↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
趣味人のVRMMO  作者: et al.
PR
131/139

ep.129

 

「ふー、危ない危ない。」


 神像のスクショにまで金求められたら、たまったもんじゃない。いつでも、どこの世界でも、金満なのは宗教家ですか。ここの神殿はマシな方か。少なくとも身なりは質実なようだし。よそのエリアには、金のアクセサリーじゃらじゃらぶら下げた、いかにもな奴もいるんだろうか?絶対いるだろうな。この世界がどのくらい広いかわからんが、俺が運営サイドだったら、そういうのも絶対用意する。プレイヤーがそういうのになるかもしれないし。司教の姿も見ておくべきだったか?でも。これで、画像見ながら、神像彫れるようになったな。


「あ、生クリーム買ってってやる約束だったっけ?」


 喫茶店までの道中で思い出す。随分前の記憶のようだが、生クリームを使った甘味を作ってやろうとしていたんじゃなかったっけ?色々なことがあって忘れてしまった。ま、少しだけインベントリ整理できたし、生クリームとか色々買っていくか。いつも食材提供してもらっているしな。


「ごめんください。」


「ああ。」


「おすすめを。」


 店に近づいていくにつれコーヒーの香りが強くなる。比例して、気分も上がってきた。相変わらず、センスのいい落ち着いた雰囲気の店内。テーブル端の一輪挿しの花はピンク。ジョンも壮健のようで何より。テーブルの髭紳士もいる。変わらない景色というのも良いものだな。


「この店、夜はやっとらんのか?」


「うん?」


「いや、昨日夜訪ねた時開いてなかったんだが。」


「ああ、昨日は店を開けてなくてな。」


 コーヒーが入るまでの待ち時間。雑談に昨日開いてなかった旨尋ねてみる。昨日一日、開いてなかったのか。定休だったのかな?定休日に当たらなければ夜もやっているのか。しかし、夜といえば、バーだよな。最初期からいい酒を出すバーを見つけたいと言っているのに、未だ巡り会えていない。夜街を探索することがないから仕方ないが、知る人ぞ知る店でもあれば。あるんじゃないの?衛兵やら神職やらギルド職員が夜な夜な集まる溜まり場が。


 この街は結構綺麗な街だ。街道や建物が綺麗なんじゃなくて、いや、街道や建物も綺麗なんだが、夜の街の香りがしないんだよな。多くの冒険者や衛兵を抱えているというのに、セクシーな女性を擁すようなお店がなく清楚な感じが。一般プレイヤーには開放されていないエリアがあるのか、出張型なのか。プレイヤーがワープを使えるように、NPCだけが使えるワープ先もあるかもな。どちらかというと、そっちの方が健全なようにも思える。今度仕事終わった衛兵の後でもつけてみようかな。いや、興味があるわけではない。社会勉強ということで。


 一人考え事に浸っていると、一段とコーヒーの香りが高くなる。ハッとして顔を上げると、コーヒーが提供されたところだった。うん、相変わらずいい仕事をする。考え事をしていて、淹れるところを見ていなかったな。俺にとって日常となりつつあるのかもしれない。目の前で繰り広げられるものは、非日常なスキルなのに。自分でしようと思っても、なんだかんだ淹れられてないんだよな。次こそは、自分で淹れるんだ。


 いつもおすすめとか、ブレンドを頼むんだが、毎回味や香りが違うんだよな。もちろん焙煎も工夫しているんだろうが、豆の産地も違うんだろうか?この世界にも赤道的な概念があって、産地によって特徴があったりするんだろうか。ちゃんとフェアトレードになっているか?年端もいかない子が労働力の搾取されていないだろうか。ファンタジーだからないよな。現実世界でもコーヒーを享受するだけの立場だが、こっちの世界では金持ちになってその辺に貢献してみたくもある。才能あるやつのパトロンだな。


「うん。美味しい。」


 色々な考えを全て吹っ飛ばすほどのコーヒーのインパクト。邪な考えも世界情勢も暴力的なまでの香りと味で嗜好を思考をジャックされる。何か怪しい薬でも入っていると言われた方が安心できる。いつか俺もこんなコーヒーを淹れられるようになりたいものだ。


「今日も甘いの作らせてくれ。作っている間にこれを。」


 ピザと悩んだが、この世界ではこっちの方が珍しいかと思い、タコスを提供する。朝飯は食べてるのかな?とりあえず、ソース違いで2個ずつ。皿に乗せ、1セットはテーブルにいる髭の紳士に。もう一つはカウンターに置き、ジョンをそちらに。そろそろ髭の紳士の正体も突き止めなくてはならない。ジョンの知り合いではあることは確定しているだろうが、それ以上の情報はない。まあ、出自が良さそうというのも確定かな?


「タコスという旅人の間で流行っている食べ物だ。ソースは赤と緑。赤が少し辛めだ。一応カトラリーは用意したが、旅人は手づかみで食う者が多い。」


 二人ともやけに上品だからな。手づかみで食べてる姿を想像できなかった。さて、何を作ろうか。タコスの後だから、軽めにさっぱりさせられるもの。時間的に怪しいがやってみようか。作業に取り掛かるときに、横目で二人を見てみる。髭は丁寧にナイフとフォークで、ジョンは手づかみで食べている。やっぱり、手づかみの方が美味しそうだぞ、髭。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。