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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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66/69

ep.64

 

 街にやってきた。イベントが始まったからだろうか、どことなく活気があるように見える。東門の人の往来が多いからだろうな。こいつらも、豪華景品に釣られた口か?だが残念、それは俺のだ。お前らみたいな、戦闘職になりますみたいな、LUKも上げてません、みたいな奴らに豪華景品が当たるわけなかろう。俺のライバル足りうるのは、運に極振りしているやつだけだ。このガチャにLUKが絡まない仕様なら、運営を訴える所存。


 東門の衛兵と挨拶を交わし、街に入る。今回は怪しまれなかった。テイムしたからなのかな?それとも、ルーの透明化が上手くなったのか。ずっと透明でいるから、熟練度も相応に上がっているのだろうか。では、俺も【鑑定】を四六時中使っておかねばならんのかな。でも、ルーは持っていなくても、【隠蔽】持ってたし、んー、わからん。


 坂道を登り、ミアの邸宅が見えてきた。水はありがたく使っているぞ。軽く目礼。なくなったら、また頼むな。水の妖精が喜ぶものってなんだろう。水質が上がるなら、結構頑張れるぞ。美味いコーヒーを構成する要素の一つだからな。様々な料理にも使えるし、菜園にも。でも飲用水を水袋から直接のむのも風情がないな。人にも胸を張って出せないし。ガラスのコップを買っておこう。ガラス職人がいれば、軽く弟子入りだな。デカンタや水差しのようなものにも憧れる。綺麗なものは、使わずにディスプレイしてしまいそうだから、日用できるものも用意しなきゃならん。我ながら困った癖だ。


 坂道を下って、魔道具屋に。いつもより早い時間の訪問となってしまったが、無事開いていた。開いてなければ、またコーヒーを飲めたというのに。少し残念な気持ちになりながら。扉を開け、中にはいる。ルーはまた蛇に気を配っている様子。大丈夫、お前は半不死になったはずだから。そういう問題でもないか。怖いものは怖いよな。俺もだ。


「あんたかい。」


 いつものように、歓迎の言葉はなし。イベントだからと、何かが変わるわけではないんだよな。説明では、NPCとの売買でもポイントはもらえるとのことだったのだが、果たして。もちろん、プレイヤー同士だと、より多くのポイントが生まれるらしい。


「ローハとローナだ。」


 ババアの前に薬草を出す。計算しやすいようにいつもと同じ量を。同時にHP,MP回復薬も出す。この場合、どういう計算になるんだろうか。差額を渡してくれるのか、買取、販売で一回ずつ処理が行われるのか。


「また、なんかしたのかい?」


 薬草を一通り見終えたババアが聞いてきた。なんかした、とは?何もしていないんだが。なんかあったのか?買取に影響出なければいいんだが。


「荒らされたと伝えただろう。」

「畑の場所は少し変えた。」


 前回、薬草なし、回復薬の買取のみで訪れた時に、その理由は伝えていたはず。今回、変わったことで思いつくのは、畑の場所が変わったことくらい。祠まがいの物も設置はしてみたが、流石に人様に自慢できるほどのものじゃないし。


「あ。水も変えたな。」


 話しているうちに、もう一つ変わったことを思い出した。今までは【水魔法】でやりくりしていた畑の水遣りを、水袋で汲んだミアのところの水に変えたんだった。大きな変化はそのくらいだろう。もう忘れていることはない、よな?一応、お偉いさんのところのものなので、出自は伏せておく。


「そうかい。」


 理由が伝わったのか、はたまた興味を無くしたのか、それ以上の追求はしてこなかった。渡されたリルは、いつもの値段から回復薬の分を引いた物だった。ちゃんとしているな。俺よりも計算早いかもしれんぞ。当たり前か。積んでいる(CPU)の性能が違う。


「   」


 ババアとやりとりをしていると背中で大人しく?、びびっていたルーが忙しなく動き始めた。なんだ?また、蛇に食われそうになってるのか?こないだ、俺を盾にしただろ。まだ忘れちゃいないぞ。


「   」


「はいはい。」


 数秒放置していると、再度ルーが反応を示す。振り返っても蛇は見当たらない。【鑑定】【看破】も反応なし。気になって見に行くと雑多なものが積み重なった塔が定位置に。一瞬蛇の姿になるが、瞬きの間にまた塔になってしまう。蛇はいつもの位置にいた。では、ルーは何を伝えたかったんだろうか。


「へえ、縁を結んだのかい。」


 出し抜けにババアが話しかけてくる。縁を結んだってことは、俺がルーをテイムしたことが分かったということだろう。こっちの世界の人はそういう言い方をすることは知っている。テイムしているかどうか、どういう見え方をしているんだろうか。俺も見た説明文が見えているのかな?ルー、【透明化】も【隠蔽】も効いてないぞ。そうだな、相手が悪いな。


「 か  いね。」


「ん?なんて?」


 ババアがぼそっと何かを呟いたが、聞き取れなかった。いや、そもそも聞き取れるように言ってなかっただろ。昨日もこんなことあったな。伝える気のない発言。なんて言ったか気になるからこそ、若干気分悪いんだよな。伝える気があって話しかけてるのに、この返しをされてムカつく時もあるが。会話って相互努力だと思わないかい?


「今後、私を呼ぶときはマダム、だ。」

「次ババアなんて口走ったら、殺すぞ。」


 急にバb


「 っ!」


 一瞬だった。氷の矢が俺に向かって飛んできて、頬を掠める。矢はその後、入り口の扉にぶつかる音がしたが、背後がどうなったかは確認できない。何?俺、まだ全然マダム呼び受け入れてないんだけど。思うだけでもアウトかよ。


「次はないよ。」


 脅迫じゃねえか。


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