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224話:(1875年4月/春)春耕と戸籍簿

春爛漫の常陸平野。霞がかった筑波山の裾野を背景に、あたり一面に広がる田畑では、農民たちが一斉に春耕に取りかかっていた。土を返す鋤の音、牛の鼻を鳴らす声、苗代に注ぐ清らかな水のきらめき。それらが混じり合い、春の交響楽を奏でているかのようであった。


 農婦たちは籠に入れた種籾を川水で繰り返し濯ぎ、笑いながら隣の者と談笑する。子どもたちはその傍らで泥に足を取られながらも手伝いをし、時折歓声を上げては父母に笑われていた。冬を越えた人々の顔には、確かな安堵と、これからの実りに向けた希望の光が宿っている。


 その田畑の外れで、藤村晴人は一人静かに足を止め、土手から人々の営みを眺めていた。裃ではなく、粗布の羽織に脚絆姿。政務を離れたとはいえ、彼の眼差しは農民と同じ土を踏みしめる者のそれではなかった。


 「耕す手と、名を記す手……。どちらも、この国を支えるものだ」


 彼は小さく呟き、懐から一通の布告文を取り出した。それは新たに設立された江戸城戸籍局から全国へ送られた指令書である。今日から、常陸州を含む全国各地で、戸籍調査が本格的に始まるのだった。


―――


 江戸城西の丸に設置された新しい庁舎、戸籍局。春の陽光が差し込む大広間には、机を並べて数十人の書役が筆を走らせていた。棚には分厚い帳簿が幾重にも積み上げられ、各村から届いた調査票が次々と仕分けられていく。


 「氏名、生年月日、家族構成、職業、居住地……。これらを一人残らず記す」


 監督役の声が響くたび、書役たちは背筋を伸ばし、墨をつけた筆を帳簿に滑らせた。墨の匂いと紙の乾く音が混ざり、ここにもまた春の新しい律動が生まれていた。


 戸籍局の正面玄関には「戸籍局」と記された新しい扁額が掲げられている。通りがかった町人たちは好奇心と少しの不安を入り混ぜた表情でそれを見上げ、口々に囁き合った。


 「名前が国に記されるというのか」

 「これで税も公平になるらしいぞ」

 「ならば、うちの息子も立派に数えられるのだな」


 戸籍制度は、これまでの石高制から人頭税や所得税への移行を前提とした大改革である。農村にとっては驚きであり、商人にとっては計算しやすく、役人にとっては責任の明確化を意味していた。


―――


 一方、常陸州羽鳥の役所にも、戸籍調査のための臨時役場が設けられていた。村役人と戸長が机を並べ、農民や町人が順番に呼ばれては名を告げていく。


 「氏は?」

 「藤左衛門」

 「齢は?」

 「四十五になります」

 「職は?」

 「米作り一筋でございます」


 役人は淡々と筆を走らせた。記された名前が帳簿に残ると、藤左衛門は不思議そうな顔をした。


 「これで、わしの名が国に残るのか」

 「そうだ。お前の名も、子の名も、孫の名も、帳簿に記される。これはただの税のためではない。お前たちがこの国の一員であることの証になるのだ」


 村役人の言葉に、藤左衛門は深く頷いた。その顔には、名を持ち、記録されることへの誇りが浮かんでいた。


―――


 その日、羽鳥城の一室では慶篤が講義を行っていた。集まった若い官僚や学者たちを前に、彼は黒板に大きく「戸籍」と書き、その下に三本の線を引いた。


 「戸籍の役割は三つある。第一に、税。誰がどれだけ負担できるかを正確に把握する。第二に、兵。徴兵の基礎は、国民一人ひとりの存在を知ることから始まる。第三に、福。病や貧しさに苦しむ者を救うには、まずその者の存在を知らねばならぬ」


 聴衆は真剣に耳を傾け、筆を走らせた。


 「これまでの石高制は土地を数えた。だが、これからは人を数える。国の基礎は土地ではなく、人そのものなのだ」


 慶篤の声は力強く、聞く者の胸に響いた。


―――


 その頃、北の札幌では清水昭武が戸籍調査開始を告げていた。新たに建てられた役所の前には、開拓民や移住者たちが列を作っていた。


 「名を記すことは、この地に根を下ろすことだ」


 清水の言葉に、移住者たちは静かに頷いた。人口調査と定住政策を結びつけることで、北海道開拓は新たな段階へと進みつつあった。


―――


 夕刻、藤村邸。


 義信は新しい戸籍簿を膝に広げ、自分の名前を見つけると目を輝かせた。

 「父上、僕の名がここにあります!」


 久信は横で署名の練習に夢中になり、丁寧に書かれた文字を見せては得意げに笑った。義親は墨壺を倒して畳を汚し、乳母が慌てて拭くと、無邪気な笑い声を上げた。


 篤姫はその様子を見て柔らかく微笑み、藤村に囁いた。

 「制度は厳格でも、人の暮らしは温かいものですわね」


 藤村は頷き、子どもたちの姿を見つめながら答えた。

 「そうだ。この帳簿に記された名の一つひとつが、この国を支える。人が生き、人が働き、人が笑う。そのすべてを記録し、守るのが我らの務めだ」


 春耕の土の匂いと、墨の香りが交じり合う夕暮れ。日本は今、土地から人へ、名なき存在から記録された国民へと、大きな変革の時を迎えていた。

江戸城西の丸、戸籍局本庁舎。春の柔らかな陽光が高窓から射し込み、磨き上げられた廊下に格子模様を描いていた。大広間には新調の机がずらりと並び、各地から届いた戸籍簿が山のように積み上げられていた。分厚い紙束の背には「常陸州」「武蔵州」「越後州」と墨字が整然と記され、近代国家を名実ともに支える「人の記録」が姿を見せ始めていた。


 藤村晴人はその中央に腰を下ろし、眼前に差し出された報告書を手に取った。


 「常陸州、登録完了率八割に達す。残りも今月中には完了の見込み」


 報告した若い役人の声は誇らしげだった。藤村は冊子を開き、一枚ずつ指でめくる。そこには農民、商人、職人の名が細かく書き連ねられ、年齢や職業、家族構成が克明に記録されていた。


 「土地を数える時代は終わった。人を記すことで、初めて国の力が見えてくる」


 低く呟いた言葉は、広間にいた役人たちの胸に深く響いた。


―――


 やがて、勘定奉行小栗忠順が姿を現した。彼は巻物を携え、藤村の机の上に広げた。


 「藤村殿、戸籍調査を基にした税収見込みが出ました。常陸州においては、従来の石高制よりも正確かつ安定した収入が算出されております」


 巻物に記された数字は、各地の人口と所得に基づいて計算された新たな歳入額だった。余剰を蓄え、不足を補う仕組みが組み込まれ、財政運営が初めて「計算」に裏打ちされる形となった。


 藤村は静かに頷き、扇で数字の列を叩いた。


 「この数は単なる銭勘定ではない。一人ひとりの生活の証が積み上がったものだ。戸籍簿の一行一行が、国家を支える財源そのものになる」


 小栗も頷き、慎重に言葉を続けた。

 「公平な課税は人心を安んじます。これまで不満の種であった不均衡も、これで払拭されましょう」


―――


 その頃、議場では慶篤が若い官僚たちに向かって講義をしていた。


 「諸君、戸籍制度とは単なる税のための道具ではない。徴兵の基礎であり、社会保障の前提であり、教育普及の土台である」


 黒板に大きく「税・兵・福」と三文字を書き、一本の円で囲む。


 「国を支える三つの柱は、すべて人に結びついている。人を数え、人を記録し、人を守る。これが近代国家の統治だ」


 官僚たちは真剣な眼差しで頷き、筆を走らせた。戸籍簿の革新が単なる行政改革に留まらず、国のかたちそのものを変えることを誰もが実感していた。


―――


 夕刻、江戸城大広間での評定。藤村は戸籍簿の山を背に、老中や奉行たちを前に報告を行った。


 「全国の戸籍簿作成は順調に進んでおります。来年には全域での登録が完了し、これを基に税制統一を実施可能です」


 その声に、列席者の間に緊張と安堵が入り混じった表情が広がった。


 「かつては石高に依存し、不公平を生じさせた。だが今や、戸籍により人を数え、公正を期すことができる。――これが近代の礎である」


 広間に沈黙が落ちた。やがて、誰もが深く頷き、歴史が動いたことを感じ取った。


―――


 その夜、藤村は帰宅すると、家族の笑い声に迎えられた。戸籍簿の革新は、机上の改革ではなく、家族や子どもたちの未来を守るためのものだと、彼は改めて心に刻んだ。

春の札幌。雪解け水が石狩川を満たし、大地はようやく白の衣を脱ぎ捨て始めていた。官庁街の煉瓦庁舎には開拓使の役人たちが集まり、初めての人口調査を前に緊張した面持ちを見せていた。


 清水昭武は、その中央に立ち、机に広げられた白紙の台帳を示した。


 「戸籍は人を数えるだけのものではない。どこに住み、どのように働き、どんな家族を持つか――その記録が、開拓の道筋を照らす」


 若い役人たちは静かに頷き、羊皮紙に似た厚い紙を手にした。雪深い地で暮らす漁民や農民の生活を記録することが、北方開発を進めるうえでどれほど重要か、彼らも理解し始めていた。


―――


 一方、江戸では慶篤が「戸籍と国家」の講義を開いていた。黒板には「国籍」「兵役」「社会保障」と大書され、三つを大きな円で囲む。


 「国民を記録することは、ただの数合わせではない。兵を徴するにも、学を授けるにも、病を癒すにも、人を把握せねば始まらぬ」


 学生の一人が手を挙げた。

 「殿、では欧州ではどのように戸籍を扱っているのでしょうか」


 慶篤は微笑み、手元の書類を掲げた。

 「フランスは革命後、全国一律の戸籍を整え、国家統合の礎とした。プロイセンでは徴兵制と直結し、人口把握が軍事力に直結する。だが我らは、それに教育と福祉を加える。日本の戸籍は、国を守ると同時に、人を生かす制度となる」


 講堂に静かなざわめきが広がった。兵役と税のための制度が、人を守り育てる基盤にもなる――その発想は新鮮で、学生たちの胸に深く刻まれた。


―――


 清水は札幌庁舎で、欧州から送られた報告書を開いた。そこにはロンドンやベルリンの戸籍簿の写しが収められていた。


 「欧州に学ぶべきは、記録の正確さと一貫性だ。しかし、我らは異なる道を歩む。開拓民の声を聞き、生活の実態を記す。人をただの数字にせず、未来を築く礎とする」


 隣に立つ榎本武揚が頷き、低く言った。

 「この地に根を下ろす者の数を数えれば、やがて村が、町が、国が形を成す。戸籍こそ、北を支える最初の石垣だな」


 窓の外では、まだ雪をかぶった森の向こうに、春を待ちわびる人々の家々から白い煙が立ちのぼっていた。


―――


 江戸と札幌。遠く隔たる二つの地で、同じ制度が息吹を上げようとしていた。

 戸籍簿の白紙は、これからの日本の未来を記す新しい紙片であり、その一行一行に、人々の暮らしと夢が刻まれていくのだった。

春風が新緑を揺らす神田の川沿い。まだ建設途上の工場の骨組みがそびえ立ち、その傍らには大きな輸入機械が梱包のまま並べられていた。巨大なローラー、鉄の歯車、真新しい蒸気ボイラー。どれもが、これまでの日本には存在しなかった規模と精度を誇る製造機械である。


 渋沢栄一は現場の足場に立ち、額に汗を浮かべながら職人たちに指示を飛ばしていた。


 「このローラーを据える基礎は、通常の石垣では足りぬ。コンクリートで固め直せ。機械が揺れれば紙の厚さが狂う」


 その声に、土木技師たちが大きく頷き、すぐに作業に取り掛かった。


 ここに設立されるのは「抄紙会社」。西洋式の機械を導入して洋紙を製造する、日本初の本格的な工場である。


―――


 数日後、羽鳥城の一室。渋沢は藤村晴人に工場計画書を差し出していた。分厚い帳簿には、資本金の割当表、労働者雇用計画、製品価格予測が細かく記されている。


 「殿、和紙だけでは時代の需要に応えられませぬ。教育が広がり、帳簿が増え、新聞が出る。紙が足りなければ学も商も育たない。――だから洋紙の工場が必要なのです」


 藤村は静かに頁を繰った。そこには一日当たり数百枚の洋紙を生産する試算が書き込まれ、輸入品よりも安価に供給できる見込みが示されていた。


 「和紙が文化を育てたように、洋紙は近代を育てる……か」


 藤村は目を細め、机に置かれたサンプル紙を手に取った。まだ粗いが、確かに印刷や製本に適した強度がある。


 「渋沢、この事業は国の柱となるだろう。私が政治を支え、お前が経済を支える。二つが揃ってこそ、近代国家は動き出す」


 その言葉に、渋沢の瞳が光った。


―――


 抄紙会社の起工式の日。蒸気機関の汽笛が響き、集まった人々が歓声を上げた。作業員たちが一斉に鍬を入れ、石炭をくべる音が工場の地を震わせる。


 義信は父に伴われて現場を見学し、巨大なローラーを見上げながら目を輝かせた。

 「これで教科書も、帳簿も、もっとたくさん作れるんだね」


 久信は職人の手元を食い入るように見つめ、鋼鉄の刻印が「抄紙会社」の名を打ち出す瞬間を模写していた。


 藤村は二人の姿を横目に見ながら、胸の奥で確信していた。

 ――戸籍が人を数え、税を集める。だが、その人々に知を広め、商いを支えるのは紙だ。行政と産業、その両輪が今ここで繋がった。


―――


 夕刻。煙突から試運転の蒸気が立ち昇り、夕陽を受けて黄金色に輝いた。周囲の町人たちは立ち止まり、その光景を「新しい時代の狼煙」と呼んだ。


 抄紙会社は、単なる工場ではなかった。近代的企業経営、株式会社制度、労働雇用の仕組み――そのすべてが日本に初めて形を成す舞台であり、ここから「実業界の父」渋沢栄一の道が本格的に始まっていくのだった。

春の夕暮れ。羽鳥城の奥座敷には、静かな灯がともされていた。障子越しに差し込む柔らかな橙色が、机の上に広げられた分厚い戸籍簿を照らしている。新たに編纂された常陸州の戸籍簿には、村ごとの家ごとに名が記され、かつての石高帳や寺社の檀家帳にはなかった精密さを誇っていた。


 義信は、その分厚い簿を覗き込み、自分の名を見つけて小さく息を呑んだ。

 「……ここに、僕の名前がある」


 その声には驚きと誇りが入り混じっていた。筆で書かれた「藤村義信」の文字を指でなぞりながら、彼は真剣な眼差しを父へ向けた。

 「僕も、この国の一人として数えられているんだね」


 藤村は頷き、静かに答えた。

 「そうだ。戸籍は人を縛るものではない。人の存在を国が認め、守る証だ。お前の名も、未来へと残される」


 義信の頬が赤く染まり、背筋を伸ばす姿は、少年ながらに国家の一員としての自覚を芽生えさせた瞬間だった。


―――


 その隣では、久信が筆を持ち、何度も自分の名前を書き写していた。

 「こうやって書いて、僕も戸籍に載るんだ」


 少し歪んだ字だったが、一文字一文字に力がこもっている。書き終えると、誇らしげに兄へ差し出した。

 「ほら、僕もできた!」


 義信は微笑みながらうなずき、藤村は二人を見つめて目を細めた。

 「名前を書くことは、責任を持つことでもある。お前たちが大きくなれば、自ら署名し、自らの言葉で国と向き合う日が来る」


―――


 その時、義親が墨壺に手を伸ばし、ころりとひっくり返した。畳に黒いしみが広がり、幼子は「ははは」と笑い声を上げた。


 篤姫が慌てて抱き上げたが、藤村は笑みを浮かべて言った。

 「よいではないか。戸籍簿の横に、義親の小さな足跡を残したと思えば」


 義信と久信も声を合わせて笑い、部屋は一瞬で和やかさに包まれた。厳格な制度と、子どもたちの無邪気な振る舞い。その対比が、この家の温かさを一層際立たせていた。


―――


 外では春風が若葉を揺らし、田畑の土には春耕の槌音が響いていた。国家の制度と家族の生活が交差し、未来へと繋がる力となっていく。


 藤村は、子どもたちの笑い声に耳を澄ませながら胸の内で静かに思った。

 ――戸籍は人を数えるためのものではない。人を守り、人を結ぶためのものだ。

同じ頃、江戸城の地租局には一通の書簡が届けられていた。差出人は朝鮮統治庁の西郷隆盛である。


 「朝鮮においても、戸籍調査を導入したい。だが、方法と順序を誤れば混乱を招く。貴殿の知見を借りたい」


 藤村は書簡を何度も読み返した。机上には常陸州で完成したばかりの戸籍簿が置かれている。名と年齢、家族構成、職業や居住地まで明記された一冊は、制度の結晶であった。


 彼は静かに筆を執り、返答を書き始めた。


 「朝鮮で戸籍を導入するならば、まずは土地と人を知ることから始めよ。数字を押し付けるのではなく、人々に制度の意義を伝えることが肝要だ。戸籍は束縛の鎖ではなく、保護の証であると理解させねばならぬ」


 筆の運びは迷いなく、墨痕は力強かった。


―――


 その夜、藤田小四郎が訪ねてきた。彼は新しく設置された統治研究室で、制度比較の作業に従事していた。


 「殿、朝鮮への戸籍制度移植は、単なる行政の問題ではありませぬ。民権の芽をどう扱うかという、国の在り方そのものを問う事業です」


 藤村はうなずいた。

 「そうだな。数字の背後にいる人々の声を忘れてはならぬ」


 小四郎は真剣な眼差しを向けた。

 「常陸で成したように、人々に説明し、納得を得ながら進めることこそ、真の統合に繋がりましょう」


―――


 翌朝、藤村は完成した返書を封蝋し、使者に託した。朝鮮の海を越えて届くその文は、やがて新たな統治の羅針盤となるだろう。


 彼はふと、庭先で遊ぶ子どもたちの声に耳を澄ませた。義信は戸籍簿の写しを大事そうに抱え、久信は筆で自分の名を練習し、義親は墨で遊んで笑っていた。


 「未来はここにある」


 藤村は静かに呟いた。戸籍制度はすでに家庭にまで浸透し、次の世代の中で血肉となりつつあった。その歩みを、朝鮮へ、さらに広く世界へ――。


 春の光が障子を透かし、淡い影が室内を包み込んだ。新しい制度の息吹は、国境を越えて確かに広がり始めていた。

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