始まり
お待たせしました。
神よ……感謝いたします。
こんな私にお慈悲を賜って下さり、誠にありがとうございます。感謝を込めて
──いただきます。
「気を付け、礼!」
「ぎゃあぁぁぁあぁぁぁぁあ!あ、ぁぁあァァァあ!!」
「はぐっ……むぐっ……!んぐっ……!!」
「わ、わた……わたわたわたわた、なんななななななな──」
おいっしいしいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!
「ぁ……ぇ……は?」
「な……ど……ぇ……?」
「はぁ゛あ゛〜……美味しかった。空腹とは最高のスパイスとはよく言ったものだ」
「そう思わないか、皆?ふふ、はははははははは!はーっはっはっはっはっはっ!」
はは、ははは!やってやった!やってやったぞ!ははははははははは!!
「はぁ……やってしまった……これじゃあ捕まって白露と離れ離れになる」
嫌だっ!絶対に嫌だ!!何か、何かこの状況を打開できるもの、打開──
こんな時にうるさいなっ!なんだよ!!そもそも何の音だこれはぁ!?
はっ!笛っ……!!これを吹けば白露が駆けつけてくれる!どうにかなるっ!
「っすぅぅぅぅうぅぅう」
笛に口を付け、息を吹き込んだ瞬間、低く唸るような音が響き渡る。
何も、起こらない……?
血で竦んでいた奴等が状況を理解し始めている。
終わった……こんな音色じゃ白露には到底届かない。
俺の人生、ここで終わりか。辛抱が足りないせいで終わるのか。
なんともまぁ……愚か。愚かな人生だ。だが、まぁ悪くない。
「は、ははは……はははは」
まず動いたのは教師。真っ直ぐこちらに向かってくる。
まったく、もっと早くに俺に向き合っていればこんな事は起きなかったろうになぁ……
それを皮切りに、人が、人の世が牙を剥かんと動き──瞬間、ガラスが砕け散る。
「──お待たせ」
反射する光の中から姿を現したそれの印象は、人によって全く異なったことだろう。
この教室に居る大抵の人間には悪魔的に感じられただろう。つまり……
俺にとっては救世主だ。
白露だ……来てくれたんだ……こんな俺の為に来てしまったんだ。
「もう、なんで泣いてるの。かわいいかわいい君の彼女が来たんだよ?」
「君はなんっっっっにも心配しなくていいんだよ。全部私が何とかするから」
「きみをこんなにもくるしめたのはいったいどこのおばかさんなのかな?」
「全員……」
「うんうん。だれがいちばんにくい?」
理解る。日本語だ。意図して使ってるんだ。何が起こるのか、分からせるために。
……こんな自分勝手なヤツの為に、どうしてここまでしてくれるんだ。
理解りきったことだろう。俺が、白露に愛されているのだ。
そう、白露は、俺が元の日常を送れるように……誰も逃れられないように……
出入り口を全て糸で覆っている。
こんなにも、こんなにも愛してくれている彼女を、俺は今も尚……
その愛情を利用して、己の憎しみを晴らそうとしているのだ。なんと、浅ましい。
「だいじょうぶ。なにがあってもわたしがまもるから」
「あれとあれと……あれ」
「わかった。あとはてきとうにころすね」
「見てて。君が心配することなんて、私が全部全部ぶっ壊しちゃうんだから」
まるで、運動会の親参加競技にでも出席するかのように軽い準備運動だ。
なんでもない事のように軽く言ってのける姿に安心してしまった俺は……
救いようがないカスだ。
「そんなに心配そうにしなくて大丈夫♡あ、でも……終わったらお願い聞いて欲しいな」
「もちろん。何でもする」
「ふ〜ん……♡なんでもしてくれるんだ♡」
妖しい笑みを浮かべた刹那、隣の席の女が宙に浮いていた。
あまりの光景に瞬きした、その直後、視界に女の腹に空いた無数の風穴が広がる。
「見えなかった?ごめんね。ちょっとゆっくりめにやr」
「おい、私のアピールタイムなのがわからないのか?」
「か、ぁ……が」
「電話とかいう機械だっけね?そんなにしたいならさせてあげるよ……顔面でね」
職員室直通の電話に向かった教師が瞬きの間に教壇に顔をめり込ませて死んでいた。
ハッハァ!いい気味だ!!
性根の腐ったカスをのさばらせてた怠慢教師の末路はこれくらい凄惨じゃないとなぁ!!
「あまり騒がれると奏がじっくり嬲り殺す時間がなくなるし……」
「さっさと片付けて場所を変えさせてもらうね……じゃ、ばいばい」
言い終わった瞬間、白露の眼前に居た男の喉が潰れる。それを認識したその頃には……
既に死体は地面に打ち付けられ、衝撃波で浮き上がった連中の頭に風穴が空いていた。
性根の腐ったカスをのさばらせる思考停止した人間共……
それが相応しい姿となって目の前に居る。世界はここまで単純明快にできるのか。
理解りきったことだが、白露はわざとゆっくりやっている。俺が見えるように。
それなのに、この舞台装置を作り上げるのに来てから2分も使ってない。
「見た?見てくれた?どう、凄いでしょ?」
「思ってたよりずっと強かった」
「褒めても夜が激しくなるだけだよ♡」
「……突然だけど何事にも、見栄えって大事だと思う?」
「大事なんじゃないか?」
次は1週間後です




