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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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130/137

ep.128

明日の投稿お休みさせていただくかもしれません。

楽しみにしていただいている方、申し訳ありません。

 

「うん。野営と一緒か。」


 聖域で初めてのお泊まり。昨日の特訓で使ったMP分だけは全快している。期待していたステータスボーナスはなし。神殿やキャンプキットと一緒だな。これも課金で改善されていくのだろうか。考えてみれば当然か。聖域で寝るのって、神殿で寝てるのと一緒だ。


 街に飛ぶ前に、聖域を見て回る。夜には光って見えた花も昼に見てみると至って、普通。薬草類は昨日の夜植え直したばかりだからか、成長は感じられない。豊穣神の加護下にあると言っても、べらぼうに成長が早くなるわけではないらしい。この様子なら、雑草類も気にしなくていいのかな。


 今日も雲ひとつない、晴天。畑に水を撒いたついでに、神像にも水をかけてやる。今日はうまくいけば、神職を連れて来れるかもしれないからな。断られたら、一緒に神殿にいこう。いきなりタリアに聖域ついてこいよ、とか言ったら通報されるだろうか。


「なあ、神殿にいるタリアってシスターに神託与えといてよ。」


 電報みたいな感じで行けるんじゃないの?ピピっと。流石のタリアも神に言われたら、断れないだろう。タリアの信仰している神は何神なんだろう。全ての神に仕えてますと真顔で言われたら信じてしまうかもな。


 街に飛ぶ。昨日からのコーヒー欲は冷め切っちゃいないが、まずは日課とタスクをこなそう。まだ、TeAからの連絡はなし。屋台の方は、後回しでいいかな。あ、先にスーパーに寄ろう。


「お邪魔する。」


 魔道具屋の中に入る。お、今日は忘れずに買ってきたぞ。リンゴを取り出し、ばっくりと開いた口の中に放り込む。相変わらず嬉しそうだが、味わってんのか?味を楽しんでいないのかな?鶏が石飲み込むあれと似たようなもんか?


 カウンターに薬草を置く。こっちも相変わらずの仏頂面。マダムのテンションの上がることってなんだろうな。ほら、ルーも挨拶しておけ。一緒に回復薬も買って、いつものようにルーにかけてやる。もはや恒例になってしまったが、買ってすぐやるのは忘れなくていいな。バレる心配もない。


「次は水も持ってきな。」


 ルーに回復薬もかけ終え、退店しようとしていた時に、マダムから声をかけられた。


「水?」


「良い水が湧き出る泉を知っているんだろう?持ってきてみな。」


 マダムはそれだけ言って、また手元の古文書に目を落とす。そういや監視されているんだった。聖域関連も全て筒抜けと思って良いだろう。アヴィと一緒で偉そうだが、俺の食い扶持でもあるから、強く出れない。これが資本主義か?


 とりあえず、曖昧な返答だけして店を出る。勝手に聖域いって、勝手に薬草も水も取ってもらおうかな。お金は勝手にアップグレードに突っ込んでもらう形で。結局相場なんてものは知らないからな。ぼったくられていたとしてもわからんし。


「とりあえず、デイリーは終わった。」


 次は神殿か。そういう担当のものがいてくれれば良いのだが。その前に、こちらの世界にそういう風習があるかどうかだな。こればっかしは、聞いてみないとわからない。


「お邪魔しますよー、っと。」


 アインスの街はプレイヤーは随分減っているのに、神殿は今日も一定数の人がいる。プレイヤーも住民も入り乱れているんだろう。これもタリア人気のなせる技か?サリアちゃんの方はどうなんだろうな。久しくみてない気がしないでもない。ワープ機能があることはわかったから、推しに会うためにワープしてきてる人も中にはいるのかも。


「すみません。出張で祈祷とかってしてもらえるでしょうか?」


 とりあえず、近場にいた神官服を着た人に要件を伝えてみる。何言ってんだコイツ、みたいな顔をされる。こちらの世界にはそういう習慣がないのだろうか?神がいて、加護をくれる世界観だから、当然あるものだと。八百万の神がいる国では、生活の中心とまではいかないが、生活に神の存在が溶け込んでいる。一般的に祠といえば地蔵菩薩のイメージ。宗教観的に神殿との折り合いは悪い?じゃあ、寺社仏閣はどこにあんだよ。


「結婚の時や子が生まれたときなんかは?」


「おお!お子が生まれたのですね。それは、おめでとうございます。司教を呼んで参ります。あなたに神のご加護が在らんことを。」


「いや、違くて。」


 ハズレに話しかけてしまったようだ。人の話も聞かず、司教を呼びに行ってしまった。司教ってお偉方だよな。面倒なことになってしまった。出張を求める例え話で、結婚や子どものことを持ち出したというのに。


 これ以上面倒ごとに巻き込まれる前に、次の行動に出る。神殿前にいるタリアを見つけ、近づく。


「タリア、神託は来ていないか?」


「少なくとも、神からは。巡回の衛兵からは届いてますよ?」


「Oops!」


 貴方、何をしたんですかとぎろり。あいつら、何も神殿にまで注意喚起するこたあないじゃない。個人で、寝泊まりできる場所を持ててよかった。冒険者ギルドに続いて、他の街の神殿にも情報が行ってしまったのか?それにしても、やっぱり神託は届いていなかったか。もっと立派なのに変えなきゃいかんのか。


「俺は潔白だ。個人で、神像を所有することは?」


「神は全ての人に平等です。貴方に祝福を授けてくださることでしょう。が、それを妄りに利用して不当にリルを稼ぐ行為はお赦しにならないでしょう。」


 けっ。自分らは、宗教を後ろ盾にして、金もらって、税金からも逃れてるってのに。良い身分なこって。


「何か?」


「いえ、何も。個人の持つ神像に神職が言祝ぎしてくれたりは?」


「神殿はいつでも、皆様の寄進によって成り立っています。」


「出張してくれたり?」


「神殿はいつでも、皆様の寄進によって成り立っています。」


 こいつ、舌の根も乾かぬ内に。ただ、金さえ積めば不可能ではないってことだな。小屋にも課金せにゃならんのに。神像立派にして、神託寄越してやる方が早そうだ。とりあえず、100リルほど。


 にわかに、司教を呼びに行った奥の方が騒がしくなってきた。そろそろ、リミットか。そういえば、TeAがスクショ取っていたことを思い出す。あれ、どうすんだっけな。メニュー画面開いて、ここかな?


「貴方、何をやってるんですか?」


 退散、退散。



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