表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能扱いで追放された俺、実はパーティが崩壊しないよう全部やってただけでした  〜戻ってこいと言われても、もう遅い〜  作者: 芋平


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
99/113

第99話 ヴァルト市

 ヴァルト市役所。


---


 古い建物。


 だが中は整然としている。


---


 効率的。


---


 無駄がない。


---


 そして。


---


 妙に静かだった。


---


「こちらが

 現状のNCI内訳です」


---


 会議室。


---


 市の担当者たちが

 資料を並べる。


---


 数字。


 グラフ。


 評価指標。


---


 すべてが

 整っている。


---


「経済効率は

 全国平均より上」


---


「赤字事業は

 すべて削減済み」


---


「人件費も

 最適化されています」


---


 担当官は

 どこか誇らしげに言う。


---


 カイルが

 横で小さく呟く。


---


「……それでこの街か」


---


 誰にも聞こえないくらいの声。


---


 だが。


---


 リーネは

 聞いていた。


---


「問題は?」


---


 リーネが聞く。


---


 担当官は

 一瞬だけ

 言葉を詰まらせる。


---


「問題は……」


---


 少し迷ってから言う。


---


「特にありません」


---


 沈黙。


---


 カイルが

 顔を上げる。


---


「いや、あるだろ」


---


 全員が

 彼を見る。


---


「空き地」


「人減ってる」


「商店街死んでる」


---


 指を折りながら言う。


---


「問題だらけじゃねえか」


---


 会議室の空気が

 固まる。


---


 担当官が

 顔をしかめる。


---


「それは」


---


「効率化の結果です」


---


「非効率なものは

 排除した」


---


 カイルは

 少しだけ笑う。


---


「なるほど」


---


「じゃあ聞くけど」


---


 机に手を置く。


---


「次、何やるつもり?」


---


 担当官は

 答えない。


---


 答えられない。


---


「……現状維持です」


---


 やっと出た言葉。


---


 カイルは

 天井を見る。


---


「終わってんな、この街」


---


 誰かが

 咳払いする。


---


 空気が

 悪い。


---


 だが。


---


 リーネは

 静かだった。


---


「挑戦枠を使います」


---


 全員の視線が

 集まる。


---


「この都市を」


---


「実証対象にします」


---


 担当官が

 驚く。


---


「ここを?」


---


「はい」


---


「一年で」


---


「変えます」


---


 会議室が

 ざわつく。


---


「無理です」


---


 即答だった。


---


「ここは」


---


「リスクを取れない構造に

 なっている」


---


 その通りだ。


---


 NCIがある限り。


---


 失敗は許されない。


---


「だから変える」


---


 リーネは言う。


---


「挑戦枠は」


---


「NCIに直接影響しない」


---


 担当官が

 目を見開く。


---


「……そんなことが」


---


「制度上、可能です」


---


 静かな説明。


---


 だが。


---


 現場にとっては

 異常だった。


---


「失敗しても

 評価が下がらない?」


---


「一定範囲では」


---


「はい」


---


 沈黙。


---


 誰もが

 その意味を考える。


---


 カイルが

 ニヤッと笑う。


---


「つまり」


---


「やっても怒られない枠か」


---


「違います」


---


 リーネは

 即座に否定する。


---


「責任はあります」


---


「ただ」


---


「挑戦を理由に

 評価は下げない」


---


 カイルが

 肩をすくめる。


---


「まあ似たようなもんだろ」


---


 担当官が

 ゆっくり座り直す。


---


 そして。


---


「……本当にやるんですか」


---


 リーネは

 うなずく。


---


「はい」


---


「この街で」


---


「最初の成功を

 作ります」


---


 短い言葉。


---


 だが。


---


 重い。


---


 担当官は

 深く息を吐く。


---


「分かりました」


---


 そして。


---


「協力します」


---


 その一言で。


---


 止まっていた街が。


---


 少しだけ

 動き始めた。


---


 カイルが

 小さく言う。


---


「さて」


---


「何からやる?」


---


 リーネは

 窓の外を見る。


---


 空き地。


---


 静かな街。


---


「まずは」


---


「動かす」


---


 同じ言葉。


---


 だが今度は。


---


 現実を相手にする言葉だった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ