25話 新しい土地へ
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ジーモに挨拶し、貴族の屋敷から拝借した物を何個か渡した。彼は受け取りを拒否したものの、エルと共に決めていた事で、森の歩き方など様々な技術を教えてくれた礼として強引に受け取らせた。
彼に感謝の気持ちを伝える以外に特にこの村でやる事もないので、エルと手分けして旅に必要な物を揃えて、馬車に乗せ出発した。
「結局追手はなかったな」
御者台に座ったエルが呟く。
「何度も見かけた検問所で待ち構えているのかも知れないけどね」
荷車に入ってくる心地いい風に煽られた髪を押えながら答える。今は盗賊たちが塞いでいた細々とした道をゆっくりと移動していた。
森の中を切り開く様な道の上、私たちの馬車1台分しかない小さな道だ。だからこそルルミナス国は隣国と繋がっている道であっても放置しているらしい。
大型の馬車などは通行が出来ないので、大がかりな荷物の輸送には向かないからだろう。
鬱蒼とした森の中間……突然道が開ける。元は盗賊のアジトがあった場所である。ここで人や商人を捕まえていたが今は柵などは壊され、通りやすくなっていた。
アジトの奥では盗賊たちが数人の男達に纏められ、座らされている。その中にはジーモも居て、こちらに気が付き手を振っていた。
エルと一緒に手を振り、馬車は進んでいく。
「一先ず、村の男手を使って盗賊たちを管理するって。すぐに向こうのギルドに応援要請して、牢に入れるみたいね」
出発準備中にギルドの受付女性から聞いた話ではルルミナス国はギルドを嫌い、ギルド支部が少ないらしい。だからこそ、隣国に近いあの寒村に支部があるという事情があった。
そんな理由もあり、活気がなかったが今回の盗賊退治で隣国との道が開けたので応援要請も出来るようになったようだ。
「お……森を抜けるぜ」
「ん……」
木々で日光が遮られていたが森の終わりなのだろう、眩しい程の光が溢れていた。それと共に嗅いだ事のある匂い。
私は都市部に住んでいたから、嗅ぎ慣れた匂いという訳ではなかったが……。
「潮の香……」
風と共に少しベタ付いた風が吹く。
なだらかな坂を下った先に港町が見えてくる。
「! 海だ!」
エルが目を輝かせて御者台から立ち上がった。馬たちはエルが突然立ち上がっても賢くて、道を外れる事なく進んでいく。
「海を見た事がないの?」
「あぁ! 初めてだ! 変な匂いだと思ってたけど……これが海の匂いか……」
こうして私たちはやっとルルミナス国領内から出て、新しい土地へ踏み出したのだった。
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