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トネリコの繋ぐ宙―奈落篇―  作者: あーもんどツリー
4 《アスガルド》革命
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僥倖

僥倖(ぎょうこう)

思いがけない幸せ。また、その出来事。





幸せはいつも突然やってくる。

「あぁ・・・、美味しかった」

絵茉は市場の屋外型レストランで少し高めのコース料理を、きっちりとしたマナーで食べていた。

口元を拭く動作さえも一流の風格がある。

それもそのはず。この元ヤンの精霊、本当は妖精族の王女である。

作法なぞお手の物なのか、余裕の表情(ドヤ顔)をしていた。





「久々にいいモン買ったな・・・。」

璃瑠は金物屋の通りを、歩きながら呟いた。

その両手の紙袋には、ニッパーのような汎用の工具から、電動の丸ノコ型グラインダーみたいな専門的な工具まで色々入っていた。

「帰ったら性能試すかな」

なんて言いつつ、ウキウキした心に正直に、彼女の脚はステップを軽やかに刻んだ。






桜海の案内で、ハルトは水門家にお邪魔していた。


「・・・凄ェ」


それしか声が出ない。

ここまで広い家は、彼の感覚ではもはやショッピングモール並のものだった。

財閥の会長の家ともなると、そういうものなのだろうか?

「フフッ」

と桜海は微笑むのみである。

「桜海お嬢様、ご帰宅をお待ちしておりました」

と、メイドさんが桜海に深々と一礼した。


メイドさんって、本当にいるもんなんだな。

と俺は珍しく思ったりしたが、その後の声がその思考を吹き飛ばした。


「桜海・・・?桜海なのか・・・?」


広い応接間によく響く、しわがれた老人の声。

「会長!」とメイドさん。

「お祖父様!!」と桜海。


「あの人が・・・」

あの人が、水門(みずかど) 飛鳥(あすか)・・・!





「君が路木ハルト君だね?」

「はい」

その声は、俺の背筋を自然と真っ直ぐにさせた。


「早速ですまないが、君に頼みがあるのだ」


いきなりですね、と思ったが、ついつい俺は、

「はい、何なりと!」

と言ってしまった。


「いい返事だ。」

と、飛鳥会長の口元がニヤつく。


「頼みというのはね、ハルト君」

「はい」




「ぜひ、桜海を貰ってはくれないだろうか?」

「はい」

・・・・・・え?



えええええええエエエエエエエエっ?!

いつも読了ありがとうございます。

そうでない方もありがとうございます。

あーもんどツリーです。


次回、とうとう《アイツら》が動く・・・のか?

お楽しみに&よろしくお願いします!!

それでは。

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