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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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ep.60

 

「うほ、すげえ楽!」


 戻ってきました、自分の畑。執事から借りたスコップで第一畑の落とし穴の続きを掘ると、まるで豆腐のよう。やっぱり、適切な道具じゃないと補正がかかってしまうんだろうな。いやー、情けは人の為ならず。いい行いはすべきだね。神は見てくれているのだよ。


 簡単に掘り起こせるからといって、調子に乗ってしまった。気づけば高さが胸の辺りまできている。予定よりも少し深くなってしまった気もするが、深くて困ることはない。階段のように側面に穴を掘って登り、インベントリにある土を使って埋める。これで、跳躍力がないやつやスコップ類を持っていないやつを一網打尽にできるぞ。掘削にあまり手間が掛からなくなったのもでかい。これをいくつか作れば、俺は猪を絶滅させてやれる。


「いい水だぞ。」


 あとは木を交差させて草と土でカモフラージュしてやれば完成だ。落とし穴の方は一旦小休止。薬草たちに先ほどもらってきた噴水の水をかけてやる。今日を乗り越えられれば、また明日からは収穫できるぞ。ついでに祠にも水をかけ、くすねてきたクッキーをお供え物として。お猪口でも買って、水も入れてやらんとか?それだと、墓参りになっちゃう?手合わせるし、似たようなもんだ。


 城壁を背もたれに、水をやった畑を見ながら休憩する。俺も直接飲んでみるが、非常に美味しい水。長期摂取により、蓄積されるあれこれがあるかもしれないが、その時はその時だ。これでコーヒーを淹れるのもいいかもしれない。道具を揃えねば。


 執事にフレンドコールの仕様を教えてもらったので、やりたいことがある。まるで、新しいおもちゃをもらった子供のようだ、と我ながら苦笑する。フレンドリストから、兵太夫を選び、街の南の方、洞窟の先に海があったことを伝える。ダンジョンがあったことは伏せておこう。過度なネタバレは無しだ。海も自分で探したいタイプだろうか。それだったら、このチャットも危ういか?ま、一回やってみて、反応を見てみてからだな。真剣なファイト中だったら悪い。


「早っ。」


 送ってすぐに反応が。こいつ暇してたのか。それとも、全てを投げ出してまで海を渇望していたのか。ていうか、こいつフレンドコールの存在知っていたんだな。ビビらせてやろうとも思っていたが、不発。


 ”お前、今海にいる?”


 ”いない”


 ”礼はまた今度”


 ”釣具がいい。食える魚も”


 俺の返信を最後に連絡が途絶える。海に向け出発したのだろう。それにしても簡潔なチャットだ。あまりにも人柄が出過ぎている。同類の香りだな。とりあえず、こちらの要求は伝えることができた。今後釣り人たちがあの狭い砂浜に殺到すると考えると、可哀想な気もするが。兵太夫が、あるいは他のプレイヤーがどこまで情報を開示するか次第だな。釣り人たちの情熱を考えると、多少の情報料くらいポンと出しそうだ。岩場も構わず進んで行きそうだし。船なんかも作り始めるかも。そうなったら、俺にも一枚噛ませてくれないかな。トレーダーの皆さん、買うなら今ですよ。


「さて、残り終わらせるか。」


 猪が、その名の通り猪突猛進進んできてくれたら、最悪穴を隠さなくてもハマる時はハマってくれそうだが。現実でも、やけに賢いんだよな。パワーは言わずもがな。想定よりも深く掘ったので、抜け出せないと信じたいが。


 拾ってきた枝から長いものをいくつか見繕って、穴に交差させ置いていく。その上にその辺からとってきた草をのせ、インベントリの土を覆わせる。その土を、周りと馴染ませて完了。


「少し、違和感あるか。」


 出来上がりは、さすがに違和感がある。シラフなら疑うくらいには。逆に言うと、アルコールが入っていると確実にわからん。酔ってこの辺にくるプレイヤーにろくなやつはいない。人身事故が起きたって、俺のせいではないのだ。ルー、一応ここが落とし穴だからな。お前の重さじゃ、問題ないだろうが。


「さて、どうしようか。」


 祠も、落とし穴も、採水も終わった。今日のタスクはこれくらいだったかな。街に寄ったとき、紐やら必需品を買っても良かったかな。明日薬草売りに街に行くし、その時でもいいか。キャンプキットの買い足しもしなきゃいかんし。では、何をして過ごそうか。


「ルー、鑑定していいか?」


「   」


 ミアのところでは詳しく触れなかったが、テイムしたというワールドアナウンスがあった。あれは、俺とお前でいいんだよな。名付けをすると、テイムしたという判定になるんだな。テイムしたことで、何かが変わっているのか。半不死になるとは聞いたが。コミュニケーションを取れるようにはならないんだな。カメレ


「痛っ。」

「違う、これは一般論としてカメレオンを出しただけで、」


 ルーに人語を話せというのも、酷な話だが。テレパシーとか便利なの、ないの?俺の方は伝わっている節もあるから、ルー側の成長次第なのか、俺の受診する能力が低いせいなのか。今のところカ、と呼ばれるのが嫌なことだけはわかっている。自己主張をしろ、と言ったのは俺なので強くも言えないんだが。



 ルー(ルーセントフルシファー) Lv.4

 体色変化に長けた古い種族。プレイヤー:GAKUにテイムされている。

 皮膚に一部欠損あり。


 所持スキル

【透明化】【時空魔法】【隠蔽】【???】

 称号

【星神の加護】

 状態

【テイム】【呪い*】



「ふむ。穏やかじゃない。」





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