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無能扱いで追放したら、勇者パーティが半年で崩壊しました 〜装備も補給も撤退判断も全部俺がやってたと気づいても、もう遅い〜  作者: 芋平


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第86話 渡せる強さ

「……どうすればいいですか」


 小さな声だった。


---


 後輩のミアは、

 資料を握りしめている。


---


「任されたんです」


「でも、

 怖くて」


---


 リーネは

 椅子に座り、

 静かに聞く。


---


「怖いのは、

 何が?」


---


「間違えること」


「止めたら、

 期待を裏切ること」


---


 かつての自分の

 言葉だった。


---


「止めてもいいよ」


---


 ミアは

 顔を上げる。


---


「え?」


---


「でも」


---


「止める理由は、

 自分で決めて」


---


 沈黙。


---


「私が

 決めるんですか」


---


「うん」


---


「期待に応えるのも」


「止めるのも」


---


「選ぶのは、

 自分」


---


 ミアは

 ゆっくりと

 息を吐く。


---


「……じゃあ」


---


「一度、

 整理します」


---


 速くはない。


 派手でもない。


---


 だが。


---


 自分で

 選んだ声だった。


---


 夕方。


---


「変わりましたね」


 カイルが

 言う。


---


「何が?」


---


「任される人、

 じゃなくて」


---


「任せられる人に

 なってる」


---


 リーネは

 少しだけ

 笑う。


---


「そう?」


---


「はい」


---


 少し考えてから、

 言う。


---


「強くなったって

 ことかな」


---


「どっちが?」


---


「両方」


---


 速さも。


 余白も。


---


 夜。


---


 机に向かう。


---


 地位は

 変わらない。


 肩書きも

 同じ。


---


 だが。


---


 景色は

 少しだけ

 違って見える。


---


 焦りは

 ない。


 証明も

 いらない。


---


 選ぶことを

 覚えた。


 止めることを

 覚えた。


 渡すことを

 覚えた。


---


 リーネ・アルヴェインは

 静かに思う。


---


 **強さとは、

 自分の選択を

 他人に渡せることだ。**


---


 そして。


---


 選ぶことは、

 まだ

 終わっていない。


---


 明日もまた、

 選ぶ。


 急がずに。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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