Fourtの創設者 日下部創
「動けないの?大丈夫ですか?」
空から降ってきた天使は私たちを見て、そう呟き私たちに手をかざす。
「うーん、気絶してるわけではないですね。」
「だいじょうびです!とても強くてびっくりしただけです。」
それは本当だ。でもまぁ他にもその美しさで言葉を失っていたというのは黙っておこうか。
少々目がチカチカしていたのも収まりその姿をしっかりと認識する。
白銀とも純白ともとれる輝きを放つ一対の翼と頭の上にある輪を見ることで天使というのは分かるが他は真っ白なワンピースという何とも戦場に似つかない・・・いや美しいけどさ。
「あなた様は・・・!?」
「?ああ、君は確か秋田の。なるほどじゃあ君たちは秋田の子なんですね。」
何か驚愕する福田君と何か納得する天使。
――――?何か歪みが?
「おっと空間が戻るみたいです。一旦大通りに行きましょう。」
その提案を聞き私たちは大通りに出ることにした。
大通りでは少しのざわめきがあった。
大通りに出てすぐさま尾割さんがこちらを見つけて駆け寄ってきた。
「これはこれは…どうしてこんなところに?君たちも無事そうで良かったよ。」
「そうですね、その理由とともに自己紹介でもしましょうか。」
そこまで言った天使は翼と輪を消し、服のほこりを払う。そしてこちらに向き合う。
「私は天森白亜。東京本部放浪課所属です。そして色付きというところにも所属しているよ。」
「!?莉愛ちゃんと同じ!?」
「うん、そうですそうです。リアがいつもお世話になっているね。ありがとうございます。」
そう言って頭を下げる天森さんを見てやっぱりかと福田君はぼやいている。
「とりあえずちょっとここ離れようか。少し問題が発生してね。」
尾割さんがそう切り出し天森さんを連れて私たちはちょっと離れたカフェに入っていった。
「俺の方で傷害事件が起きた。ちょうど君たち二人が向かっていったときに、だ。さすがに偶然だと思いたいが。」
「うん、私がこちらに来たのも尾割副支部長さん救難信号を出していたのを聞いたからね。それで近くに行ったら”界幕”が張られていたからとりあえず問題の一つを解決しようとしました。」
「ちゃんと”界幕”使ったんだな、偉いぞ~。言われたことを行えるのは好印象だ。俺の方の問題も来てくれたFourtの隊員に後を任せてな。救急車とかも呼んでたから大丈夫という判断だ。」
そう言って上の人たちが会話しているのを私たち高校生組がジュースや紅茶を飲んでゆっくりしていると
「やっと見つけた――ッ!元居た場所見に行ったら他の隊員で探す羽目になったじゃないですか!?最終的には幸運で見つけないといけなかったし。」
花村先輩がやってきた。
「凄い、すんなりと天使様がいる。正直いってびっくりしたよ。」
こちらに気付くと同時に天森さんにも気づいたみたいだ。
天森さんはやはり知られているらしく色付きとして活動していることは尊敬されているらしい。
しばらくして話がひと段落したらしくゆっくり珈琲を啜る天森さんが口を開く。
「そういえば、バタバタして聞けなかったけど怪我とかない?私治せますよ。」
「あ、じゃあ私たちの傷お願いします。」
そう私が言うと先輩や福田君がぎょっとした顔でこちらを見てくる。
何だろうと思っていると福田君が恐る恐るといった様子で口を開く。
「申しわけないだろ!?」
「いやいや大丈夫ですよ。」
と、天森さんが言ってくれたからかしぶしぶ納得したみたいだ。怪我すれば良かったとかぼやいていたのは、無視しておこう。
「ちょうどいいや。天森にお願いなんだが、浜と朱音はまだエネルギーが見えないらしくてなぁ。ちょっと手荒な真似してもいいから教えてやってほしい。」
「わかりました、じゃあちょっとこっち来てほしいです。」
言われるとおりに席を立ち天森さんの目の前に二人で立つ。
そうすると店員さんが移動式の椅子を持ってきてくれた。気が利く人だ。
「じゃあ今から治療していきますが、エネルギーを流す治療法で行います。私が持つエネルギー特性は淡く白く輝き、触れた者の心を落ち着かせます。それを感じたら目標達成です。はい、それぞれ片手を出してね。じゃあ行くよ。」
私が右手を出し、朱音が左手を出すとそれぞれ天森さんが右手左手と出してそっと重ねる。
すると、手がほのかに暖かく不思議なものが通る気配がした。柔らかくゆっくりと奥に来る気配がする。
「普通のエネルギーなら相手が持つ反エネルギーによって中に入りずらいんだけど、私の場合は特性を使えば違和感を減らせるんです。あぁ、反エネルギーは私の仮称ですのでお気になさらず。とりあえず感じれてるようですね、これなら早そうです。」
そう喋ると同時に体にあった擦り傷が見る見るうちに治っていく。
「エネルギーを”異能力”で回復に変えました。普段なら聖なる力とかでもっと回復速いんですけど。
それで分かりましたか?エネルギーの認知方法。」
「多分…?今天森さんの周りが白い靄っぽいものが多いのがそれですかね?」
「私もそれ見える!」
なんと。私も朱音も見えるようになっているのか。
「成功したみたいだね。天森、ありがとう。」
「いえいえ、手伝いができたのなら何よりです。いつもリアがお世話になっていますから。」
「天森さんは莉愛ちゃんと仲いいの?」
疑問に思ったのか朱音が質問する。
「えぇ。場所が違えど同じ放浪課ですし、仲良くする場面もいろいろありましたから。」
そう微笑む天使を私は仲がいいのだなと微笑み返す。
その時少々はっとした表情でこちらを見渡す。
「ところでそろそろなのでは?Fourt加入のために来たのでしょう?向かった方がいいと思いますよ。」
「―――もうそんな時間か。私は芋羊羹を買ってから行きたいのだが天森連れて行ってくれるか?一応花村も付けるから。」
そう言って尾割さんは席を立つ。
それを見て再度微笑む天森さん。
「そうですね、承知しました。無事に連れていきましょう。」
「頼む」
足早に店を出る尾割さんを見届け天森さんが口を開く。
「それじゃあ私たちも行きましょうか。いざ東京本部へ~」
そこから滞りなく無事に東京本部に到着した。
中に入ると会社の玄関といったら分かるだろうか。
秋田の偽造支部とは大違いの綺麗さだ…
「受付してくるからちょっと待っててください、あそこの椅子座ってたらいいと思うよ」
「わかりました!」
俺もついていきますとか言っている福田君を横目に私たちは指さされたソファに腰を掛ける。
改めて周りを見渡してもきれいだなぁと思う。人はちらほらといるけどそんな漫画や異世界物で見るようなギルドのようなものとかではないんだなぁ。
朱音は心ここにあらず。って感じだ。
そんなことを考えてると少し小綺麗な服を着た若い男性がこちらにやってきた。
「前の席に座ってもいいかな?」
「いいですけど…周り席空いてますけど…」
「ははは、いいジョークだ」
いやジョークじゃないんですけど。
その衣装とは似つかない仕草でどかっと席に座ったその男性はにこにこ笑いながらこちらを見てくる。
流石に気になって口を開く。
「どうかし
「君は…元気にしているかい?」
喋ろうとしたとき男性も口を開く。
表情をうかがうとその顔はさっきまでのにこにこ笑顔とは違う―――暖かなほほえみというのが一番合った。
「―――はい、元気ですよ。」
「そうか、それならよかった。」
そういい元のにこにこ笑顔に戻る。
その時――
「戻りましたー。あれ?お仕事はないんですか?―――――日下部チームリーダー。」
チームリーダー?
「あぁ言ってなかったね。僕は日下部創。一応君たちの上司に当たる人だよ。具体的に言えばFourtの創設者で、今はチームリーダーをやらせてもらってるんだ。」
その男性――日下部創は再度にこりと笑った。




