緋色の眼を持つ少年第三十三話
無事に、二人はチョコとの再会を堪能したようだ。
浩子さんが
『和美!男の子でしょ?
女の子を送って行きなさい!』
女の子を送るのは構わない…構わないが…
確か美穂ちゃんも瑞代ちゃんの住むアパートは、みゆきさんの住む白い洋館の近くだ。
僕は頼りになるか?どうかは解らないがチョコを抱いて行く事にした。
送っていく間…
二人の女の子はチョコをかわるがわる抱き
遂に丘の頂上にある美穂ちゃんの住むアパートへ着いた。
『美穂ちゃんはチョコとの別れを惜しむように、
チョコをギュッと抱きしめ
『じゃあまた明日…』と
玄関のドアを開け
『只今!!』と中へ入って行った。
瑞代ちゃんは、
『なんだか一番賑やかな美穂が居なくなると急に寂しくなったね?』と
いとおしそうに、チョコを抱きしめた。
『そうだね…楽しい時間の後は寂しさが押し寄せるよね?
こんな時は、早く家に帰って親に楽しかった事を話すと良いんじゃないかな?』
と、瑞代ちゃんに帰宅を促すと
『そうね…』の
返事と共に、丘を降り始めた。
美由紀さんの白い洋館が、近付いてくる。
瑞代ちゃんに、あの異様な程に穢れのない尋常ならざる雰囲気は解らないみたいだ。
『ねぇ…和美くん…
あの古い洋館ってさ?
お化け屋敷だって知ってる。?』
それは…勿論知ってる。
だって…そこには、美由紀さんか未だに、何かに縛り付けられてさ迷っているのだから。
『あの洋館ってさ…
玄関を開けて、こんにちわって挨拶をすると
『いらっしゃいって、返事がするんだって?
女子たちの間で噂なの…』
あの、鈴の音の様に美しい美由紀さんの声を聞いた奴がいるのか?
僕は
『瑞代ちゃん…
もしそれが本当なら怖いよね。』
『あのね…もうあの洋館に人が住まなくなって10年くらい経つのね…
あの家には女の人と、お手伝いさんが住んでて、お父さんは、東京で事業をしてたらしいの。
女の人は体が弱くて、環境の良いこちらに移ったんだけど、
学校にも殆ど行けなかったみたい。』
お母さんの話が出てこないけど?』
『お母さんは早くに亡くなったらしいの』
『そうかぁ?その女の人は寂しかったんだね?』
『だから…人が来るのを待ってるのかも?』
待っているのは多分、両目の赤いサラサラの髪をした少年…
彼を待ちながら…
窓から道を見下ろしている美由紀さんの気持ちは如何程の寂しさなんだろう。
その時チョコが吠えた。
吠えたと言うより…
キャンと、僕らへ警戒を促す様な鳴き声だった。
僕は咄嗟に今まで意識して眼をやらずにいた洋館に目を向けてしまった。
窓は開いてない。
視線を下に落とすと、
玄関の前に白いワンピースの美由紀さんが立っていた。




