3.ダン・ファーシードの身に起きたこと。
ここでダンのお話を一つまみ(三話予定
新作はあとがきから。
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――最初に自身の異変に気付いたのは、いつだっただろうか。
「エスカリーテの病状は!? どうなっている!!」
「旦那様、落ち着いて下さい! 熱は出ていますが、命に別状はありません!」
それはまだ、エスカリーテが生まれて間もない頃のこと。
クレオの妹は身体が弱く、齢を一つ超えるまでは病との戦いであった。愛娘が熱にうなされるたびに、ファーシード公爵はひどく狼狽える。それがほとんど、日常のようでもあった。
しかし、その日は何かがおかしかったのだ。
エスカリーテは今朝まで平穏無事に過ごしていた。
そのはずなのに、少し目を離した瞬間に高熱を出したのだから。
「おかしい。……どうなっている?」
治癒術師たちは、万事問題ないと語っていた。
それでも、ダンの胸の奥には疑念が満ちているのだ。この熱病は、本当にいつものそれなのだろうか、と。あまりにも不自然に思えて仕方がなかった。
だからダンは、治癒術師のいない間を見計らって愛娘の顔を見に行く。
そして、その顔を覗き込んだ瞬間だった……。
「く……?」
――ひどく、視界が歪んだのは。
何が起きたかは分からない。
それでも、自分の身に何かが起きたのは明らかだった。
しかし具体的に何が変わったかは、分からない。強いて言うなれば、胸の奥の焦燥感といったものが大きくなっていることか。
されど、愛娘の容態が安定しない現状だ。
そのように気が立っていても、何らおかしい話ではない。
「気のせい、か……?」
ダンは眉をひそめて、一つ息をついた。
心なしか、エスカリーテの寝息も落ち着いたものに変わっているようにも思う。今日のところはひとまず、自分も休むことにしよう。
そう考えて、彼は自室へと戻った。
だが、後になって思えば。
その時こそ、異変の始まりだったのかもしれない。
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