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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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19/20

ep.17

 

「よし、成功した。」


 思惑通り、神殿にデスポーン。インベントリからなくなったものはなし。ステータスの低減もなし。世はこともなし。ただ、ステータスポイントを振り終わって気づいた。MPとかINTに振ったら周回が早まる可能性に。強くなりたいわけじゃない、わけじゃないが、金策の周回とは話は別だ。次は絶対に魔法関係にふることに決め、相好を崩し神殿を出る。その時背筋に少し冷たいものをを感じた。

 狩りに出ては死んでを繰り返す。運が良かったのか、元々そういう使用なのか、チュートリアルの時よりドロップは少し多く感じた。ウサギと並んでニワトリも狩れるようになったから効率も良くなった。ニワトリはいつも番で一緒にいて、片方を倒すと暴れ出した。うまくいけば一撃で倒せるのだが、暴れ出した方は、一撃では倒せなくなってしまう。ウサギと比べると、めんどくさい相手ではあるが、ただ、一つ発見もあった。暴れ出したニワトリが襲いかかってきた時、たまたまニワトリの顔付近にマッドボールが行った時には、俺を見失ったような動きが見てとれた。目に泥が入ったのか?そんなところまでリアルに再現しているのかと驚いた。それからは、魔法の自動追尾だけに頼らず、なんとなく、狙って撃つようにした。何事も工夫を凝らすのは面白い。単調な作業も嫌いでないが、新しい発見というものは、モチベーションにつながる。



「合わせて、1160リルですねぇ。」


 いっぱい持ってきましたねぇと猫科のお姉さんは今日も笑顔。約500リル分程集まったところで一度冒険者登録に来ようとも考えたが、興が乗っていたのだ。クエストの分もったいなかったかな。だがおかげで、日没前にお金を作ることができた。それも予定よりも大幅に。こういう時は祝杯だろうか、いや、先に冒険者登録だな。流石に。登録のため、ギルドの受付に向かおうとすると、少し、体が重くなった気がした。【欲望の僕】が悪さしているんだろう。わかった、わーったから!登録したらいくから。


「サリアちゃん、今日俺、角ウサギ狩ったんだぜ!」


 どうだ、すごいだろと言わんばかりに大声で自慢するサリアちゃんファンの大男。おい、それ俺が魔法一発当てたやつじゃないんか?人の獲物横取りしやがって。証拠もないから、何も言えないが。


「えー、凄いです。ぜひギルドに納品してくださいね。」


 サリアちゃんは相変わらず語尾にハートを付けられる。営業文句も忘れない。サリアちゃん、君は現世にきなさい。君なら天下取れるよ。

 人混みを尻目に空いている受付に向かう。サリアちゃん以外はどこも空いているが。奇しくも、前回対応してくれた方だった。サリアちゃんに人気しごとが集まって、悔しいと思うのか、仕事が楽になってありがたいと思うのか、君はどっちなんだろうな。後者の方が人生楽になっていいぞ、上に行くためには前者のマインドが必要か。人それぞれだな。


「すまない、冒険者登録を。」


 そう言って、仮登録のカードと500リルを出す。


「わかりました、それでは右手をかざしてください。」


 この前も出てきた板をまた出してきた。右手をかざす。何やらスキャンしているようだ。凄いハイスペックだな。数秒して、登録が終わったのか、もう結構ですよと声がかかる。前回の機械的な対応より少し人間味が見て取れる。落ち着いたんだろうな、きっと。続いて冒険者の説明があった。

 最初はEランクからスタート、依頼をこなすごとにランクが上がっていく。上のランクに行くと、特殊な依頼が受けられたり、個人を指名しての依頼が来たりするそう。有事の際は、協力要請があるとかなんとか。カードは身分証として有用だそうで、これがあればほぼ全ての国に入ることができるそう。個人口座にもなっており、ギルドへの納品や報酬を入れることができ、これで支払いもできる。現代もびっくりのキャッシュレス社会だ。他にもギルドの資料室や工房の利用ができると言ったことや、注意事項なども説明がなされるが、もう気持ちが祝杯に向かっている。制限はなくなったが、なくなっただけだなコレ。欲に忠実すぎる。


「ありがとう」


 説明をしてくれた受付嬢に礼を言い、ギルド奥の酒場に向かう。凄い利用率だ。広い空間に、テーブルが所狭しと並べられているんだが、ほとんど埋まっている。カウンターのガタイのいい兄ちゃんにビールを注文しカードから支払う。ものすごい便利だが、金銭感覚無くなっちゃうな。知り合いの顔は見えない。隅っこでこじんまりとしていよう。


「はい、ビールお待ち。」


 ビールが届けられた。届けてくれたのは少し薹のたった年配の男。足の動きが少し悪い。もしかしたら、怪我で冒険者を引退したのかもな。こちらの世界は魔法があるとはいえ、不可逆な身体変化を治すことはむずかしいんだろうな。いるかわからんが、貴族あたりが独占しているのか。

 少し暗い気持ちになったが、ビールが美味い。日本基準のキンキンに冷えたビールだ。この時のために俺は金を稼いでいる。ここはビールしかないが、この世界のアルコール事情はどうなっているんだろう。美味しい酒が飲めるとこはあるのかな、楽しみだな。


「ビールもう一杯下さい。」


 気づくと、飲み干していたし、思わず、もう一杯注文していた。販売所でこの辺りの地図買うつもりだったのに、旅人から脱した際のために携帯食料買うつもりだったのに。注文してから後悔するが、ビールは美味い。

 周りはパーティーでの利用が多いのだろうテーブルは人が埋まり、ツマミも酒も溢れんばかりある。俺以外に一人客はいないのか。周りを見るとほとんど複数人だが、少し離れた席に女性の一人客を見つける。声はかけない、ナンパになってしまうから。だが勝手に親近感は湧く。チラチラ見ていると、視線が合ってしまった。しまった、見ているのばれたかも。目を逸らし、少しして様子を伺う。その女はこちらを一人客だと把握したようだ。どこかで見たような嘲笑を含んだ笑顔を見せている。なぜだ、お互いソロだろう。理由は簡単だった。その女性のテーブルにはツマミがたくさん。対して俺はビールだけ。よし、やけ酒だ。今日も神殿にお世話になろう。


「ビールもう一杯!」




暴れ雄鶏、暴れ雌鳥

常につがいで行動する。片方を失うと暴れ出す。

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