二十六話『歓迎』
僕はふかふかベッドで目覚めた。
入団試験をして、それでどうだっただろう。ヘルさんの予想外の攻撃で気絶したことは覚えている。
「そうか…僕は落ちたのか」
「いいや、受かったぞ」
「え、タタン、さん?なんで?」
何故かベッド横にタタンさんがいた。
一番いないだろうと思っていた人だ。僕を怖がっていたんじゃないのか。僕を嫌っていたんじゃないのか。
「そんな顔するなよ、気持ちの整理が着いたんだ。今では歓迎している」
頬を書きながらタタンさんがぼそぼそと答えた。
顔に出ていたみたいだ。
彼はつらつらと説明をしてくれた。
あの後、ダンジョンから帰って時間が空いて自分が助けられたことを実感したらしい。
それから申し訳なさがあったが素直になれなかった。
けれどヘルさんとの戦いを見て、僕が本能ではなく理性で能力を使っている姿に自分の間違いに気付いたと申し訳なさそうに伝えられた。
「どう見ても化け物でしたから仕方ないですよ」
「いや、それについてもギルドマスターに注意を受けたよ。俺というものがありながら化け物にびびってるんじゃねえってさ。それでギルドマスターの能力を見せてもらったよ。それで改めて言おう、君はまだまともだ」
「そ、それはどうも」
たびたび話題に上がるけれど、ギルドマスターはどんな魑魅魍魎なんだろうか。
それから、タタンさんに僕が寝ている間に代理戦争について決まったことを伝えてもらった。
代理戦争はギルド間で意見がぶつかってどちらも折れない時に行われる決闘だ。
場所を一方が決め、ルールを一方が決める。お互いが同意した場合のみ代理戦争が行われる。
今回、場所はアダマスフィア家が決め、ルールは【快晴】ギルドが決めた。
場所はアダマスフィア家所有の森でルールは国崩しだ。
アダマスフィア家所有の森は広大だ。私有地なのでたくさんの罠が設置されていることだろう。
国崩しは王と呼ばれる役を一人と城と呼ばれる陣地を一か所と王以外のメンバーである民で構成される。
敗北条件は3つあり、王が敗北する・城と定義した陣地内に戦闘可能状態の自国の民がいない・戦闘可能状態の自国の民が0人になるの3つだ。
つまり王だけ城に生き残っていても民がいなければ負けである。また、民も城も万全でも王が敗北すると負けである。
「王の責任重大ですね」
「おう!俺の苦労をわかってくれるか」
ここまでくるといつものようにというべきだろうか。
突然現れたギルドマスターは僕の肩に腕を回しながらうんうんと首を縦に振っている。
「ギルドマスターが王をするんですね」
「おうよ、万全を期して俺がする」
すごい自信だ。流石はA級ギルドのマスターなのだろう。
「他人事みたいな顔してるがユキの望み通り蚊帳の外にする気はないぞ。代理戦争に参加するためにギルドに入ったんだろう?」
「そうですね。精一杯頑張ります」
「わかってねえな、お前には…」
ギルドマスターは耳元でぼそりと僕だけに伝わる声量で伝えてきた。
「ええええ!そんなの無理ですって!」
「うるせえ!近くで叫ぶな!無理じゃないようにこれからなるんだよ」
ギルドマスターは僕を見てにやりと笑った。
「代理戦争は10日後に決まった。それまでお前は白雪とダンジョンツアーだ」
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続きを今日これからと明日頑張ります。




