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七話

カチャカチャッ…


二人は黙々と料理を頬張っていた。

「なぁ、ロ…君」

「…呼びにくいのならローナでいいです。どうしましたか?」

「料理は美味いか?」

「ええ。とても美味です。特にこの鶏肉が…」

「…それはよかった…ローナは、俺と一緒だと楽しくないか?」


…聞きたくはないが、ここまで無表情だと聞きたくもなる…


「いいえ?これでも結構楽しんでいるのですが…」

ムスクはホッとした。

「今日は何があった?」

ローナのフォークとナイフを動かす手がピタリと止まった。

「…不愉快なことがありました。」

顔をしかめるローナ

「えっ?」

「…ここへ来る前。給仕指導を受けて、顎を触られました。とても、不愉快な気持ちになりました‥」

「…大丈夫か?」

「はい。すぐに逃げてきましたし」

「……俺には、不愉快にさせられてないか?」

恐る恐る聞くムスク。


…俺はこんなにも小心者だっただろうか…


「はい。ご飯くれたし良い人です。あ、でも高圧的な態度(あと身長)はやめてください。怖いです。今は優しいので好きです。」

好きという単語一つで心臓が飛び跳ねた。


…何故?


「…あ、ありがとう…ローナは、俺を信頼しているか?」

「昨日の今日では無理に決まっています。」

「…そうだよな、じゃあ。ローナ、友好的な関係になろう」

「友好的?ですか?」

首を傾げる。

「そうだ。」


なんだこの人…


「…別にいいですよ。要は友達になりたいんですね。」

「ああ…まぁ…そうだ…どうしたらいいか…」


この人友達いないのかな…


「自己紹介してちょっとずつ仲良くなればいいんですよ」

「そうか。じゃあ…コホン…俺はムスク=ストーシュ。趣味は剣術。好きなことは馬に乗ることだ。君と仲良くなりたい。」

「私はローナ=トルムです。趣味・好きな事は歌うこと。感情があまり顔に出ないのは気にしないでください。」

ムスクは手を差し出し「よろしく」という。

ローナは手を握り「よろしくお願いします」という。

小さなすべすべふにふにの手に癒されていたらスゥッと手の力を抜かれたので

内心慌てて自分も手の力を抜いて手を離した。


とりあえず食事へ戻る。

「ローナは宮へ来て何年になるんだ?」

「4年です」


4年?では、推測年齢14か15というのは違うのか…


「…もしかしてですけど、給仕指導のクソ執事みたいに少女だとか思ってますか?」

ムスクは内心ドキッとしたが、

彼女から発しられる鋭い殺気に気づき何事もないように顔には出さない。(てか、出ない)

「でも、女性は若く見られたいものなんじゃないのか?」

苦し紛れに返すムスク。

「私の場合は別です。」

「…女性にこんなことを聞くのは失礼だが、君は幾つだ?」

「24です」

ムスクは止まってしまった。


24…だと?…いや、身体の発達では納得ができる部分もある。しかし、幼すぎやしないか?いや、寧ろ自分はロリコンでは無かったと喜ぶべきか?と、言うか何故喜ぶ必要がある?


頭の中で悶々としているムスクに「やっぱり、そうですか…」と、ローナは言った

意識が帰ってきたムスクは必死で弁解した。

「い、いや、あれだ…思ったより…なんだ?歳、歳が近くてビックリした」

「…ヘタなフォローですね。それでも官吏ですか?でも、そう考えると私ももうおばさんですかね。今日のところはご飯貰ったし、怒らないであげます。いつものことですし。」

遠回しに≪ムスク様はおじさん≫と言い、挙句上から目線をされた。

反撃の言葉が思いつかないムスクは

「…そろそろデザートを食べようか」と、咄嗟に会話を変えた。

実はとっくに食事を終えていた二人。

「とってまいります。」



今日のデザートはイチゴのムースだった。

「今紅茶を淹れますね。」


この人は確か渋くて甘いやつ…

変な好み…


「おまたせしました」

「ありがとう…なぁ、ローナ」

「今度はなんですか?」

「もっと互いに友好的になるためには今日のような会食を定期的にするべきだと思う。俺も毎日一人で食べていると味気ない」

「そうですか。ですが、今日のようにムスク様の料理を少しずつ頂戴するのは申し訳ないですし、一人で食べたくないのならほかの人と食べてください。こんなしがないメイドなんぞに関わらなくとも結構ですよ?」

バッサリと切る。

「君は正直なうえに冷たいな…」

「正直にいうのは私の長所です。冷たいのは………」

黙ってしまった。


長所だとか日課だとか、ローナは生真面目なんだな…きっと。


「料理のことは気にするな。一緒に食事をしたい時俺から厨房に言っておく。」

「…はぁ。そうですか…しかし、こんな何も面白くない女ではなくともいいではないですか。ムスク様は大層おモテになるのでしょう?」


誰から聞いたんだそんな本当のこと…


「君と一緒に食べたい。正直ベラベラ好き勝手にしゃべる女は嫌いだ。しかも…ほら…俺達は、友人…だろ?」

頬を薄く染めて少しあさっての方向を向きながらムスクは言う。

「まぁ…そういうことにしといてあげますよ。」

時計は9時指していた。

「では、長い時間失礼いたしました。失礼いたします」

お辞儀をするローナ

「ああ、お休み。」

手を振るムスク。

「…お休みなさいませ」

ドアが閉まる。

主人公は少々ツンデレ(?)ですかね…

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