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11 村よ! 私は帰ってきた(いえまだ帰宅途中です)

まさか一ヶ月更新とは!

忙しいと言うか夏に弱いというか(汗

草原の彼方に見えるのはレイン村。

いたって、特徴もなさそうな、村。一言で表せば、村。

他になんと言えばいいのか。現代日本の田舎の行き着く果てとでも言えばいいのか?

いやいや、そこまでは悪くない、と思うぞ。


ってそんな村が『ふりーわ』にあったか?



うーん。……あったようななかったような。

ってのも、ここいら近辺はゲームの中ではうまみもない場所としてしか覚えがない。

目を見張るようなドロップアイテムや採取アイテムはないし。

隠遁する賢者なんてのもいない。

謎の遺跡もなければ、代々伝わる秘宝なんてのもない。

ではなんでこのマップが存在するのか?


『ふりーわ』では、王都「アルス」から東にある港町にして大都会のひとつ「ザザーン」への道のため。

その途中に本来は村などなく、普通に歩けば数日の野宿を余儀なくされる道、だったはずだ。


多分、そんなマップだと思う。

歩いてるマップからしてそんな見覚えがあるようなないような。

ただ、レア度の高い神薬草とか、色の悪いまさか伝説のひのきの棒なんてゲットできた、という話は聞いてない。


もちろんモンスターもこんなスライム軍団なんてない。

村娘クリスレイン? そんなNPC聞いたこともない。

少なくとも、プレイヤーを馬鹿にするNPCなんて……そんなのいたら、『ふりーわ』だったら主要キャラだと思うだろ? というわけでそれくらいは覚えてるんだよ。


で、そんな僕の覚えにない村娘。

彼女の生まれた村が見えてきたが。


あえて言おう、村であると。

いや、違うな。


あえて言おう! 村であるとぉ! 拳を振り上げ、天にも昇らんと突き上げる! そんな気持ちで!

「うっさい! 村の何が悪いのよ!」


……我の強い村娘に心の声が聞こえてしまったようです。

さっきまで正面の村を見ていた彼女に、振り向いて怒鳴られてしまいました。

村は悪くない。ただ、人の集団に初めてエンカウントする自分の興奮を言葉にしたかったのです。


では控えめに、こう思うことにしよう。

さあ! 村だ! と。


そんなことを思いながらも、ふと思った。

「やばい、村なんて初めてだよ」

集団の人とのエンカウント。オラ、もとい僕はどきどきわくわくしてきたぞ。

「オサム、あんたどこの出身なの……?」

怪訝な目を向けるとは何という酷い村娘でしょうか。

日本の田舎ギリギリのとある市の2階建て住宅の出身ですが、何か?

「ふむ。やはりオサム殿は神であるが故、ここの人間と話すのは初めてのようですな」

肩乗り説明スライム、スラ伝。僕は人間なのだがまあもうどうでもいい。


彼らのスキル欄とか見てから、神の部分は全てスルーすることにしたのだ。

その部分については、僕は貝になったのだ。そう、何も見てない何も知らない。

「では、まず、その村から新たなる神の降臨を布教すると」

「それはやめよう。宗教なんていうのはそれぞれの心の中にあればいい」

表立ってそれを他人に押し付けるから、戦争が起こる。


ただの主張の戦争よりも宗教の戦争は悲惨だ。そして、根が深く、残されたものたちの嘆きも深い。

本当に何も残らない。それを歴史は証明している、はずなのだ。

中世のあれ、とか。


「ふむ。神という高位存在を外部に求めるのではなく、また、崇拝という観念はそれぞれの心の中に、というわけですな。内なる神という、いわば思いという名の神を各々に崇拝する。故に各々が信じる道を歩める、と。では外部に求める神という論理については」

……哲学来たよ。スラ伝、そっち系統はちょっと苦手で僕はわかんないけどね!

よし、さらに何か哲学めいたことをボソボソ言ってるスラ伝はスルー!

肩に乗ってようがスルーだスルー! 受験に出ないだろうし! 

「オサムかみさま! スラニンジャーから通達ー! 敵影なし! 安全確認よし! だって」

ナイススラリーダー! スルーするのにいい情報ありがとう!



日本における村の定義について。

確か、某D○SH村で言ってた気がするので、事前に確認。

市町村の中で、人口や土地などに一定の制限が設けられているのが、市もしくは町。

もっともそれだけじゃなかった気がするけど。施設とかそのほか色々。


で、村だけが、そういう規定が存在しないので、人口が少なくても『村』を呼称しようと思えばできる……、って感じだった気がする。

こんなことをスラ伝には言ってしまうと、また長々と村についての講釈が始まるため、そこは言わない。

いや、言ってはいけない。


ここまで適当でうろ覚えなのは、試験に出ないから。

悪いが世界史を優先して勉強してるから、地理公民系は苦手なんだよ……。

試験もそっち優先だし。


っと、では『ふりーわ』での村の扱いはどうなのか?

家、素朴。中世的に素朴。

道、石畳? なにそれ地面でしょ普通。

塀、いやむしろ家畜のために柵と呼んでもらいたいね!

村長の家、普通の家よりかはちょっと大きい。けど素朴。


って感じしか印象なかったんだけどね……。

村人? 普通に会話できるはず、と思う。

「んだ、んだ、でねっどおらは」とかいうセリフはなかった。

間違っても聞き取りにくく文字にしても解読しにくい方言で作成されてはない。


そんなことをされたら、僕はもう……!


というかほとんどのユーザーが攻略を放棄するだろうね。


「……お父さん、お母さん」

鼻声。泣いているのだろうか。顔が見えないから分からない。

そんなクリスの言葉で、思考の草原地帯からリアルの草原地帯に戻ってきたが、なんだか申し訳ない。

あっちは真剣に母の身を案じている。それに比べ僕は……考えをまとめるのに真剣。


真剣は真剣なんだけど……。真剣の差というやつだね。


とりあえずクリスの親の倉止め病治して、この世界を学んで。

靴装備して、なんとかして神を殴って。

日本に戻って、大学受験だ……っ!


特に靴と神を殴るところ。ここが重要。赤丸二重線必須部分だ!

ブクマありがとうございます。


おかげで次々回あたりにようやく村につけそうです。(ぇ

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