第110話 再起動
再開の日。
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空き地には、
以前とは違う空気があった。
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整えられた区画。
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広く取られた通路。
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明確な導線。
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そして。
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少しだけ
距離を置いて立つ人々。
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「……来るか?」
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カイルが
小さく言う。
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「来ます」
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リーネは答える。
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だが。
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すぐには来ない。
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人は。
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一度壊れたものに
慎重になる。
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当然だ。
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「まあ」
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カイルが肩をすくめる。
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「前回がアレだからな」
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リーネは
何も言わない。
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ただ。
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待つ。
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数分。
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静かな時間。
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そして。
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一人。
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入口に立つ影。
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主婦の女性。
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周囲を見ている。
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通路。
表示。
店の配置。
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確認するように。
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ゆっくりと歩き出す。
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止まらない。
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通れる。
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安全だ。
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そのまま。
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店の前へ。
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「……これ」
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「買っていいの?」
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店主が
少し緊張しながら答える。
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「いいですよ」
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短いやり取り。
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だが。
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その一歩で。
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流れが変わる。
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二人。
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三人。
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人が増える。
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少しずつ。
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だが確実に。
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「来たな」
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カイルが
小さく笑う。
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以前のような
爆発的な増加ではない。
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だが。
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違う。
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今回は。
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**止まらない。**
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通路は保たれている。
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混雑しない。
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店も守っている。
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ルールを。
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「……すごいな」
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担当官が
呟く。
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「崩れない」
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リーネは
静かに言う。
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「崩れない設計です」
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時間が経つ。
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人が増える。
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だが。
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混乱は起きない。
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むしろ。
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流れが生まれている。
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「回ってるな」
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カイルが言う。
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「ええ」
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「これなら」
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担当官が
資料を見る。
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「指数も……」
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わずかに。
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だが。
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上がっていた。
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NCI。
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微増。
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「……戻ってる」
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誰かが呟く。
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その言葉に。
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空気が変わる。
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リーネは
静かに言う。
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「まだです」
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だが。
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「これで」
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「止まりません」
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カイルが
ニヤッと笑う。
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「いいね」
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「これだよ」
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市場。
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人が動く。
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店が動く。
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街が動く。
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そして。
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それを支えるのは。
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**制度**だった。
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リーネは
空を見上げる。
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ここから。
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本当の意味で。
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逆転が始まる。
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