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 次の日、簡単な約束をした俺達はオフ会をすることになった。


 でも俺はあまりいい待ち合わせ場所も知らなかったわけで、場所はあの喫茶店である。


 俺は今日もまたメロンソーダを頼んだが、この間と違うところはこのメロンソーダはおごりではないことだろう。


 向こうが会いたいとと言ってきたわけだし、ちょっとおごってもらおうかな? なんて期待していたんだけれど、そうするわけにはいかなくなった。


 簡潔に結果だけを見るなら、俺は凶を引いてしまったらしい。


「……」


 なぜならば、俺の前に座っているのがどう見ても小学生だったからである。


 随分と小柄で、黒いタンクトップに黒い野球帽。


 ジーンズの短パンからむき出しの脛には、すね毛もなくツルツルだ。


 「はじめまして! ユウって言います! 僕、オフで誰かに会うのって初めてなんだけど、ハンドルネームでいいんですよね?」


 若干緊張した風の自己紹介は、俺の緊張感も上げていた。


 小学生かー……。


 抱えた頭が重くて仕方がない。


 若そうだと思っていたけど、思ったよりも若かった。


 人柄がどうのとか、そう言う問題じゃぁない。見ず知らずの小学生と高校生がネットを通してオンラインで密会。


 人生のピンチだった。


「えっと、どうしました?」


 わかっていない風に不安げに尋ねてくる小学生に、俺は全身の血が一気に別の物にすげ変わってしまったみたいな重い体をどうにかして返事を返した。


「ええ、全く構いませんよ? 」


「でも顔青いし」


「寝不足なもんで。それにしても……まさか小学生とは」


 しげしげとそう言うと、肝心の小学生は気軽な物だった。


「あ、意外だった? 僕も意外だな。邪神なんて言うからもっと怖い人かと思ってた」


 いきなり随分打ち解けたしゃべり方をする辺りさすがだった。


 随分このあだ名も定着してしまったみたいだが、顔まで知られていないと言うのは少しうれしい。


 心配だったが俺の知名度もたかが知れているという事だろう。


「ん、まぁ写真があんまり流通してないのは正直ホッとした」


「あ。もっと調べたら出てきたかな?」


「……探さなくていいから」


 俺は頭を押さえる。


 ではまず本題に入る前に、言っておかねばいけないことがある。


 ショートカットのサラサラの前髪の間からくりくりと大きい目がこちらを見ている。


 小学生は柄にもなく奢ったメロンソーダのおかげか上機嫌だ。


 俺はゴクゴクジュースを飲んでいる小学生に言った。


「それにしても……女の子がいきなりどんな相手かもわからないのにオフで会ったりするのは関心しないよ?」


 溜息とともに絞り出した苦言は、しかし予想以上の先制パンチを相手に喰らわせてしまったらしい。


 バフッっと噴射されたメロンソーダは俺の顔面に直撃した。


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