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万年2位だからと勘当された少年、無自覚に無双する【WEB版】  作者: あざね
第32章

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5.ダン・ファーシードの決断。








 ダンの心は、決壊寸前だった。

 あの日クレオに手を挙げてから、歯止めが利かなくなってしまったのだ。そのため彼の成績を執拗に咎め、公爵家としての面子を異常なまでに押し付ける。

 こんなことをしたいのではない。

 もちろん、公爵家の子息として立派に育ってほしいのは本心だ。




「違う、違うぅ……! 儂は、あ、あああぁ……!!」




 されども、それ以上にクレオには自由に生きてほしい。

 自分がそれを許されなかったから、せめて息子には大きな世界に羽ばたいてほしかった。その願いを込めて育てよう、そう思っていたはずなのに。

 どうしてこうなった。

 どうして、自分はクレオに辛く当たってしまうのか。

 もし、このまま解決策を見出せないまま共に時間を過ごしたとしたら。自分とクレオは確実に破滅へと向かってしまうだろう。



 そんな直感が、よりいっそうにダンを焦らせた。

 だが、その時ふと『ある考え』が彼の中に浮かぶのだ。




「そう、だ。共に過ごすから、駄目、なのだ……!」




 このままでは、いけない。

 このまま一緒にいてはいけない。

 もしかしたら自分は、最愛の息子に最悪の行為をしてしまうかもしれない。




「だったら……!」




 だから、ダン・ファーシードは決断した。

 ここから先にあるクレオの自由、歓喜、そして未来を守るために……。





「そのためなら、儂はいくらでも……道化を演じてみせる……!!」










「お父様、どうして……!」





 いまにも泣き出しそうな息子の顔が瞼の裏に焼き付いている。

 しかし、いまのダンにはこれしかなかった。





 ダンは、クレオを遠ざける決断をした。そう――。






「クレオ、本日をもってお前をファーシード家より勘当とする」






 クレオを勘当する、という手段を使って。





 自分なんかよりも才に秀でた息子を。

 誰よりも可愛い、大切な息子を。





 ダン・ファーシードはこの日、自らそれを手放したのだった。





 



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新作もよろしく。

下記リンクより(*‘ω‘ *)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 勘当の真実の裏にこんな感動があったとは(≧ω≦。) [一言] 泣けるので人が居てるところでは読めない( TДT)
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