↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/18

17 やりたいときにはないもの

それは、人類の英知だ、と人は言う。

それは、人が作り上げた文化を形にしたもの、と他の人は言う。

それは、人類の進化、その過程において必要になったもの、とさらに別の人は言う。


それは--。



「見よ! これが我らが神、オサム神が靴を履いた、その瞬間である! 祝え諸君!」

「はい、スラリーダー。念話が漏れてるから抑えて」


足の裏とか、痛くなくて済むよね、と僕は思うのだ。


それが、靴ってものだろ?

性能はこの際どこかへぶん投げて、だ。


「履いた、だと! つまり……本当に靴だったのか……っ!」

「ちょ、村長。それどういうこと」

何か聞き捨てならぬお言葉を賜りました。

「いや、だって、誰も履けなかったら、『靴によく似た置物』かもなー、と」

それ誰得よ? その発想に至ったのは何でだ? というかそういうのを人に押し付けない!


ちょっと、『倫理』という科目について談義をしたいものだ。

試験云々は横に置いて、としてもだ。


「今更になるけどね? この靴、王都から来る商人に売ろうとしたんだけど、何故か『これを売るなんてとんでもない!』、とか言われてね。売れずに本当に困ったんだよ。捨てようとしても何か良心が妙に痛むし。さっきの商人の言葉を借りるなら、『それを捨てるなんてとんでもない』って感じで。ほら、『売れない履けないどうにもできない、でも諦めたくない!』ってそんな感じになっちゃうのさ。って、一気に言ってみたけど何かそんな歌ありそうだよね」

「いや、その一番最初の売れないって時点で、呪いとかとんでもないアイテムとかという選択肢はなかったのか、ってところを確認したい」


ツッコミは入れてないが、歌については心底どうでもいい。


だが、確実に分かったことがある。


売ろうとしても『それを売るなんてとんでもない』。

捨てようとしても『それを捨てるなんてとんでもない』。


これらのセリフは『ふりーわ』では既にお馴染み。



そのアイテムは、重要アイテムもしくは超がつくほどのレアアイテム。

伝説級レベル以上のはずだ。


まさかと思うが、しっかりこの『スニーカー』、確認してみようか。

フレーバーテキストばかりに目がいって、レア度をすっ飛ばしたからな。

どれどれ……。



『オサムのスニーカー』:伝説級(仮)。そういえば凄い奴と凄い奴がタッグを組んだら最強じゃない?

             悟○とべジー○が組んだらってやつ。ピッコ○さんでもいいけど。

             一番最初だと飲茶だな。うん、あの頃はよかった--と。



あーこれ、もうどうしようもできないや。

誰かにあげたくてもこのテキスト読ませたくない。

誰だよこのテキスト書いた奴。

鳥○先生は悪くない。悪くないが、このテキストには一切ゲーム要素が含まれてませんね。


説明文ですらない。むしろ書いた奴の過去への妄執が書かれてるだけじゃないか。


ほら、もうちょっとさ、そのスニーカーについて語って欲しいわけよ。

レア度も伝説級にかっこつけてしかも仮。

何? アイドルグループだって最後に句点つけたりしてるし、ゲームにだってつけてるのあるし、職業でもそのかっこなんとかってのはあるけどさ。



レア度につけちゃ駄目だろ。駄目、絶対。



まあ、このテキスト書いた奴の正体なんて分かっちゃいるけどさ。

というわけで、神。


3発だ。



この適当さ加減、修正してやんよ。

つまり、3回ぶん殴る。親父にもぶたれたことないとか言われても、殴る。


だが、安心しろ。

今のところ、『君が! 修正されるまで! 殴るのを! やめない!』とかにするつもりはない。


今のところは、だがな。

よし、とりあえず、心の整頓はすんだ。


「とりあえず、この靴は頂きます」

「ああ、そんなのでよければいくらでもどうぞどうぞ」

「いくらでもって。……まさか、もっと変なのがあるとか」

背中が湿る、そんな感じがした。


「……ないよ? あれだよ言葉の綾ってやつだよ。ハハハ! 気にしないでくれよオサム君」


いや、あるな。これは。

実際時間は3秒くらいだが、体感時間は数分だったような気がする。

その間、目は泳ぐし、表情は瞬時に何度も変化するし。


今も、目が笑ってない。

だが、この目。確実に訴えているものがある。


--引き取ってくれない?


察してしまったのだ。だからこそ、あえて言おう。

「そうですよねー! 例え後から出てきてもいらないですからねー!」


僕はNo! と言える日本の男子高校生なので。

絶対にいらないですからね! ひのきの棒だけでも勘弁して欲しいのに。

多分だけど、この人たち、絶対どこかで何かしらのお礼とかでねじ込んで来そうな気がする。


今回はよかったけど、次は呪いのアイテムとかだったら本当に困る。


僕、受験生だから。試験の前に呪いにかかるとかたまったもんじゃない。

インフルエンザや感染性胃腸炎とかよりもたちが悪い気がする。

間違っても受け入れる気はないからね!


そんなことを思ってたから、あー、勉強したい。

さすがに、この世界に教科書とか参考書とか問題集とかないよね。


……ないよねえぇぇぇぇぇぇええ!



泣きたい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。