ep.26
「すっからかんだな。」
欲しいのを取っていくと、ポイントがゼロに。これからまた節約生活だ。だが、欲しいものは取れた。最初のキャラクリ時点で選ばなかった【工作】【農耕】。こっちの世界ではモノづくりをしてみたいと思っている。なかなか現実世界では金も、時間も、濃厚なら土地も、厳しく諦めていた。こちらの世界ならばと、モノづくり系のスキルを取ってみた。【料理】と同じ感じならば、かなり手助けしてくれることになるだろう。ステータスを見ていると、【豊穣神の加護】があることも思い出す。【農耕】に多大なるバフを期待したい。【工作】は現状幅広いが、今後分岐していくのかな?木工や金属加工、革細工なんかもやってみたい。ギルドの工房にお世話にならないと。利用料とかあるのだろうか、そうなると自分だけの工房も欲しくなってくるな。
【精密操作】【魔力操作】は初期にはなかった。精密操作は、手先の器用さにかなり寄与してくれそうだから取ってみた。取得条件は、なんだったんだろう。【魔力操作】の方は、なんとなく取得条件はわかる。魔物の顔付近を狙って撃っていたことがよかったんだろう。【農耕】のために【水魔法】【土魔法】を取ったと言っても過言ではない。現状攻撃魔法しか使えんが。なんか親和性ありそうだし。【魔力操作】で水やったりしてみたい。
【看破】は5ポイントもした。大盤振る舞いだが、これに関しては深い理由はない。サリアちゃんやブルーに出し抜かれたから、とかじゃない。決して。サリアちゃんは【気配希釈】も鍛えろ。と言っていた。【看破】とかも、そういう鍛えるスキルのうちのひとつなんだろう。魔法と違ってレベル制じゃないから、熟練度はわからんな。どのくらい鍛えれば、サリアちゃんは見えるのかな。気掛けて使っていこう。
【暗視】なんかも便利そうだったが、暗いところは暗いから雰囲気があるのだ。見えないものはわざわざ見えなくたっていい。あとで少し調べて、任意のタイミングでONOFF切り替えられるなら、後々取得しても良いかもしれない。他にも欲しいものがあるし、今後増えていくんだろうな。
「こりゃ、スキルポイントは結構カツカツだな。」
スキルと睨めっこしながら、街道を歩く。魔物ともエンカウントなく、スムーズにここまで来れた。もうそろそろ、前回薬草を採取した群生地であるが、確かに焼けた跡が見られる。むしろ、よくここまでで鎮火したものだ。辻の水魔法使いでも居合わせたのだろうか。昨日は採取できたポイントで採取を試みると、手に入ったのは灰。
「おお、いいもん手に入るじゃん。」
特に労せずして、草木灰が手に入るとは。放火魔のお尋ね人もなかなか話のわかる輩だ。ここの土壌がどんな状態かわからんが、いかようにも使える。本日も採取ポイントを渡り歩き、灰を集めまくる。同一のアイテムはインベントリの同一箇所にストックされていく。インベントリを圧迫する心配もなし、せっかくの機械だし、集められるだけ集め切ろう。
調査のために残っているのであろう、NPCから変な目で見られながら、採取を進めていく。昨日採取ポイントが枯れたところまできた。鬱蒼としていた森も焼け焦げ、奥の小川が見えている。直線では大した距離ではなかったのだな。相変わらず、豊かな水量。火元はどうやら、確実にここらしい。
「絶対に俺が犯人だ。」
朝懺悔しておいてよかったー。でも、ライト君は何かあったかもって言ってたし、お尋ね人とやらが、本当にいたのかもしれない。
「それはそれで怖いな。」
もし、バッタリ鉢合わせでもしていたら、なんか悪いことに巻き込まれていたかもしれない。いや、コーヒー豆は2杯分もらっている。コーヒーでも飲みませんか、と誘えば仲良くなれるかも?いや、だめだ。粉に挽けない。どうせなら、粉で貰えばよかったな。【料理】スキルでいけるんか?
自分が放火魔の可能性が非常に高くなったところで、えも言われぬ罪悪感が襲ってくる。幸い昨日採取した薬草は株ごとだ。採取ポイントを整えて、植えてみよう。もしかしたら、予定より早く、群生地が復活するかもしれない。ギルドに納品、クエスト報告すれば、金になるが。仕方ない。朝から神に懺悔し、神は反応してくれた。今は良い行いをしておこう。
目の前の採取ポイントを見ている。【農耕】は取ったが、農耕具は持っていない。手詰まりかに思えたが、おそらくギルド職員であろう周辺を調査している人が、長い棒を持って地面の痕跡を探していることに思い当たる。
「棒があればいいのか。」
焼け残った棒が辺りには散らばっている。それを拾って、採取ポイントを掘ろうとするが、すぐに折れてしまう。流石に耐久値が心許ない。試行錯誤するうちに、初期装備の杖に行き着く。これなら、耐久値も心配ない。振り下ろして、魔物にも当てた実績がある。
杖の先、石突の部分で土を掻いてみるもなかなか体力を使う。反対側の門の先は荒野だと言うし、元々そういう土壌なのかもしれん。小川の水を撒いてもいいが、バケツもなし。MPが勿体無い気もするが、背に腹は変えられん。
「ウォーターボール。」
水魔法で地面を濡らす。確かに、少しウォーターボールの操作性は良くなっている気がする。足元に魔法を放ち、濡れたところを掘る。格段に掘りやすくなり、作業が捗る。ある程度掘れたところで、持っていた薬草を足元に植え土を被せる。水は追加ではやらなくていいだろう。そこまでやっていると、MPがいくらあっても足りない。まあ、仕方ないから、豊穣神に祈っておこう。どうか、薬草の群生地を復活させるのにご協力ください。
次の採取ポイントにつく。MPは有限だ。先ほどは普通のサイズのウォーターボールを使ったが、魔力操作で小さくできないだろうか。スタミナも同時に使うことになるだろうが、MPが早期に枯渇するより、効率は良さそう。小さくなれと考えながら水魔法をつかう。
「よし、成功した。」
【魔力操作】で3MP分のウォーターボールを作り出すことに成功する。存外使い勝手のいいスキルであるようだ。ギルドの職員らしき人は、魔法の気配にこちらを見てくるが、攻撃性がないと見ると、元の作業に戻ってしまう。そういう時は「手伝いましょうか?」とか聞くもんだよ。
「おう!何やってるんだ?」
どこかで聞いたことあるような声がした。




