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エピローグ

家路に近づいていくと、マンションから明かりが漏れているのが見える。

もちろん、自分の家もだ。


今日の晩御飯なんだろなーと、足取りが軽くなる。


マンションに入ってエレベーターで八階まで登っていく。

八階の一番右奥に「乙原」の名字が見える。

「ただいまー」

澄は勢いよく玄関に入り、靴を並べた。

一旦、自分の部屋に入って着替えを済ましリビングに向かった。

「お帰りなさい、澄。お勤めご苦労様」

「ただいま、美菜穂」

澄の妻――美菜穂がエプロン姿で迎えた。

「今日の晩御飯は何かな」

「肉じゃがよ。ちょうど出来上がったところなの。さぁ、座って」

「おおっ、肉じゃがかぁ」

肉じゃがが机の上に出された。香ばしいにおいと温もりが醸し出されいる。

「いただきまーす!」

美菜穂は召し上がれと返した。

澄はすぐに食べ終わった。

「そういえば、穂澄ほすみは?」

穂澄は澄と美菜穂の娘である。二人が結婚して一年後に生まれた。

二人の名前を一字ずつ取った。風吹く穂を清らなかな心で成長してほしいという願いがある。

現在は三歳で、来年幼稚園に入る。

「和室で寝てるわ。静かにしてあげてね」

美菜穂は人差し指を唇に当て、いたづらっぽく笑った。澄は思わず笑った。

澄は娘のいる和室に入った。

白い毛布を掛けられた穂澄が規則正しい寝息を立てながら寝ていた。しかし毛布は若干ずれている。

「穂澄、ただいまー。明日は一緒に寝ような」

澄は目を細めた。子どもを見る目は優しい。

毛布がずれているのに気付いて、澄は丁寧にかけなおした。

娘の寝顔は一日の疲れを吹き飛ばしてくれる。

澄がリビングに戻ると、お茶が置いてあった。

エプロンを外した美菜穂が椅子に座っていた。

「澄ったら、穂澄にメロメロね」

美菜穂は肩をすくめたが、寂しさが出ていた。

「美菜穂だって十分かわいいじゃないか。今も昔も変わらない」

「そうかしら。澄はいいお父さんだって生徒さんから評判いいよね」

澄は大学卒業後に母校である日谷学園で、音楽の教師(非常勤)をしている。主に二年生を担当している。また日谷学園の近くにあるピアノ教室でピアノを教えている。

日谷学園の生徒から「幸せ者」と評されている。

「最初は家についておちょくられたなぁ・・・」

最初の授業で自己紹介の時に、生徒から『彼女いるのですか』と聞かれた。

もう結婚して娘がいると話したら信用してもらえなかった。

仕方ないので、携帯の待ち受けを見せたらやっとわかってもらった。


『先生の奥さん、めっちゃ美人!娘さんもかわいい!』


なんたって自慢の妻と娘ですからと返した。

美菜穂と穂澄の話をした後しばらくは、噂が流れたのか、事実確認をする生徒が出てきた。


――いいなぁ、私も乙原先生の奥さんみたいになりたいわ

――というか、乙原先生って結婚していてるのね

――人は見かけによらずということだよ


「そういえば、今日小春ちゃんから電話があったわ」

「小春が?」

二人が出会ったとき、小春は保育園児だったが今では女子高生である。

「今度遊びに行っていいかなって。穂澄に会いたいと言ってたわ」

「じゃぁ、今度の土曜日に来てもらおうかな。そうだ、姉ちゃんも呼んで」

「そうね。穂澄、喜ぶだろうね」

澄はお茶をすすった。

「あれ、穂澄どうした?」

話し声に気付いたのか、寝ぼけ眼をこすりながら穂澄が和室から出てきた。

「おとうしゃん……おかえりなしゃい」

「ただいま、穂澄」

澄は膝を折った。

「おとうしゃん。ほすみね、やよいちゃんとなわとびしたの」

「そうなんだ。穂澄はちゃんとできたのかい?」

「うん!」

得意げに話す穂澄を見て微笑ましくなる澄だった。そして澄は穂澄の頭を優しくなでた。

「穂澄、もう寝ないといけないんじゃないんかな」

「えーっ」

穂澄はばつの悪い顔をした。

「おとうしゃん、おかあしゃん。おやすみなさい」

穂澄は和室に戻った。



自分の知らないところで娘が成長していく。

そのうち「お父さんなんて嫌いよ!」なーんて言われるのかなぁ。

彼氏をつれて「交際を許してください」って来るのかぁ。

「澄、どうしたの?お茶冷めるわよ」

「穂澄見てたら、考え事してたんだ。成長したなぁって」

「子どもって親が見ていないところで成長するものよ」

「そのうち、彼氏つれて交際させてくださいって言われるのかぁ」

「澄ったら、気が早すぎるわよ。穂澄はまだ幼稚園はいる前よ?でも澄の事だからすぐに反対しそうね」

「それ、今日生徒に言われたよ」

澄は音楽の授業で、美菜穂と穂澄のことをよく話している。

生徒から『先生、穂澄ちゃんが彼氏連れてきたらどうしますか?』と聞かれ、かなり悩んだ。

しばらく『温厚な乙原先生が強く言うか?』という人と『親ばかな先生ならありえそう』という人が討論になった。




「…確かにそうなるかもしれない」

二人はあふれんばかりの笑みを出した。






小さな喜びやささやかな日常は金にも銀にもかえられないのだ。

やっと最後までかけたヨ!

途中から何か月も書いていなかったからなぁ。

大学生になって、落ち着くのに時間かかったのよ…と言い訳にするのはよろしくないかな。


最後のエピローグはかなり悩んだ。元々の話がちょっとね…と思ったの。


話自体は終わりだけど、乙原家の日常をもっと書きたいなぁ。

ついでに言うと娘の話ももっと書きたい。その辺は想像力で勝負!

えっ、もううんざりだって?

そんなこと言わないでよー、私は書きたいんだからさー。

「番外編」みたいな形で、高校の時書いたけどネ。


何はともあれ、無事書き終わってよかったです。

ということで、乙原家の日常書こうかなぁ。


2011年 8月19日(金) 月見里ゆずる

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