Ⅲ日目
朝。
主人公は、ベンチに座っていた。
「……暇だ」
空を見る。
ひびは、昨日より広がっている。
「あと27日か」
その時。
「おはよー」
おばちゃんが通り過ぎる。
「……おはよう、だと?」
主人公は首をかしげる。
「世界が終わるというのに、なぜ挨拶などする」
おばちゃんは笑う。
「するでしょ普通に」
「そういうものか……」
少し考える。
そして。
「……おはよう」
おばちゃん、満足げにうなずく。
「いいじゃない」
去っていく。
沈黙。
「……我は何をしているのだ」
「腹が減ったな」
場所は変わる。
コンビニ。
自動ドアが開く。
主人公が入る。
「いらっしゃいませー」
店員が普通に言う。
主人公は店内を見渡す。
「……なぜ営業している」
店員がレジから答える。
「だってまだ終わってないし」
「変な生き物だな」
パンを手に取る。
「これはなんだ」
「メロンパンです」
「メロンではないな」
「そうですね」
「じゃあなんでメロンパンなんだ」
沈黙。
「……買おう」
外。
「これに座ってもいいのか?」
ベンチに腰を掛けた主人王
「メロンパンと缶コーヒーというものらしい」
「これがメロンパンか、おいしいな」
「人間というのはここまで進化しているものなのか」
「缶コーヒーというのも飲もう」
「苦いッだがなかなかいける味だ」
その後ものの一分ですべて食べきってしまった
子供たちが遊んでいる。
「鬼ごっこしよーぜ!」
主人公を見る。
「うわ!ツノある!」
「魔王だー!」
「かっこいいー!」
主人公は少し考える。
「……魔王だが」
子供たちは笑う。
「じゃあ鬼ね!」
「なぜだ」
「強そうだから!」
主人公はため息をつく。
「……よかろう」
「本気を出してやる」
次の瞬間。
全員の背後に立っている。
「捕まえた」
「はやっ!?」
「チートだろそれ!」
「すっげーー」
夕方。
主人公は空を見ている。
人々は普通に歩いている。
笑っている。
「……理解できぬ」
「なぜ恐れぬ」
小さく呟く。
その時。
子供の声。
「だってさ」
振り返る。
さっきの子供。
「魔王かっこいいんだもん!」
「しかも終わるなら楽しい方がよくない?」
主人公は、黙る。
空を見る。
ひびは、確実に広がっている。
「……そういうものか」
夜。
主人公は一人、街を見下ろす。
灯り。
笑い声。
「……」
静かに目を閉じる。
そして、呟く。
「ならば――」
「終わりも、悪くないものにしてやろう」
その時。
空が、わずかに歪む。
新たな影。
「次か」
主人公は目を開く。
「退屈は、せぬな」
■第3話 完




