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 ゲームの世界ではキャラクターは基本的に自由である。


 最後の戦いを前にして、キャラクターたちの中にもそれぞれの思いがあった。


ここまでの戦いは、モンスター達の中にも確かな絆として残っている。しかし残された時間はあまりにも少ない。一人と二匹はそれぞれ自分達の出来る事をすることにした。




 スライムは今、かなり差し迫った状況だとわかっていた。


 神様は好きだ。いろんなものを食べる方法を教えてくれた。


 スケルトンも好きだ。いつも頭に乗っけて色んなところに連れて行ってくれる。


 おじさんも好きだ。ご飯をくれるから。


 みんな好きだから、スライムは何かがしたかった。


 どうも今度の相手は強いらしい。


 じゃあ何が出来るだろう?


 もそもそ這いながら、色々考えてみたつもりだったけど、全然なんにも思いつかない。


 その内よくわからなくなって、結局森に入って何か食べることにした。


 でもそうだと、ふと思う。


 いつもよりもっと沢山食べれば、いい考えが浮かぶかもしれない。


 スライムはとにかく手当たり次第にたくさん、たくさん食べることにした――。




 スケルトンは強くならなければならないと強く思った。


 ケビンが真剣な顔をしていた。


 神様の声は今までにないほどに強張っていた。


 きっと次の相手はいつも以上に強力なのだろう。


 スケルトンは自分が弱い事を知っていた。


 装備を使って弱点を補っているが、そんな事をしなくてももっと強くて、もっと弱点が少ないモンスターは沢山いるだろう。


 それでもここまで戦い続けたのだから、あと一回、死力を尽くことにためらいはなかった。


 幸い、強くなる方法をスケルトンはついこの間学んだばかりだ。


 彼の背後には、神様さえ知らなかったようだが、倒した同類の姿がちゃんとあったのだから。


 そうして考えた末に、一人やって来たのはとある墓地であった。


 人の行き来が途絶え、朽ちる寸前の墓地。


 然し普通の墓地でないのは、スケルトンとしての勘がいやと言うほどささやいていた。


 アンデットの彷徨える魂が、びっしりと怨念を巻くように濃き集中する。その場所に、一際強い気配がスケルトンを待ち受ける。


『ほほう……他所のアンデットがここに来るとは珍しい。腹の足しにもならなさそうだが……』


 彼は赤い毛皮のマントを羽織り、王冠を頭に乗せた骸骨だった。


 自分と同じスケルトンのように見えるが、身に纏う雰囲気はまるで違う。


 そして、アンデットでありながら言葉すら操っている。


 スケルトンは彼がなんなのかわかっていた。


『リッチ』


 彼は、ここにいるアンデット達の王である。


 その強大な力の秘密も、スケルトンは理解していた。


 アンデットがアンデットを倒すと、魂から力を奪えるという仕組みを理解した今ではよくわかる。


 数ある怨念を束ねるリッチの魂がスケルトンにははっきり見えていた。


 奪えば相手の力を吸収でき、負ければ逆に吸収される。


 リッチとなったその個体は、この終わりのない戦いを勝ち抜いた結果であった。


 スケルトンは格の違いを理解しながらも、剣を構えた。


 自分の鎧をギィと軋ませ眼前の敵を見定める。


 自分とて格上の相手とは戦ってきたのだと、スケルトンはそう自分を奮い立たせた。


 リッチはスケルトンを一瞥し、赤く灯った眼光を向けると――笑ったように骨を軋ませる。


『ほほう……私に挑もうと言うのか? 身の程知らず野雑魚が』


カカカカ!


カカカカ!


カカカカ!


 墓中の地面の下から白骨が這い出し、顎を鳴らす。


 白い軍勢を従え、リッチは地面から突如として現れた髑髏の椅子に腰かけると眼窩の奥からのぞく鋭い光をスケルトンに向け言った。


『ならば、ここまで来れたら相手をしてやる。朽ちた墓の番人にも退屈していたのだ。余興くらいにはなってもらうぞ?』


 スケルトンは死霊の軍勢を前にして、力いっぱい握った炎の剣を振りかぶる。


 カカカッ!


 そして一際大きく歯を打ち鳴らして駆けだした。


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