4.ダン・ファーシードの煩悶。
久々に連日更新。
新作もよろしくね。
――何かがおかしい。
ダン・ファーシードは一人、そのことに煩悶としていた。
クレオは王都立学園で、一生懸命に優秀な成績を残している。そのことを称えたいという感情は、胸の奥底にあった。しかし、それ以上に焦燥感が自分を苛めるのだ。
このままではいけない。
その言葉は、いったいどちらの意味だろうか。
自分に対するものか、それともクレオに対して向けたものか。
ダンはひたすらに、湧き上がる黒い感情を抑えていた。だが――。
「お父様! 見てください、ボク――」
「また、2位か……?」
「……え?」
ある時、ふと気が緩んだ瞬間だ。
元気よく成績の報告に訪れたクレオに対して、ダンは言ってしまった。
「いい加減に、1位を獲るべきではないか?」――と。
それが優秀な息子に向ける言葉であって良いはずがない。
そのことは、ダンが最も理解していたはずなのに。
口をついて出た瞬間、感情が止められなかった。
「いい加減にしろ! 公爵家に中途半端な才能は要らない!!」
「う、わ……!?」
気が付けば、駆け寄ってきた息子を突き飛ばしていた。
瞬間、ハッとするダン。クレオは何が起きたのか、理解できていない様子だ。幸いなことに怪我はしていないようだが、父親にとってはそれどころではない。
自分はいま、何をしたのか。
最愛の息子に手を挙げ、邪険に扱った。
その事実が彼の心に、暗い影を落としている。
「……しばらく、一人にさせてくれ」
それを必死に覆い隠して、ようやく絞り出したのは小さな声。
震えるそれに、クレオは恐怖を抱いただろうか。
ダンは申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「なんだ……? なにかが、おかしい……!!」
正体不明の焦燥感と、原因明解の罪悪感。
その狭間で、ダン・ファーシードは煩悶とし続けた。
「このまま、では……!」
自分はクレオに対して、なにか決定的な行為に及んでしまう。
そんな直感が彼の中に生まれていた。しかし、
「どうすればいい。どうすれば……?」
その時のダンに、答えは出せない。
そして、月日は無情にも流れていくのだった……。
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