよしとしよう。足の付け根も良くはなっていないが、悪くもなっていないように見えるし。ルー、俺、遊び人になったからな。今まで以上に日銭を稼ぐ毎日になるかもしれん。カジノでもあれば圧倒的なまでの運を使って、一気に大富豪になってやるのに。そういえばこの街でギャンブルの話は聞かないな。知る人ぞ知る違法賭博なんかはあるんだろうけど。一介のプレイヤーには知るよしもないか。


 あとは大口の取引先に寄ったらデイリーが完了する。そしたら、GAKU食堂の初陣だ。


「GAKU食堂はダサいな。cafe de G とか良いじゃん?」


「   」


 ルーには不評のよう。こいつ人間の機微が分かってんのか?格好いいのに。まあ確かに、cafeってなんかカジュアルな感じがするな。やっぱりジョンの店のような、The茶店みたいなのが渋くていいな。


 店の名前をああでもない、こうでもないと考えているうちに東門まで到着する。衛兵さんに挨拶し、街の中へ。今日はお世話にならないようにしないと。こないだの爆発騒ぎも終息したようだ。どういう経緯を辿ったかは気になりはするが、墓穴を掘りかねんから黙っておく。


 マダムの店に行く途中、ミアの家に立ち寄る。確か、執事とフレンド交換していたはずだ。在宅ならば、取り合ってくれるだろう。


 ”GAKU様、如何なさいました?”


 ”こんにちは。また水を汲ませてくれないか。”


 ”わかりました。少々お待ちください。”


 無事在宅だったようで、連絡が取れた。使うのは2度目だが、ものすごく便利だ。プレイヤーだけじゃないのが、とてもいい。前回は完全に不審者だったからな。最初に来た時もだったっけ。


「お待たせしました。」

「どうぞ。」


 少し待って執事が出てくる。広い家なのに、早いな。急いでくれたみたいだ。


 礼を言って、庭の中に。噴水のところまで行き、トノサマフロッグの水袋を取り出す。雨季なのに水質は安定している。噴水の機構自体も綺麗だし、この世界は空気も綺麗だということだろうな。まあ、魔法が進歩しているなら排気ガスとは縁遠いか。こちらの世界では雪も直接食べられたりするんだろうか。それなら、雪をたくさん集めて、暑い地域でかき氷でも売ろう。自家製の果物のシロップでもかければ現実では数千円の代物になる。この世界なら原価はほぼタダ。それで広い敷地を買ってドッグランでも作るんだ。俺がこの世界の全ての犬を幸せにしてやる。


「GAKU様。」


 おっと、水袋から水がこぼれている。キャパを越えたんだろう。結構入るのに。


「ありがとう。これで当分もつよ。」

「相変わらずここの水は綺麗だ。」


「ありがとうございます。」

「この街の誇りです。」


 街の誇りか。格好いいな。この街のトップに仕えるにふさわしい御仁だ。


「あ、そうだ。皿か入れ物持ってきてくれ。」


「皿、ですか?」


 お待ち下さいといい、執事は家の中に入る。ここに来た本来の目的を忘れるところだった。ここの推定領主家も食べた、という肩書きが欲しかったんだった。ミアに肉は重いかな?まあ、体調次第で食べたり食べなかったりでいいだろ。あくまでも領主”家”。最悪食べなかったとしても、カニをやった事実は存在するからその辺を濁して、御用達まで仕上げれば良い。


「お待たせしました。」


「GAKU!今日はどうしたの?」

「ルーも元気かしら?」


 まだ不思議そうな顔をした執事が皿を持って戻ってくる。執事が何度も出入りしているのが気になったのだろうか、はたまた執事が気を利かせたのかミアも一緒だ。相変わらず儚げな美少女。すまない。ダンジョンの話をしてやると言っていたが、また今度だ。


「ああ、変わりないようだ。今日は、水を汲ませてもらいに。」

「それと、差し入れだ。」


 そう言って、昨日仕込んでおいたフラワートルティーヤ、煮豚、野菜にソースを皿に乗せていく。とりあえず、2人分。仕込んでいた肉は、一度鍋を出す手間なく、肉だけ取り出せた。なんとも便利。そして、ほろほろ。完璧な仕上がり。


「俺のいたところで流行っている食べ物なんだが、作るのが手間でな。」

「こちらではスキルがあるから随分と楽だった。」


 普段食べているような上品な食いもんじゃないだろうが、まあたまにはいいだろう。こちらの世界では珍しいだろうし。人生には一定の刺激が必要だ。大丈夫。依存するものは入っていない。ラーメンインスパイアしてこちらの世界の住人をラーメン漬けにしても面白いかもしれない。ラーメンなら、他にも店出しそうなプレイヤーはいるかもな。


「まあ!ありがとうGAKU。」


「ありがとうございます、GAKU様。」


「水ももらったしな。軽食にでもしてくれ。」


 食べ方を教え、こちらも礼を言い、庭を出る。一旦店の事は伏せておく。この2人なら見逃してくれそうだが、利用したと勘付かれるのも具合が悪い。





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