第87話 中央からの呼び出し
封書は、
予想よりも
早く届いた。
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差出人。
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国家評価局
――NEA。
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リーネは、
しばらく
封を切らずに
見つめていた。
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来るとは思っていた。
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止めた判断。
推薦を断ったこと。
制度設計への関与。
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組織内だけで
収まるはずがない。
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静かに、
封を切る。
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『制度監修協議への出席要請』
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短い文面。
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国家レベルの
評価制度改定会議。
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「……思ったより、
早い」
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その夜。
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「中央?」
カイルが
目を見開く。
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「はい」
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「ついに来ましたね」
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声は
半分驚き、
半分興奮。
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「怖くないですか?」
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「怖いよ」
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即答。
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「でも」
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「今度は、
止める側じゃない」
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「設計する側」
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静かな言葉。
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カイルは
少し黙る。
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「中央は……」
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「政治の匂いが
強い」
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「うん」
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リーネは
分かっている。
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NEAは
純粋な技術機関ではない。
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そこには、
加重係数。
補正。
国家優先。
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見えない力が
ある。
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「断ることも
できますよ」
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「うん」
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「でも」
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小さく笑う。
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「余白を
守りたいなら」
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「中に入らないと」
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翌週。
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中央庁舎。
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重厚な建物。
静かな廊下。
数値で動く国家の
心臓部。
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「リーネ・アルヴェインですね」
案内係が言う。
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「戦略補正局
第三会議室へ」
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戦略補正局。
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加重係数を
決める場所。
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扉の前で、
一瞬だけ
立ち止まる。
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個人の評価。
組織の評価。
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そして今。
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国家の評価。
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「……選ぶ」
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静かに呟き、
扉を開ける。
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中には、
数人の官僚。
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そして。
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ひときわ
強い視線。
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「お待ちしていました」
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レオン・ヴァルディア。
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短期成果主義の
象徴。
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「あなたの“余白”が
国家に必要かどうか」
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静かな挑発。
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「確かめましょう」
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リーネは、
椅子に座る。
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逃げ場はない。
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だが。
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焦りもない。
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ここから。
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評価は、
政策になる。
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