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生命魔法使いに転生したので、聖者の皮を被って気ままに生きようと思います  作者: aramakid
プロローグ

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第23話 杖の理

 研ぎ澄ました打突が、レイスの核をえぐる。

 そのまま素早く杖を引いて、背後から忍び寄ってきた個体を突く。


 背後のレイスは霧散せず、後ろへと吹き飛んだ。


 僕は素早く向き直り、再び核に一撃。

 背後のレイスも煙となって消えた。


「七割ってとこか」


 だいぶ正確に動けるようになってきた。


 三層に挑んでから、およそ三か月。

 デスナイトの動きを取り入れつつ、レイスで特訓を続けている。


 壁を抜けて現れたレイスを倒した瞬間、あの多幸感が押し寄せた。


【名 前】ノア

【位 階】Ⅲ

【魔 力】S

【スキル】鑑定 生命魔法 魔力制御 魔法付与 高速思考 見取り 杖術

【魔 法】ヒール キュア エンハンス ライフスティール リザレクション カーム


「上がったか――」


 僕は確かめるように、デスナイトの動きをトレースする。

 足が、肩が、重心の位置もイメージ通りに動く。


「ハハッ。これはすごい」


 笑みがこぼれる。


 杖を振るう、思い通りの位置でぴたりと止まる。

 そのまま、予備動作なしに突きを放つ。


 全身の動きがスムーズに連動し、杖の先の感触まで意識できる。


 ――これが、位階上昇の効果か。


 僕は魔石を拾い集めると、そのまま螺旋階段を下った。


 レリーフがびっしりと刻まれた扉をゆっくりと押し開く。

 見事な柱が立ち並ぶ通路を抜ける。


 自身と、杖に『エンハンス』を施す。

 そして、デスナイトが佇む広間へと踏み入る。


 中央のデスナイトが構えを取り、一歩踏み出す。


 僕は全体をぼんやりと眺めながら、間合いを詰める。


 ――来る。


 前回は意識すらできなかった、デスナイトの攻撃。

 まったく予備動作がないその攻撃を、体の奥で感じ取れる。


 切り下ろしを右に体を開いてかわすと同時に、喉元を突く。


 デスナイトが柄で受ける。

 

 跳ね上げられた勢いに逆らわず、杖を回転させ鳩尾を狙う。


 デスナイトは半身になってそれをかわすとそのまま突きを放つ。


 首を傾けてかわすが、頬がざっくりと切れる。


 ――相手のほうが一枚上か。


 いや、デスナイトの動きは完全に剣に最適化されている。

 これを杖で模倣しても勝てるはずがない。


 ならば、杖の動きに最適化する。


 ――杖の理を見出す。


 デスナイトが距離を詰める。

 その動きは読める。


 剣の間合い——半歩手前。


 杖を手の中で滑らせ、出鼻を挫く突き。


 デスナイトの動きが止まる。


 杖の前後を入れ替えながら、一歩前に出て側頭部を打つ。


 半歩下がってかわされる。


 再び杖を滑らせ、喉を突く。

 金属音が響き、デスナイトが仰け反る。


 一歩引いて観察するが、ダメージはなさそうだ。

 

 デスナイトが上段から切りかかる。

 

 ――見切れる

 

 回避しながら、小手を打つ。

 同時に両腕の間に杖を差し込み、巻き上げる。

 手首を極める。

 そのまま杖を回し投げ落とす。


 デスナイトがつんのめる。

 体勢が大きく崩れた。


 脇ががら空きだ。


 その空洞に杖を突き下ろす。

 硬質な何かが砕ける感触。


 鎧が崩れ落ち、積み重なったパーツと砕けた魔石だけが残った。


 肩で大きく息をする。

 鎧の間から、砕けた魔石を拾い上げる。


 ――勝った。


 まだ、ぎりぎりだ。

 ランタンの光にも、頼っている。


 それでも、まずは一勝だ。 

 

 魔石のかけらをポケットに突っ込むと、僕はダンジョンを後にした。





 聖具室のカウンターに、杖とランタンを置く。


「やけに疲れてるな。また、デスナイトとやりあったんじゃないだろうな?」


 バルドが眉をひそめる。

 

「ええ。今度は勝ちましたよ」


 僕はポケットから取り出した魔石のかけらをカウンターに置く。


 バルドがギョッとした顔で、おそるおそる尋ねる。


「まさか、魔法なしでやりあったのか?」


「ええ。練習しました」


 僕がそう答えると、バルドは天を仰いだ。


「いいか普通はな、ライトバインドだとか、サンクチュアリだとかで動けなくしてから、魔法で浄化するんだ」


 バルドは頭をかきながら、ため息をついた。


「聖騎士だって、一対一じゃ戦わないぞ。それをお前……」


「ご心配ありがとうございます。でも、大丈夫です。もうやり方はわかりました」


 ローブの中からメダルを取り出しながら言う。


「まあ、それを持ってるやつに、あれこれ言うのは野暮だな」


 バルドはそう言って、肩をすくめた。


 奉納所で、魔石の入った革袋と、ポケットに入っていた魔石のかけらを納める。

 神官はそれらをまとめて天秤で測り、台帳に記録していった。


 食堂に入る。


 メニューは黒パンとスープだ。

 今日はチーズも一切れついている。


 空いている席を探すと、懐かしい顔を見つけた。

 同期のクラウスだ。


【名 前】クラウス・エーベルハルト

【位 階】Ⅱ

【魔 力】B

【スキル】神聖魔法

【魔 法】ヒール サンクチュアリ


 位階が上がっているが、顔には疲れが色濃く出ている。

 カイルと違って、攻撃に使えそうな魔法を覚えていないせいかもしれない。


 隣に座って、そっと『ヒール』を流す。


 生命魔法の『ヒール』は、けがを治すだけでなく、疲れも癒やせる。

 クラウスは驚いたように顔を上げた後、僕の顔を見ると、安心したように微笑んだ。


 食事中の私語は厳禁だ。


 聖書の朗読に耳を傾けながら、僕らは並んで静かに食事を摂った。


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