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六話

…と、いうか…ろくに名前もわからないじゃないですか‥

やはり、違う…これは恋情ではないです…多分…

とりあえず、名前を聞きましょう…。

「…貴方の名前は何でしょう?」

「…知ってはいなかったんですか?」一応顔だけはこちらを向けてくれている。

「知りません。これから貴方とは毎日会うことになるのでしょう?自己紹介位はしておきましょう。お互いに。」

ニコやかに言うエリオット。

「ローナ=トルムです。南宮に務めています。」

ペコリとお辞儀をする姿はやはり同い年には見えなかった…


ローナ…か…可愛らしい名前ですね…


「エリオット=ランドマンです。国王に仕えております。よろしくお願いします」

「…はい。」

「同い年ですし、職業も同じなので特別に敬語でなくてもよいですよ?」


腹立つなぁ…


「無理ですが、気は使いません」

「どういうことですか?」

「多少言葉が辛辣になるということですランドマン様。」

彼女の顔はもう正面を向いていた。


ああ……もう少しこちらを向いてくれないですか?…

ローナ…ローナ…くそっ情けないですね…

一日でこんな娘(同い年)に心を奪われるなんて…

適当に女やぬくもりに飢えたときしか扱ってこなかったことがこんなところで災いするとは思いませんでした…

『ランドマン様』

そうだ!!呼び名!!呼び名を変えさせましょう!!

顎を片手でついっと上に向かせて「俺のことは、エリオットと呼んでくれ」

と、言えばどんな女でもうっとりとした表情になって呼んでくれるでしょう


「…ローナ」顔だけこっちへ向ける。

エリオットは彼女の顎に手をかけた瞬間彼女の手に叩き落とされた。

「やめてください。汚らわしい…」

まるで汚物でも見るような目で見据えるローナ。

「気分が悪くなったのでお暇させていただきます。ランドマン様には是非とも蟲にたかられて死んでほしいです。では、さようなら。」

最後まで冷淡に感情のない声で言った。


バタンッと閉じるドア。

一人残されたエリオット。


…冷たい…でも、いつか…俺しか見えなくさせます。


エリオットは黒い笑顔を浮かべた。



おぅ…今日の割り振りの部屋ストーシュ様だ…

なんだか昨日から縁があるなぁ…


コンコンッ


この時間は清掃か…


「入れ」

「失礼します。清掃に参りました。」


!!今日の清掃はローナか!!


「あ、あの…ロ…君…」

「はい。なんでしょうか。ストーシュ様」

掃き掃除をしながら答えたローナは一瞬たりともこっちを見ない。

「…ムスクだ…」

「…ムスク様」

「好きな…たべものはあるのか?」


何故緊張する必要がある?堂々としろ!!


「……前。聞いてましたよムスク様」

ローナは「はぁ…」と分かりやすく溜息をついた。

こちらはコホンとワザとらしく咳をすると

「……今日の仕事は、これで終わりか?」

と、尋ねた。

「えぇ。はい。」

「…俺と一緒にぃ…………」

「…俺と一緒に?」

首を傾げるローナ。

「夕飯でも…とら、ないか?」

「………」

彼女は訝しげに眉を顰めている。

「あぁ…いや、無理だったらいい。ロ…君達には専用の食堂があるらしいからな…いや、今日誘ったのも…ホラ…歌のお礼だと思ってだが…余計なことをしたな…」

かなり心臓がバクバクしているが、頑張って冷静な口調を保とうとした。

彼女の方は相変わらず無表情で何を考えているのか分からなかった。


馬鹿か俺は!!何故誘った!!意味が分からない!!いや、これはあくまで礼だ…


無表情でなんのアクションもないままムスクは一人心の中で百面相していた。

「いいのですか?」

「…え?」

「いいのですか?御一緒させてもらって…変な噂など立ちませんか?」

「あ、ああ…構わない礼だからな…メイドと変な噂なんぞ立たない‥」

内心安堵と喜びで小躍りしていた。


まぁ当たり前だ。俺の誘いを断る女なんて存在しない。



「では、私は早く清掃を終わらせます。」

そう言って彼女はベッドのほうへ行きベッドメイクを始めた。

なんだか自分の為にやってくれていると思うと満足感のようなものが湧いてくる。


今日は…ローナが整えてくれたベッド…


彼女は小さいながらテキパキとベッドメイクを終わらせ、

風呂掃除に取り掛かった。

「終わりました。」

あっという間に掃除は終わった。

「そうか。今、料理を持って来よう。」

「…メイドの仕事つぶしですか?」

「………」

「今とってきます。」

ペコリとお辞儀をすると料理を取りに行った。



二人とも残念なイケメンフラグ

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