緋色の眼の少年第十話
玄関を開けると二階から、『どうぞ…上がってきて…』と、美由紀さんの声がする。
僕は引き寄せられる様に、靴を脱ぎ…
『おじゃまします。』と、階段を上った。
階段を上りドアを開けると美由紀さんは、純白の空間の中で、唯一純白に染まって居ないフローリングに、純白のワンピースを、朝顔の花の様に広げて座り…
『今日も訪ねて来てくれてありがとう。』と、ニコヤかに、微笑みかける。
その微笑みは、美由紀さんの、純白で透明な世界へと誘う。
暫くの沈黙の後…
美由紀さんが身を乗り出して、僕の顔を覗き込む。
『見れば見るほどあの人にそっくりだわ…』
『ソックリって、この間、僕みたいに、俯き加減で歩く両目の赤い人の事…』
『そう…
私と同い年の、男の子で、私は体が弱く…
この家で婆やと二人…
家から出る事は許されず。
いつも…この窓から変わる事のない景色を眺めるだげ…
退屈だったわ…
そんな時…
家の前をサラサラの髪の毛をした男の子が、俯いて緩やかな坂を退屈そうに歩く姿を目にしたの…
最初は気になっただけだけど…
遂に君に声を掛けた時と同じ様に声を掛けたの…
そうして…彼は窓の下まで足を踏み入れて、私とお話をする様になったの…
彼は顔を上げて窓の中の私に話しかけるの…
直ぐに気がついたわ…
彼の両目が赤い事には、でも…彼はその事に触れられたく無いみたいで、その話題になると…
俯いて仕舞うの…』
少し遠くを見るような眼差しで…昔の話をする美由紀さん…
それは…一体何年前の事だろう…
遂…そんな疑問が頭をよぎる。
『それは…一体…何時のことなの?』
『そうねぇ…もう…十年位になるかしら?』
『美由紀さんは幾つなの?』
『十八よ…』
『じゃあその彼は小学生の時に知り合ったんだ?』
『彼も十八よ…』
ん…なんか…時間の経過がおかしくないか?
美由紀さんはとうみても…十八前後にしか見えない。
だけど…出会いの話を聞く以上…
二十八のはず…
この人は…
年を取らないのか?
少し不安になった僕に…
遠くを見つめる様な瞳のまま…
顔を近づけてきた美由紀さんの唇が僕の唇に軽く触れ…
『あなたを待ってたの…』と…
呟いた。




