その後➁(完)
「あ、この後、こいつは俺を罵るんだったな。」
女魔王ツヨノマを倒したセンシュウ・イチジツは、疲れ切っていた彼を祝福して迎えてくれるはずの、実際そう言う風に見えた、パーティーの仲間に殺された。その直後、断末魔の僅かな間、自分を罵る、その直前まで淡い想いを持っていた、ハイエルフの女性、スン・インが自分を罵る声、言葉を思い出した?その記憶通り、
「卑しい人間に、私が好意を持っていたとおもったのかい?あれはお前を油断させる芝居さ、全て。虫唾が走ったけどね。これでお終いだよ。せいせいしたよ。」
とあざ笑った、喜びと蔑んだ表情で歪んだ笑い顔で、言ったのを嬉々、見た。
「あれ?どうして俺はこのことを知っているんだ?」
そこまでで、目の前が真っ暗になった。
「え~と、また、一度殺されてから始まることになったというわけか?ここは確かに、あの時と同じ風景で・・・30年後ということか?しかし、なんで・・・ん?」
頭に前世の膨大な記憶が入ってきた混乱がようやく収まって、整理がつき現状を把握しようとしていた勇者センシュウ・イチジツが周囲を確認しようと起き上がると、ぶつぶつ独り言のような声がしたのでそちらの方を見ると、見知った顔があった。
「あ・・・あれ?魔王?・・・魔王様か?」
「お、お前は勇者・・・吾はお前に倒されて・・・お前は殺されたのか?すると、ここは30年後か?」
黒髪の長身の少し顔立ちがきついが、魔王といわれなければ、かなりの美人だった。
彼女の言葉から、センシュウは、彼女が自分の3回目と4回目で戦った魔王だということ、というよりその記憶を持った女魔王だということを理解することができた。
「どうして」
と言いかけて、あの時の魔王の今わの際の言葉をセンシュウは思い出した。
「ともに戦うために、こういう形で転生したわけか?魔王様?私は、それに巻き込まれたのかな?でも、なんで女に転生したんだ?」
「吾が知るわけなかろう。ただ、あの時、お前が約束したせいではないか?」
「約束?私とともに戦いたいということだろう?」
「それもあるが、た、多分な・・・も、もう一つあったろう。」
「何だった?」
彼がそう言うと、魔王は真っ赤な顔になって、もじもじし始めた。
「お、お前は・・・吾の4倍生きた結果得た・・・そのだな・・・愛のだな・・・手練手管を吾にだな・・・お、教えるということをだな・・・あー、これ以上言わせるなー、無礼者!」
「確かに女であれば、手とリ足取り。どういうものか教えてやれるというわけか?」
と言って、少し呆れて、少し好色な目で、少し優し気に、勇者センシュウは女魔王ツヨノマを上から下まであらためて見た。
「や、やはり・・・男の吾の喜雨くがあるとだめ・・・か?」
「いや、前世の記憶より、この人生の記憶の方が強くなるんだよ。あの時、戦っている時、美人だな、と頭の隅で思ったよ。こういう形でなく、恋人だったらいいな、とも思ったよ。」
「ほ、本当か?」
嬉しそうな魔王の顔を見ると、もうセンシュウは抵抗できなかった。女魔王ツヨノマの手を取り抱き寄せた。
「ま、待ってくれ。」
「どうした?俺の愛の手練手管を知りたいのだろう?」
「い、いや・・・実は吾は処女ではない。あ・・愛人がおった、1人、2人、3人・・・。あ、前世の記憶がなかったからで・・・あーねお前が早く来ないから悪いのだー!」
と勝手に逆切れした女魔王ツヨノマの両手を握って、勇者センシュウは、
「別に処女の女魔王に一目ぼれしたわけではないよ。女魔王に一目ぼれしたんだよ。」
と耳元で囁いた。
「ほ、本当か?・・・全く・・・これが4回で得た手練手管というわけか?」
と破顔一笑、嬉しそうだったが、それの照れ隠しのように不機嫌を装うツヨノマが実に可愛らしいとセンシュウは感じた。
「じゃあ、始めようか?」
「ああ。」
唇を重ねる。処女ではないツヨノマも直ぐに対応を舌を絡めてくる。
「ぷはー。」
長い口付けが終わると、これはここで終わりと思ったツヨノマをまた、センシュウはは引き寄せた。
「ど、どうしたのだ?」
「口付けは一回で終わりではないよ。」
「え?」
長い口付けが繰り返され、巧みに鎧、服を脱がされ、体を触られ、揉まれて、ツナヨシは軽く体を痙攣させた。
「いい体だよ、魅力的だ。」
「そ、そんなにじろじろ見るな。」
その後は、
「そ、そんなに胸をされては・・・だからといってお尻を」
「そ、そのようなことまで?」
「すごくいいー。」
「はあはあ、死ぬかと思った。え、またか、し、死んでしまう。」
「も、もっとー。」
「も、もう完全に死ぬ―。」
と完全にぐったりして快感の余韻に浸るツヨノマを上にして、センシュウはあらためて強く優しく抱きしめ、
「女魔王様。今度は一緒によろしく頼むよ。戦友として・・・妻として。」
「そ、それは・・・。うん、いいぞ。許す。」
「じゅあ、魔法誓約をするか?ともに長く生きるために。」
「お前しこうやって・・・。分かった、許す。」
「おいおい、人間。昼間っから裸でこんなところにいちゃついてのん気なことだな。どこから来たのかは知らないが、大人しくついてきてもらうわよ。」
とオーガの集団を率いる女オーガの騎士が見下すように言った。まだ、裸で二人はいちゃついていたのである。
「おお、お前は・・・。こいつはこういう悪党面だったのか?」
「そうだよ。どうだい力の方は?魔法誓約と愛の手練手管で、かつて以上だ。」
「では、初めての愛の共同作業といきますか、魔王様?あ、あいつだけは情報を確認させるためにいかしておこうか?」
「相変わらずね甘い奴だな。まあ、その方が吾も後味が悪くならん。
「名にごちゃごちゃ言っている、裸のまま。お前ら、こいつらを取っ捕まえろ。女の方の顔には傷つけるなよ。」
「ははは・・・。」
オーガの騎士ヒール・トオビは、大地に尻もちをついて失禁状態で震えていた。人間の二人に、自分の率いるオーガの騎士団が瞬殺されたのであるから、当然でもあった。
それを見ながら、人間の男女2人はゆっくりと身支度をしているのである。
「魔王と勇者が死んで何年になる?」
と男が尋ねた。
「あの時と同じだ。二人で、亜人達を制圧しようか?ああ、魔族達もまとめないとな。」
「ふふ、分かっておるな。魔族は、一度怖い目に合わせないとな・・・それさえすれば後は簡単だ。」
「今回が一番犠牲者が少なくなりそうだ。」
「お前は全く・・・。なあ。」
甘えるように寄り添ってきたツヨノマに、センシュウは、
「どうした?」
「この形で我らが転生したのは、多分吾がお前を独占したかったかもしれない。あのハイエルフ女はもう対象外だし、ダークエルフも大聖女もまだ、出会っておらん。吾が一番先にお前を得られるからだ。」
「そうか。では、お前だけを、女魔王様だけを愛し続けるよ。」
「そうじゃ、そうじゃ。」
と自分の大き目な胸の谷間にセンシュウの腕を挟み込んで戯れるツヨノマ。二人は、イチャイチャしながら歩み去った、悪態をついたばかりに切り落とされたヒール・トオビの首と胴体をあとにして。




