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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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ep.78

 

 薬草の採取、果実の播種も終わった。落とし穴の準備で予定よりも時間を食ってしまったが、まあ許容範囲内。雨が降りそうだから、水撒きはなし。コーヒー用にいくつか買っていた布で神像を拭いて手を合わせる。神像繋がりということで、こちらでも職業選択ができないかと試してみたが、不発。やはり、神殿でないといけないんだろう。神の権能によるところなのかもしれない。豊穣神で選択できる職なんて農業系だけだろうし。それならそれでいいんだけどな。選択肢の少なさは、悪いことでもあり、いいことでもある。


「次は魔道具屋に行って、それから店舗さがしだ。」


 どこか協力してくれるところはないかな。イベント期間だけ間借りさせてもらえたりしたら最高なのに。それか、寂れた屋台とか飲食店。イベント後にはレシピあげるから、それと引き換えに場所提供してもらえないかな。大口叩いておいて、売れなかったら恥ずかしいが。飲食物の販売に許可がいるなら、そういう人も立てないとだし。食品衛生責任者的な。そこまで衛生面に気を遣った世界観ではないか。どちらかというと、売上に対する税金の方が問題が起こりそう。


「お疲れさまです。」


 衛兵さんに軽く会釈をし、街に入る。現場レベルでは、昨日の騒動からは落ち着いたみたいだ。あとは、上に報告されていないことを祈る。きっと、報告しているだろうな。問題は、俺が報告内容に挙がっているか、どうかだ。仕事のできる人たちだからな。言い訳考えておこう。急出なければ、ルーは置いて行こうかな。


「こないだ、痛めつけてきたのはなんだ?」


「さあ?」


 魔道具屋に到着する。前回ギルドの資料室での一件の恨み、はらさでおくべきか。店内に入るや否や、糾弾する。しかし、マダムは意に介さず書物から視線を外そうともしない。こんちくしょう。今にみてろよ。いつか絶対吠え面書かせてやる。


「うを、なんだなんだ。」


 マダムとのラリーが終わると、思わぬ闖入者が。わざわざ透明化を解いて、俺の隣に侍る蛇。涎なのか、毒なのか分からない汁を口から垂らしている。はしたないですわよ。今までこんなことなかったのに、急に何があったんだ。


「あ、カニ?」


「シャー。」


 それだと言わんばかりに、音を出す。これくらいでもコミュニケーション取れるんだな。ルーもこれくらいできるように頑張ろうな。てか、蛇君。気分でなんでも食うよ的な感じだったと思うんだけど、食欲旺盛すぎない?普段、マダムに食わせてもらってないのか?もしや、贅沢品与えてしまったのか?一般愛玩動物もヒト仕様の美味いもの食わせてしまったら、普通のフード食わなくなるらしいし。そんな感じ?


「あー、すまんな。カニはもうないんだ。」


 川魚ならいくつかあるよ。だから、その俺を食おうとするのをやめてくれるかな。現在旅人Lv.10なんだが、デスペナルティはもう適用されるのかな。転職してから開始?どちらか分からないから、とりあえず、食うのやめないか?


 兵太夫から融通してもらった魚を多い順に、提案していく。マダムはその間も我関せず。てめえんとこの飼い蛇だぞ、コラ。まあ、生き物に喜んでもらえるなら悪い気はしないんだが。でもどうせなら、毛の生えた生き物がよかった。


 結局魚には反応せず。なけなしのエビやイカなんかも見せてはみたものの、食指は動かなかったようだ。そんなわがまま言う子にはおやつはなしだ。最初に遭遇した時は、大きさと迫力に圧倒されていたが、こう見るとなかなか可愛らしく思えてくる。ルーの件で爬虫類について調べたからな。そのおかげもあるかもしれない。


「シャー。」


 それでも尚、俺の隣を離れない蛇。まあ、いいか。無い袖は振れぬ。蛇は一旦放置して、いつもの商談に入る。商談と言っても、薬草類を売って回復薬を買うだけだが、おかげで懐に余裕はできている。転職を機に、職に合った装備を揃えようか。いや、ガチャで当たる可能性があるな。では、優先すべきはガチャポイントだ。幸いなことに、魔道具店での売買でもまあまあなガチャポイントが入ってくる。多分自分の畑で取れた薬草だからと思っているが。果実はイベント期間中に間に合いそうもないから、やっぱり他のことにも手を出さなければ。ルー、お父さんな、このイベントでFireしようと思うんだ。


 マダムとの一連のやり取りを終えても、蛇は俺の側を離れない。こちらの一挙手一投足を注視しているようだ。そこまで気に入られたのか?カニが効きすぎた?美味かったもんな、あのカニまた持ってくるから。


「あんた、林檎持ってないかい?」


「ああ、持ってるが。」


 俺と蛇がお互いを観察している時に、マダムから声がかかる。リンゴなら持っているが、それがどうしたんだろうか。


「林檎に目がなくてね。」

「よければ食わせてやってくれ。」


「そうなのか。」

「でもこれ、普通のリ


 バクン


 インベントリから出した瞬間にリンゴが消える。おお、すごい。まるでマジシャンにでもなった気分だ。魔法が飛び交う世界でなに言ってんだろうか。


「リンゴ好きなの?」


 またバクンと。ああ、種は残しておいて欲しかったな。好きなのはわかったから。手持ちのリンゴがなくなると、俺への興味が最初からなかったかのように、マダムの横に行き透明になる。マダムもわかっていたかのように、書物を置き、空を撫で始める。なんか、以前も見た気がするような光景。そんなに好きなら、マダムに買って貰えばいいんじゃない?




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